会おうか、会うまいか。
ガラガラガラ。
「おばさん。こんにちは。」俺は、放課後、悠乃の家に行った。サッカー部は、引退したから、もうない。もう、悠乃は、居ないけれど。悠乃に、会いに来た。
「いらっしゃい。大雅君。」快く、おばさんは、迎えてくれた。
「今、お茶出すから。」
おばさんは、言ってきた。優しい。だが、すぐに帰るつもりだ。
「いえ、お構いなく。」
そう言ったのだが、おばさんは、押しが強い。飲み物をどうするか、聞いてくるはずだ。
「なにが、いい?麦茶?コーラ?カフェオレも、あるけど。」
やっぱり。そういえば、悠乃も、押しが強かった。悠乃は、一度、こうと決めると、譲らない人間だった。小学校のころの委員会目標決めのときも、遠足の班行動決めのときも、学級文庫の本追加についての議論も。押しが強くて、人生イージーモードだったんだろうな。俺は、威勢はいいくせに、押しが弱いからな。よく、悠乃に、『もっと、しっかりしてね。それで、私を、守って。』って、言われた。そういえば、悠乃は、本を読むのが好きだったな...そんなことを思っていると、おばさんが、俺の顔を覗いた。悠乃にそっくりな仕草で。
「大雅くん、泣いているけど、なにか、あったの?」
そう言ってきた。気づていなかったけれど、俺は、泣いていたんだ。急いで俺は、袖で、涙をぬぐった。
「あ、えっと、いや、なんでもないです。なんかすいません。」
「そ、そう?まぁ、これでも飲んで。」
おばさんは、コーラの入ったガラスのコップを、俺の前に置いてきた。本当は、カフェオレの気分だったが、せっかく持ってきてくれたんだ。ぐびぐびと、俺は、コーラを飲みほした。やっぱり、カフェオレの気分だった。
結局俺は、悠乃の遺影とは、向き合えなかった。
終わり方が微妙ですが、許してください。