第一話 使ってはいけない力(改)
俺は刀と木刀を携え、現場へ急行していた。
無線機を取り出す。
「こちら神代。鬼塚、鷹宮。応答しろ」
『なんすか隊長。もう向かってますって』
『鬼塚さん、隊長の話を聞かないと。
重大な話だったらどうするんですか』
『へいへい、わかってますよー』
……全く、緊張感のない奴らだ。
「もう少し気を引き締めろ。全員現地に向かってるな?」
『俺より鷹宮に言ったほうがいいんじゃ?』
『その通りです。だって今パジャマ姿ですし』
舐めやがって。呼び出しは即集合だろ。人の命がかかってるんだぞ。
「とにかく支度して合流しろ!」
『了解でーす』
正午だぞ?
どんだけ寝てんだ。
「もういい。鬼塚、どれくらいでつく?」
『もう交戦中じゃ!!隊長も急げ!』
「了解」
俺は後方隊員が作った空を飛ぶための道具「空走盤」を取り出す。
試作品だから少し不安だが……仕方がない。
俺は空走盤を起動し、空高く上昇する。
――――――――
「上空から確認。鬼塚、交戦場所は?」
『ああ?!今戦ってる最中だ!気が散るから連絡すんな!!』
「場所を言わないと合流できんだろっ!」
あいつ、通信切りやがった……。
……仕方がない。自力で探すか。
高層ビルの林立する市街地を旋回する。
遠くで発砲音。
煙が薄く立ち上り、破壊された窓ガラスが光を反射している。
間違いない、あそこだ。
――――――――
案の定、鬼塚と……鷹宮がいた。
「鷹宮が先?」
「遅いぞ隊長、鷹宮が先だ!」
どうして……?
「全く……隊長が遅刻ですか……」
お前には言われたくないが、事実だ。
俺は少し考えた結果――
「すまん!」
頭を下げることにした。
――――――――
「敵の数は?」
「正確にはわからねぇ。俺が何人か倒してるから……あと二十くらいだ」
――敵の数を数える時だけ、こいつ楽しそうだな。
「三十人規模か……久しぶりですね、三人で相手にするのは」
「市民も数人やられてる。被害が広がる前に早く対処しないと」
胸が締め付けられる。全員能力者だ。
油断すれば命を落とす。
「よし、全員配置につけ!」
俺が木刀を抜くだけで、鬼塚も鷹宮も動く。
「おう!隊長の背後は任せとけ!」
「後方から援護します。心配いりませんよ。外したことありませんから」
鬼塚はサブマシンガン二丁、鷹宮はスナイパーライフルを肩に担ぎ、各方面に走る。
俺は、鬼塚とは別方向にいる武装集団に単身突入。
「おい!一人でこっちに突っ込んでくるバカがいるぞ!銃もねぇ!」
「格好の的だなぁ!集中砲火だ!弾丸の雨を浴びせろ!」
奴らが一斉射撃をしてくる。
遮蔽物も距離もなし。
一歩間違えれば即死。
――わかっている。
俺には切り札がある。
そして同時に、使いたくない理由もある。
深く息を吸う。
胸の奥で、何かがざわつく。
あの日の光景が、嫌でも蘇る。
使えば勝てる。
だが、その間俺は、
正常でいられる保証はない。
「隊長!」
鷹宮の叫び。
銃声が鳴り響き、弾丸が迫る。
時間が極端に引き延ばされたように感じた。
――使うか?
この力を。
使えば守れる。
だが同時に、何かを失う。
それでも俺は覚悟を決める。
次の瞬間、世界が――
はじめまして。
かとくらと申します。
この度は「暁のエーヴァル〜黒鋼隊編〜」見ていただき、ありがとうございました。
この第一話は、主人公の能力、人格などなど、今後につながる伏線が多く入っています。
第二話も、入り切らなかった伏線をたくさん盛っているのでぜひ見てみてください。
なお、この物語は初期から改変しています




