表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
亡国の騎士団  作者: 雲ノ上
~序~ 動乱不運を告げる
30/34

第26話

 空を見上げると、白色の合間に青色が見えていたのに、雲が厚くなってきたのか青色が見えなくなり、黒い空になり始めていた。

 やっとボークス将軍率いる部隊に追いついたアーカディアであったが、王都に近づくにつれ戦闘音が聞こえてくる。

 自軍が目に前に居るので、詳しい状態は分からないが戦闘音が聞こえるので、戦いは始まっているのだろう……。

 

「お前達はここで待機しておくように、ボークス将軍の指示を伺ってくる」


 魔導師部隊を後方で待機させ、到着報告などをするために、アーカディアは指揮官であるボークス将軍が居るであろう場所を探す。

 大規模な戦闘を指揮するなら、指揮官なら後方に陣を構えるのがセオリーだろう。

 しかし、後方を見渡してもボークスらしき人物の姿が見当たらない。

 アーカディアは、まさかと思いつつも部隊の前方に進む。

 指揮所がある場所としては一番の愚の骨頂ともいえる、最前列に参謀達の姿を見つける。


(何を考えているんだ……。指揮するものが前線に居るとは何かの間違いか?)


 前方に出た事で、現在の戦闘状況が視界に入ってくるのだが、アーカディアは呆気に取られてしまう……。

 それもそのはずである、勇んで突撃をする兵士が戦っているのだと思っていたのに目の前には兵士の姿すらなかった。

 しかも、目の前にある門はすでに破壊されているのに兵士が突撃していないのも納得が出来なかった。


「先任参謀!!ボークス将軍は何処か?」


 突然に怒涛の声を上げながら近づくアーカディアを見つけ、先任参謀は何事も無いかのように答える。


「ボークス将軍は現在、敵と交戦に入っております。ですので、ここには居りませんぞ」


「居ないだと!!ふざけているのか?

 それに、門が破壊されているではないか?

 門が壊れているのならば、兵士を突撃させよ!!」


 わがままを言う子供を見るような目をアーカディアに向けながら、先任参謀は出来ないと言う。


「我が部隊は、ボークス将軍の部隊である!

 突撃を決めるのも、撤退を決めるのも全てボークス将軍である!」


「お前達は、参謀であろう!将軍の言いなりが、お前達の仕事か?

 そもそも、参謀達が作戦を決めて遂行させたりするものだろう!

 所詮、将軍などお飾りだ・・・・


 アーカディアの一言は、踏んではいけない虎の尾を踏んだようなものだった。


姫様・・は、戦場を知らないのでしょうか?

 それとも、知っていての発言でありましょうか?

 まぁ、どちらにせよ。寝言は寝ているときにされるのがよろしいでしょうな……」


 決して姫様に言って良い類の言葉ではないが、先に喧嘩を吹っかけてきたのはアーカディアである。


「今は、姫としてここに居るのではない!!魔導師隊の将である、アーカディア将軍と呼ぶように!」


「これはこれは大変失礼しました。アーカディア姫将軍様!」


 アーカディアの顔が見る見るうちに赤くなっていく……。怒りで震えているようにも見える。


「ボークス将軍が居ないのであれば、第二権者である私が決める。

 アーカディア将軍の名で命ずる!歩兵並びに工兵、重歩兵を突撃させよ!」


 命令だと言い放つが、先任参謀だけでなく他の参謀も聞こえない振りをしている。

 先任参謀とアーカディアのやり取りを見ている兵士達でさえ、アーカディアに冷たい視線を送っている。


「命令だ!何故聞かぬ!」


 いい加減にして欲しそうに、先任参謀が口を開く。


「アーカディア将軍……。

 今はまだ、魔導師部隊は我が部隊に合流しておりませんぞ。

 ボークス将軍が承認して初めて、我が部隊の一部となりえます。


 故に、現在アーカディア将軍には我が部隊に命令する権限はありません。

 

 さらに言わせて頂きますと、命令書にボークス将軍の部隊に入るように書かれています。

 なので、現在の魔導師部隊は同胞軍であるだけで第三者の扱いになります。

 付け加えると、現状では魔導師部隊に戦闘に参加する権限もありません」


 命令書と軍規とを照らし合わせて、分かりやすくアーカディアに説明する。まるで教師と生徒の関係を見ているようである。


「ぐっ!ならば、私達は、私達で好きにさせて貰う!」


 軍規に違反する行為だと気付いていないのか……、それとも軍規を読んだ事が無いのか……。

 そこまでお人好しでもないので、軍規を犯すことを教えたりはしない。


「ボークス将軍の邪魔だけはしないで下され」


 先任参謀の言葉を聞き終える前に後方へと下がっていく。

 困った将軍だなと、声には出せない事を先任参謀は考えていた。







 防壁からの伝令が騎士団本部に、またも駆け込んでくる……。

 上層部としては、約一時間前に指示を出したばかりでる。今入ってきた伝令みたいに、慌てて入ってくるとは誰も考えていなかった。


「ほ、報告!!北門が破られました!!

 そ、その上……、敵軍に援軍です!」


 上層部の者達は、伝令の報告が頭に入ってこない。

 まだ、防衛戦を開始してさほど時間など経っていない……。突破されたなど夢にも思わないであろう。


「北門が破壊されただと……。

 本当であれば、市街地戦になりますぞ!

 しかも、増援が来た事で王城まで一気に駆け上がってくる可能性もあります……」


 上層部の一人がエイド将軍に進言している。


「市街地戦で敵を止めれれば……。まだ、停戦の道はあるか……」


 停戦を持ちかけるにも、門を撃破した相手に申し出ても聞き入れられないだろう。

 そこで、エイド将軍としては市街地戦で戦力を削るしか無いと考えた。


「相手の増援は何であるか?」


「魔導師部隊と思われ、約千名程であります」


 魔導師部隊であるか……、出来れば、王城まで戦場にはしたくない……。

 

「王城に居る魔導師二千の内、五百を北門の方へ向かわせろ!

 合わせて、市街地戦用に王城から重歩兵も三百ほど出撃させよ!

 先頭を切って入ってくるのは歩兵どもである。魔術師がいれば優位に立てる」


 市街地での戦闘ならば、相手も纏まって攻撃は出来ない。その上、歩兵ならば魔導師の敵にはなりえない。

 そもそも、相手に魔導師が居ないと考えていた為、敵に魔導師が増えたところで魔導師だけの数を見れば、まだ此方に有利だとも考えていた。

 現場を見ていないのに、伝令の情報のみで敵戦力を判断する事は普通はしない。しかし、騎士団本部の者達は自分達の間違いに未だ気付かない……。







 防壁の上では、レリーが忙しなく兵士の配置などを指揮していた。

 敵の戦力の増援、門の破壊、このままでは市街地戦になってしまう。それだけは避けたい。

 幸いな事に、門が破壊されても敵に動きが無かったので、レリーは落ち着きを取り戻す事に成功していた、一時期は逃げ出す算段まで考えたが、でも守りたい人が居るからと思い留まっていた。

 レリーの指示により、防壁上には魔導師と投石の為の兵士を残し、後は門での守りに付くように命令を出す。

 先ほどのボークスが攻めてきた様に、予想外の事が起きても良いようにと念入りに思考する。

 レリーの指示通りに配置が終わった頃に、敵にも動きが起こる。

 先ほどまで、門が開いてるにも関わらず攻めようともせず、ただ此方を睨んでいただけだったが歩兵の前に、軽装の兵士達が出てくる。


「うーむ、装備が軽装過ぎる……。工兵ではなさそうだが……。


 まさか!魔導師か!

 敵前面に対して、一斉攻撃はじめ!

 うてぇぇ!」


 先ほどのような失敗は、もう出来ない。たった一人の敵に成す術も無く、良いようにやられてしまった。

 レリーの号令で一斉に攻撃が開始される。敵の歩兵、工兵などは此方の攻撃が確認される前に、此方との距離を開いていた。

 敵の参謀は、優秀なのか馬鹿なのか判断が難しい……。

 歩兵などには、魔法の効果範囲から離脱する指示を的確に出している。

 だが、前面に出てきた魔導師達には撤退の指示を出してない様で、容赦なく炎の塊が襲い掛かっていた。敵の作戦は分からないが、今は削れるだけ削りたい。


「少しでも、消耗してくれ!騎士団本部が馬鹿でなければ、増援を寄越してくれるはず……。

 それまでに、すこしでもいい、相手に打撃を入れておきたい」


 レリーの切実な気持ちが届いたかは分からないが、少なからず相手に損傷を与えていた。

 一斉攻撃の号令に従っていた梟の面々であるが、前方の敵よりもボークスとその部下と思われるメイドの方の戦いに注視していた。



 ウテナとシーアが双子の相手をしている。


 ウテナも伊達に三番隊の隊長をやっているわけじゃない。戦闘には不向きな着物を着崩し、手には鉄扇を持ち、魔法を駆使しながら軽快に動いている。

 手に持っている鉄扇は、一メートルは有りそうなほど大きいのだが、細い腕で難なく扱っている。

 過去に、団員の一人が持たせてもらったことがあるのだが、振り回すなど出来ないほど重かったと言っていた程である。

 しかし、その鉄扇を軽々と扱う姿は、まるで踊るかのように滑らかであった。

 

 ウテナは鉄扇に魔法陣を出現させ、鉄扇に効果を乗せて戦う事を好む。

 普通に戦えるのだが、打撃武器としても刃物としても使える鉄扇を梟に入った当時から愛用している。

 


 シーアの方は、腰に二本の剣をぶら下げている。

 片刃の真っ直ぐな剣を使う二刀流スタイルである。

 元々、二番隊隊隊長である、ヤナギが使うスタイルである。ヤナギは魔導師ではないけれど、剣士としての腕は一流で、魔導師以外で初めて隊長になった男である。

 今も破壊された門の近くで腰を降ろしながら、シーアの戦いぶりを見ている。

 武器の指導をヤナギから受けたときに、二刀流を使いこなすヤナギに憧れてしまい、真似る様になったのが始まりである。

 ただ、ヤナギと違うのはウテナと同じで、武器に魔法を乗せる戦い方をする。

 もしかしたら、戦い方が似ているために仲が悪いんじゃないかと言われるくらいである。


 メメンもモリンも、武器に効力を乗せて戦う者は初めてなのか、防御一辺倒であった。

 一方、ボークスとサザナミの方は向かい合って動いていない、何かを話し合っているようにも見えた。

 番外話が長かったので、今回は少し短くしてみました。

 えっ?説明が少ないって?そ、そんなこと無いよ。多分……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ