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14歳図書部本の虫の読み方

作者: 碧尉翼

 今日も私は本を読む。

 飽きずに何度も本を読む。

 今日も一冊、手に取った。


 本を買うのは、月に一回だけ。

 本は面白いから、欲しい本は無限に出てくるから、際限なく買ってしまうと、あっという間にお小遣いが底をつく。

 月に決められた額でやりくりするその過程も、一つの楽しみだったりする。


 月に一回。主に第一日曜日に、自転車に乗って駅まで出かける。

 音楽を聴きながら行くのが一番楽しいけれど、道交法違反になるからなるべく控える。

 駅の中にある本屋。駅の外にある本屋。小さくても品揃えが少なくてもリサイクルショップでもいい。“本屋さん”なら、全て寄る。

 入って、陳列を見る。本屋さんによって売っている本や本の並べ方が違うから、それを見比べるだけでも楽しい。本棚の位置とか内装とか、それを見て回るのも楽しい。

 近代的な内装もいいけれど、私が一番好きなのは、茶色で統一された落ち着いた、図書館のような内装。天井にまで届くほどの本棚にびっしり本が詰められているのを見ると、わくわくする。

 欲しい本はあらかじめインターネットかなんかで調べて決めておいて、買うのはポイントカードを持ってる本屋で。だから小さい本屋は、ほとんどウィンドーショッピング用。立ち読み用。お店のおじさん、本買わなくて、ごめんなさい。

 でも、小さい本屋には、大きい本屋や古本屋にはないような珍しい本が置いてある。店長さんの趣味かな? と思えるマニアックな本も。思わず、手にとってみたくなる。

 掘り出し物が、見つかる。

 でも一番掘り出し物が見つかるのは、やっぱり古本屋さんかな。

 私が生まれる前の本とか、絶版になった本とか、大きい本屋に絶対置いてないような本が、たくさん置いてある。

 しかも価格が新品の半分以下だから、とっても得した気分になる。この間は、七冊買って新品だと5840円の本たちを、3000円ぽっきりで買えた。

 約3000円浮いて、気持ちも浮いたっけな。上手にやりくりしたぞって、自分を褒めたくなる。

 でも、そんなお得な古本屋さんにも、ちょっと苦手なことがある。

 古本屋さんが苦手としていることじゃなくて、私が苦手としていることなんだけど。

 古本屋さんって、たまに、発売から一ヶ月足らずの本が置いてあるよね。特に値段の高いハードカバーの本なんかが置いてあるのを見つけると、ラッキーってなるんだけど。

 自分が新品で買ったばかりの本が置いてあるのを見ると、とっても損した気分になる。そんなときは、でもほら、これには帯が付いてないよ私。私は帯がないと買いたくないタイプなんだから、新品で買ってよかったんだよ。なんて、無駄に自分を励ましてみる。


 山菜を採りに行くときは、十本山菜を見つけたら、四本だけ頂いて六本は山のために残しておくように。

 十冊欲しい本が見つかったら、月の頭に八冊まで買って、残りの二冊は来月に持ち越す。

 一度に全部買っちゃうと、次はこの本を買うために一ヶ月頑張るぞっていう気が起きなくなるから。

 まぁ、購入した八冊の本読んでれば一ヶ月なんてあっという間に過ぎていくし、一月もあれば欲しい本はまたわんさか見つかるから、そんな心配しなくてもいいんだけどね。


 でも、一つ心配が消えれば、また新たな心配が湧き上がってくる。

 小説ばっか読み耽っているせいで速読が身についてしまったらしく、今までは一週間で文庫本一冊が限界だったのに、今では一日あれば文庫本を読み切ってしまえるようになった。

 学業や友達づきあいがあるから一日中本を読んでいるなんてことはなかなか出来ないけれど、それでも平日に二日あれば事足りてしまう。

 一冊に掛ける時間が減るとたくさん本が読めていいじゃないかと思う。

 けれど、一冊に掛ける時間が減るということは、八冊全てを読みきる時間が短くなり、一ヶ月を乗り切れなくなる可能性があるのだ。

 本。私はストックがなくなると、すぐ新しいのが欲しくなる。そしてそれを抑えるのに苦労する。

 買うのは月に一回だけ。買うのは月に一回だけ。じゃなきゃお小遣いなんてすぐになくなっちゃうんだよー。

 仕方なしに、過去に買った本を何回も読み返して、あまった日にちをやり過ごす。


 今日も私は本を読む。

 新しい知識と見解を手に入れる。

 でもそんながめつい理由だけで読んでいるわけじゃない。

 本には、心にぐっと来るような言葉がたくさん詰まってる。

 それを見つけるために、買う。読む。読み返す。

 それの繰り返し。

 この先の人生で、いくつの本にめぐり合えるかな。


 今日も一冊、手に取った。


 ◆END◆

 ここまで読んでくださりありがとうございます。沖田リオです。


 この作品は、いつもと書き方を変えてみました。

 会話をなくして、かっこもなくして、地の文だけで書いてみて、その地の文に主人公の感情も混ぜ込んでみる。

 書いていて楽しかったです^^

 たまには変り種も楽しいです。


 主人公みたいに、ここまで“本屋さん”を楽しむ人、どこかにいますかね?

 居たらぜひお友達になりたいです。自分も生粋の本の虫で、主人公みたいに本を買うのも好きだけど、本屋の内装とか陳列にも興味がある人間なので。

 速読、身につけたいです。


 重ねてになりますが、最後の最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

 また貴方様のお目にかかれるよう、精進してまいりたいと思います。

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― 新着の感想 ―
[一言] むふふふふふってな感じ。 楽しい日常のヒトコマ。ここまで愛されれば、本も嬉しいだろうなあ。
2011/03/07 08:43 退会済み
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