73話:簡易着火装置式警告装置
タバコ屋さんで手に入る材料と、ベック師匠の銃砲店で手に入る材料で作れる警告・警報装置を自作してみる。
まず直径約1/4インチ(6ミリ強)の適当な棒に5cmx15cm程度に切った丈夫な紙を糊付けしながら巻き付けていく。先端にはゴム接着剤と赤土を混ぜた物を詰め、密封。棒を抜き、黒色火薬をすり潰したものを1cmほど詰めて棒で突き固める。
小さな穴をあけた厚紙を紙筒の穴に合わせて切り、固めた火薬に蓋をする。もちろん穴はあいた状態で。残りのスペースには無煙火薬を軽くトントンと詰め、隙間を埋めるようにする。紙筒の内径に合わせて導火線に紙を巻いて密封。もちろん外側はデンプン糊で固める。これでモデルロケットエンジンの完成。
安定飛行のために竹串代わりの長楊枝を糸で巻きつけ接着。導火線の周りに安全マッチを巻きつけ、やはり糸とゴム接着剤で固定。マッチの頭薬にマッチ箱から切り出した擦り薬の紙片を挟み込む。バネ式ねずみ取りと擦り薬の紙片を紐で繋ぐと衝撃感知発火装置のできあがり。水濡れ厳禁。
さらにねずみ取りの餌をくっつけるところから紐を伸ばせば鳴子の紐と同じトラップになる。
動作原理は簡単。トラップワイヤーに引っかかったらねずみ取りが発動、バネで勢いよく擦り薬がマッチを擦り発火。ロケット花火に点火されて打ち上げ、最後に破裂して警告音となる。自作ロケット花火の「上空での」爆発音は広範囲に広がるので、鳴子より遠距離から警戒が可能となるのだ。難点は雨天では使えない可能性が高いことだろうか。
本当ならトラップワイヤーに引っかかったらショットシェルを発砲させる簡易トラップを作りたかったが、金属削り出しで簡易銃本体を作らないとムリだったので今回は諦める。バネを縮めておいてピンで固定。ピンを抜けば撃発、というシンプルなトラップになるのだが、師匠ならともかく俺ではまだパーツの加工ができない。
野生の獣が相手なら警告の意味を込めて、火を噴きながら飛んで爆発するロケット花火のほうが効率的に追い返せる可能性がある、という理由もありはする。しかしライカンスロープの群れクラスになると警戒はしても諦めてくれない可能性も高い。
そのうちにショットシェルでついでにダメージを与える警告装置もつくりたいものだ。




