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第七話 暴走の前兆(改)

俺は今、敵幹部の月城に猛攻撃を受けていた。


「どうしたのです?昨日私の部下にしたみたいに、蹂躙してみなさい?」


 月城は俺を嘲笑うように挑発してくる。


「お前なんて……能力を使うまでもねぇよ」


 ハッタリだ。

 このまま()()()を使わなかったら、確実に負けてしまう。


 かと言って、こいつに心をかき乱されてる状態で能力なんて使えば、間違いなく取り返しのつかないところにまで行ってしまう。

 それだけは、何としても阻止しなければいけない。


 「あなた、戦いが好きなんでしょう?」


 違う。俺は戦いが好きなわけじゃない。


 辛うじて目で追えるレベルの斬撃。

 それらを躱しながら、月城に思いっきり蹴りを入れる。

 怯んだ隙に距離を取り、まだ動けない月城に弾丸を乱射する。

 これで、勝てる!


 そう思ったのも束の間。

 そこにいたはずの月城は霧のように消えた。


 幻影?いや、まだ断定はできない。


 フィジカルはあっちの方が圧倒的に上だ。


 距離をとって射撃しても、躱されながら距離を詰められちまう。


 その時、覚えのある違和感に見舞われる。


 あれ、なんで俺、こんなに考えながら戦ってるんだろ。

 俺らしくない。

 いつも、本能のままに戦って、撃って、蹂躙して。


 なぜ戦いが楽しくないと思った?

 血で染まった戦場ほど、高揚が増す場面なんてないじゃないか。


 あれ?なんで俺、否定してる?


 ……違う。


 何が違う?


 わからねぇ。

 

 ……そうだよ。俺は、戦闘が大好きなんだ――!


 その瞬間、何かが崩れた感覚があった。が、そんなもの気にしない。


 抑えが利かない。

 このままちんたらと続けてても、何も面白くない。


 来いよ、月城。

 俺が、最高の舞台(戦闘)に上がらせてやるよ。


「能力発動――《狂戦士(バーサーカー)》――」



 ――――――――



 一瞬、世界がやけに静かになった。


 ……いや、違う。

 音が消えたんじゃない。


 俺が、拾うのをやめただけだ。


 はっきりとわかる。

 俺の本能(能力)が告げている。


 目の前のこいつを倒す。


 ――いや。


 それだけじゃ足りない。


 壊れるまで。


 嬲ってやりたい。



 ――――――――



 私が鬼塚の背後を取った瞬間、周囲の空気が変わった。

 そして、その原因は眼の前の鬼塚にあることを察する。

 私は興奮した。歓喜した。

 嗚呼……やっとあなたの本当の顔が見れましたよ。


 それが、本性なのですね……!


 変化は一瞬ではなかった。


 人の形をした何かが、塗り替わっていく過程だった。


 目の焦点が合わなくなり、代わりに獣のような光が宿る。

 

 赤黒く発光し、充血している。


 口角も上がりきっていて、とても戦闘中にするような顔じゃない。

 かくいう私も、笑みを隠し切ることはできなかった。

 頬が紅潮し、熱が上がる。


 そう感じた瞬間、何か硬いものに腹を突かれ、勢いよく後方に吹っ飛ぶ。


 何が起こったのかを考える暇もないまま、追撃が来る。

 そこでようやくわかった。

 彼が、銃を捨てて殴りかかってきていることに。



 ――――――――



 狂戦士――。彼の様はそれ以外の表現方法が見つからなかった。


 何度も殴られ、蹴られ、ナイフを持つ手に力がはいらない。

 意識も遠くなる。だけど、私も負けじと殴り返す。


 お互いボロボロになっていく。


 酷い有様だ。

 周りに二人の血が飛び散る。


 スキルを使わず、武器もなく、ただの拳と驚異的な殺意で私を嬲る。


 先程からどんな言葉を言っても全く聞いてる素振りを見せない。


 彼の前ではすべて力でねじ伏せられると悟る。

 理性なんて感じられない。ただの化け物。


 ……もう、目的は果たした。

 なら、もう彼に付き合う必要もないだろう。


 そう思い、隙を伺って撤退しようとしたその瞬間――――



 ――――――――



 よし、周りの敵はほとんど片付けたな。


「……零動の剣士……お前なんか、月城様の前で無様に倒れておけばいいんだよ――!」


 技の副作用がだいぶ回復した俺は、倒れながら言葉を発した敵兵に近づく。


「その月城ってやつがどんなやつかは知らないが、俺の力を知ってなお、そんな事を言うのか」


 ただの負け惜しみって可能性もあるが、一応警戒しておくか。


 周りを索敵しても、この近くに人の気配はなかった。

 そろそろ鬼塚のところに向かったほうがいいだろう。


 ――どうも、嫌な予感がする。

 なんか、取り返しがつかなくなるような……そう、五年前のあの時みたいな……。


 考えるのは後だな。

 どっちにしろ、急いだほうがいいだろう。



 ――――――――



 気配を感じる。

 今の脅威とは違う、()()()()


 この二人は、同時に相手をしてはいけない。


 もう、見るべきものは全て見終えたのだから。

 あとは、彼らがどう壊れるかを見るだけだ。


 ……やはり、彼は適合者でしたか。

 あのお方の見立ては間違っていない。

 


 


こんにちは。第七話いかがでしたか?

今回は鬼塚の過去で能力を持った時の鬼塚の心情、暴走の前兆を書いてみました。

今後もしばらくは鬼塚に焦点を当てて物語を進めていく予定なので、今後ともよろしくお願いします。

感想、リアクション、とても励みになります。

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