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112話:準備


 接敵までの準備としてこちらからは狙いやすい、ちょっとした丘の上にトラックと馬車を止めた。

 すぐに逃げ出せるようにエンジンは止めない。


 敵モンスターが来るであろう方向に数カ所、鉄条網をゆるめに張る。

 俺はやりたいことがあったのでベック師匠に位置の指導を、構築をエミリーに任せる。


 モンスターの群れは街道の側面からこちらに向かってきている様子。敵と街道の間に丘がある形だ。余裕があれば堡塁(ほるい)塹壕(ざんごう)を作って待ち受けたい所だが、最短十分でできる事は鉄条網の設置くらいだ。


 側面に防護板を張った簡易架装のオープントラック。荷台の上には買い込んだ銃器と西都市では生産していない特殊な弾薬類。満載というほどでもないが、自由に行き来できる余裕がある訳でもない。運転席に近い位置に荷物を寄せて、側面にロング判のT.A.Rを設置。足下には予備弾倉を置いておく。膝立ちでグリップを握り、あいた手で弾倉を交換できるようなポジションがとれる。


 敵が向かってきそうな左側面と後部は通路にできるようにあけておく。側面に向かって撃ちまくり、ヤバそうになったら逃げながら撃つ。ベック組以外に残ったムラタ組の若い衆も馬車を守りながら撃つ。分かりやすい作戦である。


 有刺鉄線の鉄条網が妨害に十分使えるとなれば馬車を先に逃がすつもりだ。


 有刺鉄線をものともしないタフなモンスターだったら困る。多少遅くなってもそのままツッコんでくると危険だ。

 いざという時の小細工として防護板にゴム爆弾を設置。といっても全面に塗りつけてリアクティブアーマーなどとやるつもりはない。一気に起爆したらトラックが横転するかもしれないし。

 荷台側板の数カ所にかまぼこ形に形成したゴム爆弾をくっつけ、表面にシカ弾サイズの焼き入れした鋼球を貼り付ける。電線を接続した雷管を爆薬に刺し、一箇所で点火できるように配線を引き込む。ギリギリまでバッテリーに液を入れたくはないが、タイミングとしては余裕のある今しかない。バッテリーとの接続は起爆する時まで禁止。というかスイッチを作っていないので、接続すると起爆する。


 木箱型のバッテリーに希硫酸を(そそ)ぎ、蓋にゴム接着剤を薄く追加してからがっちりネジ止め。傾けて漏れがないことを確認。電圧チェック代わりに雷管に使用しているニクロム線をつないで赤熱を見届ける。一瞬で焼き切れてしまうが、これでいい。点火薬を発火させるには十分な熱量が出る。


 ポケットを探り、メモ帳に書き足す。

『起爆用のスイッチを作ること』


 本当は近接センサーで起爆、くらいのことをしたいが無理です。レバーに触れたらスイッチが入る、ならいけるかもしれないけれど。


 メモを書きながら師匠の双眼鏡を持ち周りを確認。モンスターの影が大きくなっている。確実にこっちを見つけて迫ってきてますね。十分ほど経過したけれどまだ接敵というほどの距離じゃない。はっきり種類が分からないし。双眼鏡を(のぞ)く。


 クマか?

 クマのようなシルエットだが知識が無いので確定できない。

 クマって群れるものなの?

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