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第十話 覚悟


鬼塚を病院に運んでから数日が経った。

 まだ鬼塚は目覚めない。


 俺たちには、鬼塚を心配している暇もない。


 ……いや。

 そもそも俺には、鬼塚を心配する資格なんてない。



 ――――――――



「鷹宮。仕事だ。さっさと行くぞ」


「了解です」


 ここ最近の鷹宮は遅刻をしていない。

 だが、今までの勢いも無かった。


 戦果はいまいちだ。

 敵リーダーを逃す日も増えてしまった。



 ――――――――



「隊長!そっちいきました!」


「え?」


「邪魔だ!どけっ!」


 敵リーダーだ。

 今ここで刀を構えれば、ここ最近の汚名を返上できる。


 だが……。

 一瞬反応が遅れた。

 ぼーっとしていたせいで、敵リーダーは俺を突き飛ばして逃げていった。


「隊長、追いますか?」


「……あぁ」


 地を這う俺の視界に、鷹宮の靴が映る。

 鷹宮は蔑むこともせず、ただ静かに俺を見下ろしていた。

 そこ瞳に宿る色が、絶望に沈んだ俺の胸を鋭く刺した。

 

「隊長。鬼塚さんのことは私にも責任があります。

ですが――今は任務中です。」


鷹宮は一度、言葉を切った。


「隊長が立たなければ、

誰が私たちを率いるんですか。」


 鷹宮は、怒りも慰めもない声で言った。

 だが、そんな鷹宮の言葉を聞いてもなお、俺は動けずにいた。

 鷹宮は立ち上がり、敵リーダーを追って駆けていった。


 ……俺は、何をしているんだろう。

 隊長としての責任をろくに果たせず、逃げ出し、放り出した。

 挙句の果てには仲間も傷つけてしまった。


 俺は……どうすればよかった?

 どうすれば、鬼塚を助けられた?


 ……次はない。

 具体的な解決策も見つかっていない。

 でも、次鬼塚が暴走したら――


 俺しか止めることができない。

 絶対に、お前をその呪縛(能力)から解き放ってやる。



 ――――――――



 隊長は、抱え込みすぎなところがある。

 隊長の過去を知った時、そう感じた。


 今の隊長は、五年前のあの出来事をきっかけに強くなったし、弱くもなった。


 その弱さゆえに、身近な人が傷ついた時、一人で抱え込んで潰れてしまう。


 だけど私は知っている。

 

 守るということに囚われているからこそ、

隊長は潰れて――そして強くなったんだと。



 ――――――――



「遠雷のスナイパー……!いくらお前でもこの人数相手にうまく立ち回れないだろ?距離だって取らせはしない!」


「確かに。私だけではあなたたち全員を倒すことはできません」


「ハハッ、だろ?

 さっさと降参しろよ!」


「ですが、この場にいるのは私だけではありません」


「あの腰抜け剣士のことか?二つ名持ちだと聞いて警戒していたが、無駄なことだったな」


 その言葉に私は反応する。


 だが、ここで反論しても、私にできることはない。

 冷静になれ。私らしくない。


 銃声が鳴り響く。

 あぁ、我慢できなかった。

 仲間を侮辱されて、黙っていられるほど私は大人じゃない。


「次は、当てますよ?」


「――!!やれ!お前ら!」


 私目掛けて弾丸が降り注ぐ。


 ……遅い。


 《能力発動・止水(しすい)


 視界からノイズが消え、一滴の水面のように世界が静まる。

 迫る弾丸の軌道すら、波紋のように読み取れる。

 ……だが、それでも防ぎきれない『数』の暴力が、私を追い詰める。


 気休め程度だ。

 能力があったって何も変わらない。


 致命傷は避けているが、数え切れないほどの弾丸が皮膚にかすり、食い込む。

 ハンドガンに持ち替えて、応戦する。

 威力が弱い。

当たっても眠らない。


 一瞬だ。

 一瞬だけ油断した。

 振り向いた時、目の前に一発の弾丸が迫っていた。

 当たる場所は、私の額。


 死を覚悟した。

 その瞬間だった――――。



 

 

お久しぶりです。

今までろくに戦闘シーンを描いてこなかった鷹宮の戦闘をほんの少しだけ描きました。

このキャラって、色々と謎ですよね。

まあそこは鷹宮編を楽しみにしてください。

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