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亡国の騎士団  作者: 雲ノ上
~序~ 動乱不運を告げる
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第1話

 男二人に女二人の四人パーティーの冒険者が今日の仕事を終え旧市街を目指し歩いている。

 このスゴット大陸において冒険者はとりわけ珍しい職業ではない、職種としては商会の荷馬車の護送や近隣に出没する獣やモンスターの討伐、変り種だと治安の維持などの仕事もある、治安関係は各都市ごとに雇用の形態が違うためにここでは語らないでおく。

 冒険者以外でも護衛任務などにつく職業に傭兵がある、冒険者と違うことは戦闘に特化した者達が多い事が違いとしてあげることができるだろう。ただし、傭兵と冒険者の分かれ目は曖昧なので個人で名乗りを使い分けていたりする。

 尚、冒険者や傭兵の仕事の斡旋は都市ごとの行政が管理をしているので人の多い街になればなるほど冒険者の仕事はおおくなるが、人口が多いと言うことは色々な職業の人たちが集まることを示すので一つの職業が浮くこともない。そんな彼らに対して通りを歩く人達は気にすることも無い、中には屈強な体の男や見た目が麗しい女性が居るので目が行くこともあるが冒険者に限ったことではない。

 

「今日の仕事も怪我無く終えることが出来たことだし、毎度の事だが皆で飯でも食べにいくか?」


 多分このパーティーのリーダーと思われえる見た目20代の後半にであろう短髪で髭なども生やしておらず、清潔感のある男が仲間の方を見ながら予定を聞いている。

 

「どうしましょうか~、私は~皆さんが~食事に行くなら~一緒にいきます~」


 ローブを纏った小柄な少女がおっとりした話し方で答える。


「リリーが行くなら私も行くわよ」


 少女の隣を歩くもう一人の女性も意見を言う。皮鎧を身に付け、女性にしては身長が高く腰に二本の片手剣を差しており、目元が少し釣り目でクールな雰囲気がでている。


「俺は予定があるからパスで、前々からの約束してたからな」


 予定があると話し方が軽い男が言う。口調は軽いが背中にある武器は大きな斧で体に付いている筋肉も周りに居る男に比べれば発達しているのが見ただけで分かる。体は大きいが今は顔がにやけそうになるのを必死に抑えてることが顔をみれば伺うことができる。


「ライのことだから、娼館の女でしょ?ほどほどのにしときなさいよ」


「ちげーよ、ビビット商会の受付嬢だ。シリルみたいに愛想のない女じゃねーしリリーの嬢ちゃんのように幼くもないしな。気遣いの出来るオトナの女性だ、しかも可愛いんだぜ。今日は手料理をご馳走してくれるって・・・・」


 同じパーティーメンバーを引き合いに出しながら、ライが自慢するように熱弁を振るってる姿を、リリーとシリルは話など聞かずに批判の目で見ている。人通りが多いので喧嘩することがないが、ここが路地裏であったならライの泣き顔を見ることが出来たかもしれない。


「そうかライは予定があるのか、仕方ないな。みんなで食事に行きたかったからな、今回は別々にしておこう」


「そうしてくれるとありがたいがラークはどうするんだ?」


 未だにリリーとシリルの非難の目向けてる事に気づかないライが申し訳なさそうに聞く。


「そうだな、まだ時間があるから武器屋に行ってみるよ。その後は宿に戻って食事でもするかな。まぁ、ライは気にせず楽しんでくればいいよ。リリーもシリルも申し訳ない」


 すまないとリリーとシリルに謝り、ライには気にするなと笑顔を向け話すラーク。仲間の事を気遣える性格なのが、このパーティーのリーダーをしてる一番の理由なのかもしれない。


「私は、梟の止まり木亭にいくよ。リリーはどうする?」


「私も~、一緒に~行きます~」


 女性陣の予定も決まったようだ


「しかし、シリルも梟の止まり木亭好きだよな、お目当ての男でもいるのか?」


 ライが悪戯小僧のようにニヤニヤしている。


「そっ、そんなんじゃないわよ、ライじゃないんだから。お酒を飲むにしても食事をするにしても、あの店は落ち着くのよ」


 必死に否定してるシリルの横で間違った援護をするリリー


「今日は確か~、マスターさんが~出勤する日のはずです~」


「ちょっ、リリー!!」


 普段の姿からは想像できないうろたえてる姿が面白のかライが煽る


「俺は誰かさんと違ってだな、素直だから自分の思ったように行動するだよ」


 勝ち誇った顔をするライと恥ずかしそうなシリルの会話を聞きながらラークが話を締める


 んじゃ、ここで解散って事で明日は休みだからなとラークが声を掛けるとそれそれの目的の場所に向かって歩き出す。



 通りを歩く女性の二人組、先ほどの会話を思い出しシリルがリリーに抗議する。


「ちょっとリリー、さっきの一言はひどいわよ。私はレンさんが好きで通ってるわけじゃないの。さっきも言ったけど、お店の雰囲気が気に入ってるのよ」


「でも~、シリルさんは~マスターさんの~出勤日は~必ずお店にいきますよね~」


「えっ、よく覚えてるわね、って違う!!たまたまよ、本当にたまたまなんだから」


「そうゆうことに~しておきます~、私は~エミリーちゃんが働いているので~梟の止まり木亭に行きますけど~」


「エミリーって子は確かリリーの同期だったかしら?」


「そうですよ~、王立魔導師育成学校の同期です~」


「ふーん、ところでリリーもエミリーって子も名門の学校を卒業してて王立騎士団に入ってないって変わってるわね」


「私は~おっとりしてるからって~騎士団の試験の時に断られて~入れなかったんです~、エミリーちゃんの方も~色々あって~入れなかったんです~」


 さすがに仲間だと言っても過去に干渉するのはマナー違反だとシリルは話を変える


「変な事聞いてごめんね。今日は私がおごるわ、遠慮しなくて良いわよ。この前言っていたスペシャルデザートセットも奢っちゃうわよ」


「いいんですか~食べますよ~私~」


 ふんすと可愛らしく気合を入れるリリーを可愛いなぁーと思いながら二人は歩く。目の前にはすでに目的のお店が見えていた。



 扉が開く音が微かに店内に響くが、活気がある店内で誰も気にしていない。店内は開店してまだ時間が経ってないがすでに六割は埋まっている。扉から入ってきた二人組にカウンターでビールを注いでいた男性が声をかける。


「おう、いらっしゃい。先週ぶりじゃないか、シリルもリリー嬢も元気そうでなによりだ」


「こんばんは、先週会ったばっかりで早々変わったりしないわよ。リックはまた一段と髪が薄くなった様だけど」


「はっ、何言ってやがる。それこそ数日で変わるはずないだろう?」


「リックさんこんばんは~、あ、そう言われてみると~薄くなってるかもです~」


「「えっ!!」」


 店内に驚いたリックの声と冗談で返えしていたシリルの声が響く


「えへへ~、冗談ですよ~」


 悪戯が成功して笑顔のリリーに冗談で良かったとリックが安堵している


「席は何時もの場所かい?今日はマスターの出勤日だからマスターが居るけどいいかい?貸し切るならマスターにどいてもらうけどよ」


「いえ、気にしないで、マスターと私達の他には居ないようだし貸し切る料金がもったいないわ」


「そうか、それなら良いけどよ」


「席に向かう前に、注文していいかしら?」


「おう、いいぜ。今日はいい肉が入ってるからよ、肉料理がオススメだ。特にルドルフが作る一口ステーキはオススメだ。酒は先週の終わりに蒸留酒でいいのが入ってる、一口ステーキに合うし酒が旨みを引き立てる。個人的にはロックをすすめるぜ」


 今日のオススメを聞いて迷わず注文を決める


「じゃ、それでお願いするわ。一口ステーキの他にも二品ほど摘めるものをお願い」


「私は~スペシャルデザートセットで~お願いします~」


 リックはリリーの注文を聞いてビックリしている


「リリー嬢、セットでいくのか?食べ切れるのかい?昨日だって注文した大男が食いきれなかったんだぜ」


 この店に限らず注文したら残さないのが暗黙のルールであるのでリックが心配している


「大丈夫ですよ~、問題ありませんよ~」


「まぁ、そこまで言われたら仕方ないな、分かったぜ」


 二人に席に向かうように様に言ってリックも厨房に向っていく。

 

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