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第九話 守る為の術


「空和もまだまだだな!」


 父さんは床に突っ伏している俺を見て、豪快に笑った。


「それ、稽古の範囲超えてるだろ!」


「花びらを斬れば無効化できるんだから斬ればいいだろ?」


「無茶苦茶言わないでよ!あんなの斬れるわけないじゃん!」


「じゃあもうちどやってみろ」


「は?」


 父さんは一度、木刀を腰に刺し、構える。


「《抜刀術・桜花爛漫》」


また、あたり一面に桜の花びらが広がる。


「はっはっは!!痛い思いしたくなかったら全力で切り刻んでみろ!!」


「鬼!鬼畜!悪魔!まっじでふざけんなよォォォ!!!」


 俺は涙目になりながら、花びらの中心に突っ込んでいった。



 ――――――――



「はぁはぁはぁ……」


「んー。まあ、普通ってとこか」


花びらが肌を裂く。

痛い。

でも、止まれない。


ここで止まったら――父さんの背中に、届かない。


 花びらが肌を裂くたび、血が滲む。

それでも骨は折れない。


「刀はな、斬るためにあるんじゃない」


「守れなかった時に――後悔しないために振るうんだ」


「俺みたいになるなよ」


 そんな日は、一生来ないと信じて疑わなかった。

 最強の父さんがいて、笑う母さんがいて、可愛い妹がいる。

 この日々が壊れるなんて、おとぎ話の悲劇より実感がわかなかったんだ。


「よし、一旦やめて朝ごはん食いに行くか!」 


 時刻は十時過ぎ。

 いつも間にこんなに時間が過ぎてたんだ。

 流石にお腹も空いてくるな。



 ――――――――



 玄関をくぐった瞬間、力が抜けた。

 そんな俺をいつものごとく美雨が引っ張って中に入れる。


「お兄ちゃん、おかえり!」


 美雨は俺の傷に触れた。


 ほんの少しだけ、痛みが引いた気がした。


 呑気なもんだ。


「さ、もうご飯はできてるよ」


 母さんに呼ばれ、全身傷だらけの身体にむち打ち、立ち上がる。


 こんなに身体が痛いのに、美雨をおんぶする。


 食卓につき、食事を始める。


「聞いてよー。父さん、朝からひどいんだよ?桜花爛漫を連発して……あれ、なんで代償がないの?」


 苦労話をしようとしたが、ふと疑問に思い、父さんに尋ねた。


「そりゃ、あんな弱っちい桜花爛漫、代償も少ないに決まってるじゃないか」


 ……確かに!

「……じゃなくて!多少なりとも何かあるでしょ?例えば、めまいとかさ」


「ないな。克服してるし」


 化け物か、この人。



 ――――――――



「はい!これ持っていって食べて!」


「おお〜!相変わらず美雨はおにぎりを作るのがうまいなぁ」


「えへへ〜」


 頭を撫でてやると、嬉しそうに微笑む。


「じゃあ、また行ってくるよ」


「うん!いってらっしゃーい!」


 この時間が、永遠に続くと思っていた。



 ――――――――



「で、父さん。続きはなにするの?」


「そうだな……。新しい技を覚えるか、さっきの続きか、どっちがいい?」


「新しい技で」


 俺は即答した。

 もうあんな痛い目を見るのは嫌だ。


 父さんが不服そうだが、無視だ無視。


「前に教えた一閃は覚えてるな?」


 そりゃもちろん。

 父さんにあれだけ食らわされたら嫌でも覚える。

 俺は頷く。


「じゃあ、今日はそれの強化版だ。《刀術・電光石火》」


「!?《一閃》!」


 突然父さんが高威力の刃を俺に放つ。

 俺はそれを一閃で相殺……しきれなかった。


 欠けた光の刃が俺の腕に直撃する。

 痛みはある。けど、外傷はない。

 それでも、腕をきり落とされたと思うほどの痛みが走った。


「グァッ!?」


 痛みで怯んだ一瞬、喉元に木刀が向けられていた。


「一閃で防ごうとしたことは褒めてやる。だが、練度が足りんな。この程度の電光石火なら、練度の高い一閃で防げるはずだ」


「今のを防げってかよ!」


 俺が弱音を吐いても無視をする。

 本当に、稽古となると、とことん厳しくなる。


「つべこべ言わない!はい!一閃からやり直し!空和に電光石火はまだ早ーい!」


「そんなぁ!」


 俺はもう一度あの地獄の練習をすることになった。


 あの日の稽古を、俺は一生忘れない。

 

はじめまして。もしくは久しぶりです。

第九話は神代の過去回想パート2になっています。

薄々気づいている方もいるとは思いますが、神代の力は偶然生まれたものではありません。努力で手に入れたものです。

そして今回、美雨にも伏線を張っています。

なんの伏線かはまた後ほど。

現在修学旅行真っ只中で書いているので全く時間がありません。(移動時間ではできるけど、今いる場所が電波悪すぎる場所)

という感じで、次回は戦闘シーンが多分あるのかよくわかりませんけど、鬼塚が無事だといいですね。

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