108話:ジャック・ムラタさんに提供するネタ
フルオートとセミオート、どっちも撃てるし、撃ち分けられる銃。そんな銃があればいいのに。
というジャックさんの開発は行き詰まっていた。どうしてもトリガー周りが複雑になってしまうのだという。
いま想定しているおおまかな構造はボルトキャリアの後ろにバッファーが存在するAR-15のようなガス駆動タイプだった。かなり素直な配置だと思う。あとはハンマーが落ちるタイミングを制御するためのシアーを複数設置して、切り替えレバーの位置でどれが引っかかるか、トリガーの状態でシアーをどう制御するか、が問題になる。
切り替え装置がどうなっていたかは詳しくは覚えていないが、セミフル切り替え式オートトリガーのだいたいの形と理論は覚えている。前世でモデルガンを弄ってたし、3DCGでシミュレートされた銃をバラしたり組み立てたり動作させるゲームでAKとAR-15はさんざん動かしていたからね。
俺の理解ではAKもAR-15も配置が違うだけで、ボルトキャリアがフルオート用のシアを開放するというのは共通だったはずだ。あとはトリガーシアが一度開放されて元の位置に戻るまで、つまりトリガーを戻すまでハンマーが起きたり倒れたりを自動的に繰り返すわけだ。
トリガーに直結したシアが動作のきっかけになるのはセミ・フルどちらも同じ。
セミの場合はトリガーを引いたままでも、一度ハンマーが倒れて戻ってきた時にディスコネクタがキャッチしてそのまま引っかかり続ける。トリガーを戻したらディスコネクターが開放され、ハンマーがトリガーシアに引っかかって初期状態に戻る。
オートの場合はディスコネクタが機能せず、オート用シアが引っかかる。ボルトキャリアの動きがきっかけでハンマーが開放されればいい。
ボルトキャリアと連動するのがオートシア、トリガーを戻したら開放されるのがディスコネクタ、くらいの認識でいいんじゃなかろうか。
ディスコネクターとトリガーシアの位置関係が難しいんだよね。トリガーの上にディスコネクタが載っている構造を思いつけるかどうか。俺は無理です。動作解説の動画を見てやっと分かりました。
AKはちょっとだけ機械式時計のカチカチ往復するアングルに似ている。
ARだと同じ後方からシアとディスコネクタがハンマーにひっかかる。
ハンマーがボルトキャリアのファイアリングピンを叩く代わりに下がったままで固定するフックとして動作し、ディスコネクタのオンオフだけで切り替えられるオープンボルト方式のほうが構造は簡単だ。
いきなりクローズボルトのフルオートを作られても商売のネタとして美味しくない。オープンボルト方式のサブマシンガンをだいたいの構造だけ伝えておくことにする。
仲間ではあるがまだ身内とまでは言えないからな。




