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亡国の騎士団  作者: 雲ノ上
~序~ 動乱不運を告げる
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第3話

 騎士団に所属している幾多の兵士が普段とは違う雰囲気で行ったり来たりを繰り返している。

 今日も一日平和に終えることが出来ると思っていた兵士達の元にある一報が届いたのである。王都ザバを首都とし国策では各国との融和政策を打ち出し、争い事を今まで積極的に行うこともなく近隣諸国と友好関係を築いていると思われたリング王国に対して隣国であるルーランド帝国が軍事協定ならびに通商協定を一方的に破棄を宣言し同日宣戦布告を告げたのである。通信手段が発達していない為、リング王国に宣戦布告等の書状が届いたのはルーランド帝国で開戦宣言を公布した日より一週間が経っていた。尚、王城にルーランド13世の書状を届けた使者は終始笑顔だったと言われている。

 現在リング王国とルーランド帝国は二年に一度行われる合同軍事演習を約一ヶ月後に控えており、今回の演習はリング王国での開催になっていた、すでにルーランド側の兵団は演習の為にリング王国内に入っいる事も混乱を招く一因になっていた。

 今回の演習でルーランド側が参加させている兵士数は約五千人と例年より多かったが、多いと言っても千人ほどだったためにリング王国は許可を与えていた。

 ルーランド帝国とリング王国の間にあるオール砦ではすでに戦闘が起きていると早馬が現状をもたらした、駐留している兵士数は約八百人で死守できない事が予測出来るため、現在王都より援軍を送ろうと部隊編成を急遽行っているのが現状である。しかし指揮官の中にはすでにオール砦に兵士を送るより王都の守備の為に兵士を残しておくべきではないかという意見も出てきている。

 現状はオール砦はすでに後ろを取られている上に兵士数が少ない、王都より兵士を派遣しても約五日かかる。送る兵士数が多くなればなるほどオール砦に到着するまでにかかる時間は多くなる等の理由により部隊編成が思うように出来ないでいた。

 リング王国軍事卿である最高司令官エイド将軍は報告書類を見つめながら頭をフル回転させていた。王都戦は確実に起きる、ここで無駄に兵士を減らす訳にはいかないがオール砦を捨てるには時期早々と思われる。今から送るならば足が速い騎馬隊と攻撃能力が高い魔導師部隊が適任だな。魔導師の部隊には軍馬車を使わせることで足は確保出来るであろう、長期戦になっても良いように魔導師には貯蔵庫タンクを一対一で付けるべきであろう。編成としては騎馬隊一連隊を軸にして魔導師からなる連隊と魔導師に貯蔵庫タンク部隊を一連隊分を随行させた部隊編成とする。内訳として、騎馬隊を千五百名、魔導師九百名ならびに貯蔵庫タンク九百名、合計三千三百名をもって一旅団としオール砦に派遣することとする。

 エイド将軍は、部下に現在の状況を確認しつつ今出来上がった部隊編成案に基づき編成させるように指示を出す。明朝までに部隊編成を終わらせて日の出までに王都を出兵できればと焦る気持ちを悟られないように座っている椅子の上で溜め息を吐いた。間に合ってほしいと祈るが神は聞き入れてくれるだろうか?と普段は神になど頼らない男が藁にもすがる気持ちで祈っている、状況が悪い中での開戦であることも然り、兵士の錬度もそこまで高くないことも不安にさせる要因であった。



 朝日に映し出される街中で、オール砦に向け出発する兵士を王城から見守る国王であるリング・オージズ・レイリーは覚悟を決めた顔をしていた。何を覚悟したのかは国王以外で知る由はない。


 リング王国とルーランド帝国の歴史に残る分岐点の始まりの朝だった。

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