「君が壊れるのを最前列で待っていた」地味女と捨てられた私が認識阻害を解いたら、陰の支配者な公爵様に捕獲されました。元婚約者の生活魔法は全部切ったので、あとは二人で仲良く国を支配します
王城のテラスは、吐き気がするほど寒かった。
石造りの手すりに置いた手が、白く強張っているのが視界の隅に見える。
でも、これは冬の寒さのせいじゃない。
目の前に立っている男――元婚約者のミハエル・ファブレスが、あまりにもお粗末なセリフを吐いたから、全身の血が引いていっただけ。
「セラフィナ。君との婚約は、今この瞬間をもって破棄させてもらう」
ミハエルは、さも自分が世界の中心で愛を叫んでいるかのような、陶酔しきった顔でそう言った。
月明かりに照らされたその横顔。
金糸の髪に、碧眼。
侯爵家の嫡男という、誰もが羨む肩書き。
外側だけは立派ね。本当に、外側だけは。
私には、その碧眼の奥にある空虚な自尊心と、中身がスカスカの頭蓋骨が透けて見えるようだった。
「理由は、お聞かせ願えますか?」
私は淡々と聞いた。
声が震えたりはしない。
むしろ、喉の奥から「やっとか」という安堵のため息が漏れそうになるのを、必死に堪えているくらい。
ミハエルは鼻を鳴らした。私を見下ろすその目は、道端の石ころを見るような侮蔑に満ちている。
「君は地味すぎるんだよ。華がない。色彩がない。まるで灰色の壁と会話している気分になる」
地味。
その単語が出た瞬間、私はドレスの陰で、指先を小さく握りしめた。
屈辱? まさか。
勝利の確信よ。
やっぱり、この男の目は節穴だった。
「ファブレス家は、次期宰相の座を狙う名門だ。その隣に立つ妻が、君のような『空気のような女』では困るんだよ。もっとこう、男の庇護欲を掻き立てるような、鮮やかな大輪の花のような女性でなければな」
「……つまり、私の容姿と、控えめな振る舞いが不満だと?」
「そうだ。君には致命的に『美』が欠けている。それに、君のその事務的な態度だ。可愛げのかけらもない。僕が求めているのは、有能な秘書ではなく、心安らぐ愛妻なんだ」
呆れてものが言えない。
この男、自分が今なにを言っているのか分かっているのかしら?
自分が高尚な理想を語っているつもりなら、滑稽すぎて笑い話にもならない。
彼が今、こうして皺ひとつない燕尾服を着て、磨き上げられた革靴を履き、社交界で恥をかかずに立っていられる理由。
それは全部、私が裏で手を回していたからだ。
朝起きて飲む水の温度調整から、提出する書類の誤字脱字チェック、果ては彼が愛人に貢ぐ宝石の手配まで。
その「地味な女」が、彼の生活の全てを完璧に管理していたからこそ、彼は「有能な次期侯爵」という皮を被っていられたのに。
彼は知らないのだ。
自分が着ている肌着が、なぜ最高級のシルクよりも滑らかなのか。
自分が飲む紅茶が、なぜ常に体調に合わせた最適な香りなのか。
全部、私が魔法で調整していたからよ。
それを「地味」と切り捨てて、「愛妻が欲しい」ですって?
いいわよ。
そんなに私が不要なら、くれてやるわ。貴方ごときのお守り、こっちから願い下げだもの。
「承知いたしました」
私は、あえて抑揚のない、平坦な声で答えた。
「え?」
ミハエルが、間の抜けた声を漏らす。
私が泣いて縋るとでも思っていたの?
あるいは、実家の権力を盾に抗議するとでも?
期待外れで悪かったわね。私の涙は、貴方みたいな男のために流すほど安くないの。
「婚約破棄の申し出、謹んでお受けいたします。これまでのご厚情に感謝を。……それでは、私はこれで」
私は流れるような所作でカーテシーを行った。
角度、速度、静止する時間。
全てが完璧な、しかし心のかけらもこもっていない、ただの形式的な礼。
踵を返し、私は出口へと向かう。
「お、おい! 待て! そんなにあっさりと……悔しくないのか!?」
背後でミハエルが何か喚いている。
私は足を止めずに、肩越しに一度だけ振り返った。
憐れみすら込めずに、冷ややかに。
「悔しい? いいえ、滅相もございません。貴方様の崇高な理想に、私のような『地味な女』は不釣り合いでした。それだけの話ですわ」
それだけ言い捨てて、私はテラスを後にした。
重厚な扉が閉まり、夜会の喧騒と、愚かな元婚約者の姿が物理的に遮断される。
廊下には誰もいない。
私は大きく息を吐き出し、強張らせていた肩の力を抜いた。
「……終わった。やっと、終わったわ」
解放感が、足先から脳天まで駆け抜けていく。
まるで重い鎧を脱ぎ捨てたみたい。
私はこめかみに指を当て、意識を集中させた。
頭の奥で、常に鈍い音を立てて回っていた歯車を、ガチンと止めるイメージ。
――術式解除。
――対象:自己認識阻害。および、幻影偽装。
――連動解除:ファブレス邸内に付与した、全環境維持魔法および状態保存魔法。
パリン、と。
空気中で何かが割れるような、微かな音がした。
同時に、私の体を覆っていた重苦しい澱のようなヴェールが消滅する。
廊下の窓ガラスに映る自分の姿を見た。
そこには、先ほどまでの「灰色の髪、そばかすのある顔、焦点の合わない眼鏡」の女はいない。
月光を吸い込んで輝く、白銀の髪。
触れれば指が沈みそうなほど柔らかで、血管の青さが透ける病的なまでの、月光すら透過してしまいそうなほどの蒼白の肌。
そして、覗き込んだ者の体温を奪うような、光の届かない深海の群青。
眼鏡を外し、私は窓ガラスに映る「本来の自分」に向かって、皮肉っぽく微笑んだ。
これこそが、セラフィナ・ヴァルドスタの真の姿。
前世の記憶を持つ私が、この世界で生き抜くために封印していた美貌。
前世の私は、いわゆる「社畜」だった。
過労死して、気づけばこの世界の伯爵令嬢に転生していた。
でも、幼い頃に鏡を見て絶望したのよ。
美しすぎたから。
傾国の美女。
そんな言葉が似合う容姿は、平穏な人生にとって邪魔でしかない。
王族に見初められれば、ドロドロの後宮争いに巻き込まれる。
高位貴族の飾り妻にされれば、自由など奪われる。
ましてや、前世の記憶から「この世界には魔法がある」と知った私は、変なフラグを立てたくなかった。
だから私は、幼少期から膨大な魔力を消費し続け、常に「認識阻害」の魔法を身に纏ってきた。
周囲に「なんか地味だな」「印象に残らないな」と思わせる、高度な精神干渉魔法。
そして、あえて「そこそこの家柄」で「能力は低いが見た目は良い」ミハエルを選び、婚約者という隠れ蓑にしたの。
彼を裏で操り、実務だけをこなしながら、誰にも注目されずに平穏な一生を終えるつもりだったのに。
彼が私を捨てた。
なら、もうこの重たい魔法を維持する必要はない。
私は自由だ。
今日から私は、誰の目も気にせず、この美貌と才能を好きに使わせてもらう。
「……随分と、手の込んだ隠し事だな」
不意に、闇の底から響くような声がした。
心臓が跳ねる。
私は反射的に身構え、声の主を睨みつけた。
廊下の角、照明の光が届かない闇の中に、一人の男が立っている。
漆黒の礼服。
夜の闇そのものを纏ったような長身の男。
そして何より目を引くのは、その瞳。
暗闇の中でそこだけが燻り続けているような、昏い情熱を宿した赤眼。
「……レイン・スタンホープ公爵閣下」
私は呻くようにその名を呼んだ。
知っている。
いや、知らないはずがない。
隣国の皇帝の従兄弟にして、この国の「影の支配者」と恐れられる男。
冷徹無比、完全実力主義。
彼に睨まれた貴族は、翌日には不正の証拠を突きつけられ、一族郎党破滅すると噂されている。
なんで、そんな危険人物がここに?
「見ていたの?」
「ああ。随分と面白い茶番だった。三流の喜劇よりも笑えたよ」
レイン公爵は、音もなく私に近づいてくる。
その動きは優雅で、それでいて捕食者のような圧倒的な威圧感があった。
「男があれほど無様に宝石を捨てる瞬間を、俺は初めて見た」
「……宝石、なんて」
「とぼけるな。その認識阻害魔法、並の魔導士なら一生かかっても習得できん高等術式だ。それを24時間、呼吸するように維持し続ける魔力容量。……化け物だな、君は」
バレていた。
当然か。この男の瞳は「真実を見抜く魔眼」だという噂もある。
「地味な女を演じて、無能な男の裏で国政レベルの書類を処理し続ける。……ヴァルドスタ伯爵家の影の当主殿。君のその手腕、以前から興味があった」
レイン公爵が、私の目の前で立ち止まる。
至近距離。
見上げると、その深紅の瞳が、私の顔を値踏みするように舐め回していた。
「目的は何? 私の正体をバラして、脅すつもり?」
「まさか。俺はそんな非効率なことはしない」
彼は私の顎を、手袋をした指先でくい、と持ち上げた。
冷たい革の感触。
けれど、その奥にある熱量が伝わってくる。
「俺のものになれ、セラフィナ」
「……はい?」
あまりに直球な物言いに、私は思考が一瞬停止してしまった。
「あの男には過ぎたる才能だ。それに、その顔」
彼が目を細める。
そこに浮かんでいるのは、純粋な、あまりに純粋な「欲望」だった。
「俺は美しいものが好きだ。機能美、造形美、そして才能という名の美。君はその全てを兼ね備えている」
「……公爵閣下は、面食いでいらっしゃるのね」
「否定はしない。だが、ただ顔が良いだけの人形には興味がない。俺が欲しいのは、その美貌の下に隠された、冷徹で強欲な知性だ」
彼は笑った。
それは凶悪なまでに魅力的で、背筋がゾクリとするような笑みだった。
「あの男は君を『地味』だと言った。節穴にも程がある。俺なら、君のその能力も、美貌も、余すところなく使い潰してやる。……世界中の誰よりも、君を高く買ってやる」
使い潰す。
普通のプロポーズなら最悪の言葉だわ。
でも、元社畜で、有能であることを誇りとしてきた私の魂には、甘い蜜のように響いた。
私は、私を正しく評価し、使いこなせる「主」を求めていたのかもしれない。
隠す必要のない美貌と、隠す必要のない才能。
それを「全部出せ」と言ってくれる男。
「……ずっと、見ていたの?」
私は、ふと浮かんだ疑問を口にした。
彼は「以前から興味があった」と言った。なら、なぜ今まで手を出さなかったのか。
レイン公爵は、愉悦に歪んだ笑みを深めた。
「ああ。あの男の横で、君が才能を殺して微笑むたび、俺がどれほど歯痒い思いをしていたか分かるか? ……いつか君が限界を迎えて、その首輪を自ら引きちぎる瞬間を、俺はずっと最前列で待っていたんだ」
ゾクリ、と背筋が震えた。
この男、まともじゃない。
私が破綻するのを、私が絶望するのを、ずっと暗闇の中で待っていたというの?
なんて執着。なんて歪んだ愛情。
……でも、不思議ね。
その狂気が、今の私には酷く心地いい。
平穏な老後? 静かな田舎暮らし?
……ああ、馬鹿みたい。
目の前の男の瞳を見た瞬間、そんな「常識的な幸せ」が、色あせた古布のようにどうでもよくなった。
私はずっと、飢えていたのだ。
この有り余る才能を、知性を、誰かに恐怖されるほど振るいたいという、傲慢な欲望に。
私は、喉の奥から這い上がってくる哄笑を噛み殺し、凶悪な笑みを浮かべた。
「高くつくわよ? 公爵閣下」
「国の一つや二つ、安いものだ」
レイン公爵が、私の腰を強引に引き寄せる。
抵抗はしなかった。
こうして、私は捨てられた直後に、この国で最も危険で、最も美しい男に拾われることになったのだ。
◇◆◇
翌日。
ファブレス侯爵家は、静かなる崩壊の時を迎えていた。
朝。
ミハエル・ファブレスは、不機嫌な顔で食堂に現れる。
頭が重い。
枕が変わったわけではないのに、首筋が強張って痛い。
それに、部屋の空気が妙に乾燥していて、喉がイガイガする。
「おい、水だ。冷たいのを頼む」
給仕に命じ、出されたグラスを煽る。
「ぶっ!!」
ミハエルは水を噴き出した。
「な、なんだこれは! ぬるい! それに妙な味がする!」
「は、はあ……? いつも通りの井戸水ですが……」
給仕が青ざめる。
ミハエルは知らない。
彼が今まで飲んでいた「いつもの水」が、セラフィナによって最適な温度に調整され、さらに微量な魔力で不純物を除去し、レモンとハーブの香りを微かに添加された特製品であったことを。
そして昨夜、その維持魔法の供給が絶たれたことも。
ただの井戸水など、彼にとっては泥水も同然だ。
「着替えだ! 外出する!」
気を取り直して着替えを始めるが、ここでも悲劇が起きる。
シャツに袖を通した瞬間、背中にヤスリをかけられたような不快感が走った。
「痛っ! なんだこのシャツは! 糊が効きすぎているぞ!」
「い、いえ、いつも通り洗濯係が洗ったものですが……」
これも知らない。
セラフィナが、彼の敏感肌に合わせて、繊維の一本一本を魔力でコーティングし、極上の肌触りに仕上げていたことを。
彼女がいなくなった今、彼が着ているのは「高級だがゴワゴワした麻」に過ぎない。
首筋が擦れ、脇が食い込む。
歩くたびにチクチクとした痛みが走り、ミハエルは常に体を掻きむしりたくなった。
極め付けは、執務室だった。
机の上に、山のように積まれた未決裁の書類。
いつもなら、朝には綺麗に分類され、重要な箇所には付箋が貼られ、あとはサインをするだけの状態になっていたはずのものが、雑然と積み上げられている。
「おい、これはどういうことだ! なぜ整理されていない!」
執事が、憔悴しきった顔で答える。
「……セラフィナ様がいらっしゃいませんので」
「は? そんなことは分かっている! 僕が言っているのは、なぜお前たちがやらないのかということだ!」
「我々には……その、内容が高度すぎて……」
ミハエルは書類をひったくった。
領地経営の収支報告。
隣国との貿易関税の計算書。
鉱山の採掘権に関する契約書。
数字、数字、数字。
専門用語の羅列。
ミハエルは愕然とした。
判断できない。
文字は読める。数字の意味も分かる。だが、『で、どうすればいい?』が分からない。
この数字の裏にどんなリスクがあり、どの派閥に配慮して、どう決断するのが正解なのか。
今までは付箋に『ここを承認』『これは却下』と書いてあったのに、何も書かれていない書類だけ渡されても、責任の取りようがない。
「……な、なんだこれは。いつもは、もっと簡単な要約がついていただろう!」
「ですから、その要約を作っておられたのが、セラフィナ様でございます」
執事の言葉が、死刑宣告のように響く。
ミハエルは椅子に崩れ落ちた。
頭痛がする。
肌が痒い。
喉が渇く。
そして、目の前の仕事が一つも片付かない。
昼前には、さらに追い討ちがかかる。
王宮からの使者が現れたのだ。
「ミハエル・ファブレス殿。先日の夜会での失言について、釈明を求めます」
「は? し、失言? 僕がいつ……」
「隣国の大使に対して『田舎者』と発言された件です。正式な抗議文が届いております」
記憶にない。
いや、言ったかもしれない。
でも、いつもならそんな失言は、セラフィナがその場でにこやかにフォローし、相手をヨイショして、笑い話に変えてくれていたはずだ。
彼女という緩衝材を失ったミハエルの言葉は、ただの「無礼な暴言」として、直接相手に突き刺さっていたのだ。
「そ、そんな……」
ミハエルは青ざめた。
自分の足元の床が、音を立てて崩れ落ちていく感覚。
彼はようやく理解し始めていた。
自分が立っていたのは、堅固な大地の上ではなく、セラフィナという一人の女性が支える、細い細い柱の上だったのだと。
そして、その柱を自ら叩き折ってしまった愚かさに。
◇◆◇
一方その頃。
スタンホープ公爵邸の最上階。
私は、最高級のソファに深々と身を預けていた。
目の前には、湯気を立てる紅茶と、山積みの書類。
ただし、それはミハエルのところにあったような低レベルなものではない。
国家予算の裏帳簿。
貴族派の粛清リスト。
大陸全土の情勢分析。
ゾクゾクするような、一国の運命を左右する機密文書の山だ。
「……素晴らしい」
向かいに座るレイン公爵が、私が修正を入れた書類を見て、恍惚としたため息を漏らす。
「ここだ。この物流の抜け穴を使って、敵対派閥の資金源を断つ。……俺が三日かかって構築しようとしていた作戦を、君は紅茶一杯飲む間に完成させた」
「単純な構造でしたもの。血管を二、三本詰まらせれば、巨人も死ぬわ」
私はカップを置く。
レイン公爵は、書類を放り出し、立ち上がると私の手を取った。
「美しい」
彼が私の指先に口づけを落とす。
その熱っぽい視線は、私の顔、そして私が書き込んだ文字の両方に向けられていた。
「君のその冷徹な知性。そして、隠す必要のなくなったその美貌。……最高だ。俺の求めていた伴侶は、君以外にあり得ない」
「伴侶、とおっしゃいました?」
「ああ。当然だろう。これほどの才能を、ただの秘書で終わらせるつもりはない。公爵夫人として、俺の隣で世界を支配してもらう」
レイン様は私の眼鏡を優しく外し、素顔を覗き込んだ。
至近距離で見つめ合う。
彼の瞳にあるのは、ミハエルが向けていたような「自分のための装飾品」を見る目じゃない。
対等な共犯者、あるいはそれ以上の存在を見る、崇拝と独占欲の混じった瞳。
「君を捨てたあの愚か者は、今頃地獄を見ているだろうな。……礼を言ってやりたいくらいだ。おかげで俺は、世界一の宝を手に入れた」
「ふふ。……ええ、そうね」
私は窓の外、遠くに見える王城の方角を見やった。
あの場所で今頃、ミハエルは着慣れないゴワゴワの服に肌を赤くし、読めない書類に埋もれ、不味い水を飲んで泣いていることだろう。
想像するだけで、極上のデザートを味わったような甘美な気分になる。
私はレイン様の首に腕を回し、妖艶に微笑んだ。
「精一杯、こき使ってくださいませ、閣下。……私、退屈な仕事は大嫌いですので」
「望むところだ、マイ・レディ」
重なる唇。
それは契約の印であり、甘い溺愛の始まりだった。
地味な女?
ええ、そうね。
私はこれからも、貴方たちの目には映らない場所で、この国を、そしてこの愛おしい公爵様を、私の色に染め上げていく。
誰よりも鮮烈に、誰よりも残酷に。
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