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亡国の騎士団  作者: 雲ノ上
~序~ 動乱不運を告げる
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第5話

 突如知った事に困惑することは、とりわけ変なことではないだろう。情報はあふれているようでも知ろうとする意思がなければ本来得ることの出来る情報など、たかが知れているのもまた現実である。日常会話で相手の情報を得る行為はコミニュケーションを円滑に行う上で必要とするけれど、わざわざ踏み込んで情報を得ようとする人は居ないであろう。

 今現在においてエミリーは傭兵団の事などを教えてもらえてなかった事に困惑していた。教えてもらえるまでに一年の時間を要することにも疑問を抱いているし、騎士団長が訪問してきたことにも色々と納得が出来ていないでいた。

 困惑するエミリーのことなど誰も気にしないかのように梟の止まり木亭の店内では店員達が色々と準備に取り掛かっていた。いつも笑顔を振りまいてる同僚でさえ、レンの言葉を受けて各々準備に掛かっているのであるから。すでに半数以上がの従業員は店を後にしている、エミリーもここで悩んでいてもどうすることも出来ないので店を後にすることにする。

 エミリーは店を出て家に帰ろうと考えたが先ほどのシーアの一言が胸の奥に引っかかって、頭の中が混乱してまともな思考ができないでいた。こんな時どうすれば良いのか分からなくて家に帰ろうと歩いていたはずなのに、家とは反対の方向に歩いていることにも気づいていなかった。


「あれー……、エミリーちゃんじゃないですか?落ち込んでるように見えますーーー」


「ん?あら、本当ね。暗い顔してるわね……」


 街中を歩いているエミリーをたまたま違う店で食事が終わって出てきたシリルとリリーが見つける、普段とは見るから様子が違うエミリーを見てリリーが声を掛ける。


「エミリーちゃんーー、どうしたんですかー?」


「え?あれ?リリーちゃん……」


 突然声を掛けられてエミリーは声がした方を向く、昔から仲良くしてくれる友人の顔が視界に入って少し安心した顔をする。


「どうしたんですかー?暗い顔してますよー、何かあったんですか?」


 エミリーは優しい友人の一言に何て返せばいいか分からないでいた。


「いきなり店を閉めたことと関係があるんですかー?悩み事なら相談に乗りますよー」


 普段と同じように笑顔でリリーはエミリーに話しかける。横にいるシリルでさえ心配しているのが表情から読み取ることが出来る。


「リリー、いきなり色々と言ってもエミリーちゃんが困ってしまうわ。あと、エミリーちゃんの家はこっちの方向じゃないでしょ。それと話をするにもこの辺じゃ落ち着いて話が出来る場所なんてないし、とりあえず私達の泊まってる宿に行きましょ」


 シリルの言葉で自分が家とは違う方向に進んでいたことに気づいたエミリーはシリルの提案に乗ることにする、今は一人で悩むより誰かに相談したいと思ったからだ。


 旧市街を抜けて、シリル達が泊まる宿屋に移動する。シリル達が泊まっている宿は冒険者をする者の中では中流に位置づけされている宿屋である白百合亭と言う宿屋に宿泊している。白百合亭の一室でシリル、リリー、エミリーの三人が丸テーブルを囲って座っている。シングルベットが二つとテーブルだけの簡素な室内であるが清潔感がある部屋である。


「色々言いにくい事もあると思うから無理に話さなくてもいいわよ、話せることだけ話してくれれば良いわ」


 エミリーの前にコーヒーを出しながらシリルが話し出す


「私とーエミリーちゃんの仲じゃないですかー、遠慮なんてしないでくださいー」


 エミリーの横でリリーがどんと来いって感じで胸を張っている


「リリー、無理やり聞いても意味ないでしょ……、エミリーちゃんが話したい事だけで結構よ」


 リリーの態度を嗜めてシリルがエミリーに優しく言う。


「はい。えーと、どこから話せばいいかな……、私が言ったことはここだけの事にしておいてくれます?」


「もちろんよ、誰かに話すようなことはしないわ。約束するわ」


 エミリーの心配を払拭するようにシリルが語りかける、エミリーの横にいるリリーも相槌を打って同意する。


「実はですね……、シズ団長が来たのはルーランド帝国とリング王国で戦争が始まったらしくて、その戦闘にマスターに参戦してくれとお願いしにきたんです」


「そ、そうなの……戦争ね……」


 エミリーの一言に戸惑いの顔をするシリルとリリー、エミリーが語っている事が事実だとしたら大変なことであるのは冒険者じゃなくても分かることであろう。少なからず明日には情報が騎士団から出されると思われるが、今のタイミングで知るということは意味合いが変わってくるであろう。


「なんでも、マスターは梟って傭兵団と関係があるみたいで、従業員達もみんな梟のメンバーのようなんです。で、明日の昼までに準備を整えて集合するようにって。私は傭兵団の事を知らなかったので簡単な説明だけはしてもらったんですけど、なんでも一年以上梟の止まり木亭に勤務しないと傭兵団の事は教えてもらえないみたいで、今回は急遽だからか私も参加するかどうか聞かれたんです……」


 先ほどあった出来事を簡単にシリルとリリーに説明をするエミリー。シリルは梟の単語がでた辺りから表情が険しくなっていた。


「今ので大体は分かったわ。ようは参加するかどうかってことよね……」


「危ないことはー止めたほうがー良いとー思いますーー」


 リリーはエミリーの身の安全が第一だと言って、参加には否定的のようである。一方のシリルであるが何か考えているようである。


「チーフのシーアさんからはマスターと一緒に参加できることは名誉なことだって言われたんです……、その意味も分からなくて……」


 エミリーがシーアから言われたこともリリーとシリルに話す、


「戦闘自体はどう思っているの?王立魔導師学校を出ているから慣れているとは思うけど、最悪命にかかわることだからね……」


「戦闘自体に参加することは抵抗があるわけではないです。学校を出ているので、少なからずどこかで戦線に出ることになると思いますしね……」


 王立魔導師学校を出ている人間は国の有事の際に出動することが義務化されているので、リリーもエミリーも騎士団に所属してなくても戦闘からは逃れることは出来ないのが現状である。ただし、戦闘に参加するときの組織によって命の存命率が変わってくることは素人でも分かることであろう。騎士団であれば最前線に繰り出すことが多くなるために死亡率も比例して多くなる。

 また後方支援を主任務とする部隊であれば助かる確率も大きくなるのも簡単な話である。傭兵団は基本的に戦線に出ることが多い。後方支援を主任務にしないのであれば当然、最前線に駆り出されることは明確であり、騎士団と同じように死亡率が跳ね上がるのも納得できるであろう。

 また、傭兵団以上の死亡率になるのが冒険者達である。組織化が出来ていないので仕方が無いのでる。冒険者であろうが傭兵団であろうが指揮系統は騎士団に属するのがリング王国では決まっている。

 さて、ここで問題になるのが組織の人数ならびに過去の戦歴であろう、過去に大きな勲章などを授けられた騎士団や傭兵団は少なからず激戦地に向かうことは明確であろうし、首都防衛線などの重要任務に就くことも予測できる、さてここまでを踏まえて今話しに出てきた梟はどうなのか?と言う疑問が出るであろう……。


「実はね、私は梟って言う傭兵団の事は噂だけど聞いたことがあるの……」


 シリルがエミリーに自分が聞いたことがある噂話をゆっくりと語り聞かせる……。

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