表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
副業勇者(仮)  作者: 安居剛
おみまいするぞー
5/44

5話 舞い降りた勇者(不本意)

 


「では、これより新たな救世の神と、神の使いたる勇者の降臨の儀を行う。」



 張りつめた空気の中、白と金を基調とした豪華な修道服を着た老人がそう宣言すると、同じような色合いのやや質素な衣装に身を包んだ聖職者らしき若い男がそれに答える。



「陣の準備は整っております。あとは教皇様が術を発動するのみです。」



 教皇と呼ばれた老人は、それを聞き静かに精神を集中し始める。

 周りの聖職者が黙ってそれを見守り、暫くの時間が流れたあと、ついに教皇がその詠唱を声に出すーーー



『わ「うおおおおおおおおおお!!」


 ドスン!!


「あ、ごめん高すぎた」



 教皇の詠唱が始まるとほぼ同時に、陣の上にゴリマッチョが落ちてきた。それに続いてやたらと輝きを放つ美男子がゆっくりと降り立つ。



「おいコラクソ神……自分が飛べるからって……」


「ごめんごめん本当に悪気はなかったので瞼をつねるのはやめてくださ痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!」



 キョトンとする教皇と若者たち。

 若者の1人が恐る恐る声をかける。



「え、あの…あなたたちは……」


 瞼を力一杯つねりながらマッチョが答える。


「あ、救世神です。俺じゃなくてこいつね。」


「ごめんホント許していたたたたたたたた!!」



 世界を救う神は、こうして降り立った。





 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○





「僕の名は救世神ルシャナ。君たちの救いを求める声に応じ降り立った。」


「おお……なんと神々しい………」



 アホがさっきの醜態をなかったことにしようとして普段の倍くらい輝いている。

 たぶん聖職者っぽいじいさんたちもさっきの様子を忘れようとしてるようだ。

 まあそれで納得するならいいか。



「それで…あの、そちらの方は……」


「あ、俺ですか?」



 さっき自己紹介してた教皇さんが俺が何者か尋ねてきた。

 まあ神と一緒に出てきたらそりゃ気になるよね。

 とりあえず無難に自己紹介しとこう。



「大室亨といいます。一応これの使いです」


「これ?……とは、まさか救世神様のことで?」


「はい」


 すっげえ不本意だけどな。


「ええと……つまり、あなたが勇者さまで……?」



 いや、違います。勇者になる気は無いです。

 と思ってるとアホがしゃしゃり出てきた。



「そうだよ!彼が僕の使いとなった勇者、アキラくんだ!」

「そこまでやらねえって言ってんだろうが………」


 もう一度瞼をつねる。ねじりも加える。


「痛い痛い痛い痛い痛い!!同じまぶたを何度もつねらないで!伸びる!伸びちゃう!!」



 俺は途中で帰るんだ。勇者として事を成す気はない。



「え、ええと…そこまでやらない、とは……?」


「あー気にしないでくださいこっちの話です」


「はあ……では勇者様、この世界の現状について説明いたします」


「いち一般人として聞かせてください」


「頑なに自分で勇者とは認めないんだね…」






 すぐ帰る気満々なので適当に聞いてたが、内容はまあ予想の範囲内だった。


 簡単に言うと、辺境に突如魔王の城とともに魔王が出現、魔王の配下が徐々に勢力を拡げ、いくつかの国が墜ち、魔王の領土が拡大、治安もどんどん悪くなり、今では魔物や魔王軍の配下だけでなく盗賊などの被害も増えている。

 人々も冒険者となる者が増えて物騒な世界になっている。といった感じ。



「何か入り用でしたら我々は出来る限りの援助を致します。それでは、神の使いとして、世界をよろしくお願いいたします。」



 と、結構あっさり教皇に送り出され、俺の異世界での仕事が始まった。








 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 








 教皇たちがいた建物から外に出ると、イメージ通りな感じのファンタジーな町が広がっていた。なんというかヨーロッパ的なやつ。



「で、まずどうすればいいんだ?」


「基本的には人助けだねー。魔物の討伐とか荒事だとなお良し」



 やっぱりそうなるのか……しかし、いきなり魔物と戦うというのは気が引けるな。



「とりあえずは冒険者ギルドで冒険者として登録して、こなせそうな依頼からやっていくといいと思うよ」



 うーん、やっぱりその流れもあるのか。



「この世界だと登録するとどうなる?」


「まず、ギルド所属の冒険者としての身分ができるね。この世界では、冒険者ギルド所属の冒険者、商会所属の商人、専門職組合所属の各職人……て感じで、組織に所属することで自分の身分を示すから。どこにも入っていない状態だと、それこそモブ扱いになる。そういう人はみんなまとめて平民だとか、村民、町民、市民って呼ばれてるね」



「ふーん……まあこれもだいたい思ってた通りか。冒険者になるとして、その後の流れは?」



「冒険者になると、ギルドの依頼をこなして、レベルを上げながら報酬で装備を整えたり、難しい依頼を達成してランクを上げて、高ランクの仲間を集めるってのが当面の目標になるだろうね。ランクが上がればそれだけ有名にもなるし、身分も高くなってくよ」



 予想の範囲内すぎてまったく面白みが無いな。

 しかしそれをやらなきゃ帰れないのか……



「ギルドに登録しないと依頼って受けられないのか?」


「冒険者として依頼を引き受けることで契約が生じて、失敗や成功の状況がわかるようになってるからね。あと、討伐系だったらギルドからある程度の支給品がもらえるし、危険な依頼で失敗しそうなら救援も頼める。代わりに仲介料として報酬からいくらかギルドに取られるけどね。まあ、アイテム採集系の依頼だったら、未登録の平民が小遣い稼ぎに納品しに来ることもあるみたいだけど」



 ん?



「平民でも条件さえ達成すればいいのか?」


「そうだね。平民だったら契約せずに勝手にやるから、責任も生じないし、ギルドの取り分もなく依頼人からの報酬も丸々もらえるみたい。その代わり、支給品もないし救援も受けられないけど」





 ほう………





「なるほど、じゃあ行ってみるか。」


「よしきた!勇者だからパパッと最上位のSランクくらいになっちゃおうねー♪」



「…………………」





 とりあえず、ギルドに行ってみることにした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ