八話 オッサン横文字がなかなか頭に入って来ないが、レトロリノベーションとやらをやるぞ!!
「うぷっ!相変わらず転移には馴れないな」
信雄はそんな事を言いながら、自分の部屋に転移した。
転移酔いそのままに、自分の部屋を出て、居間に向かうと父がいた。
「1日振り!ただいま、帰って来たよ父さん!」
「おかえり、早かったな、その顔は諦めた訳では無いみたいだな!」
「実は昔、父さんがよく言っていた、田舎の建物について相談があって来たんだけど」
「ああ、あの無駄に広くて余計に金がかかり、場所が最悪で人気がないうえに、解体にもバカみたいに金のかかる良いところは露天風呂くらいしかない二階建ての日本家屋の事か?」
ここで説明を挟むが、父はバブル期にブイブイいわせていた人で田舎の土地や建物をその時の金に物をいわせ購入し所有し整備ている話を、学生時代から聴かされていた。
「そうそう、その物件!」
「お前正気か?あんな金喰い虫が欲しいとか!」
「そもそも、金はどうすんだ?流石に糞みたいな物件でもタダはむりだぞ!親子間だからといくら割り引いても、1000万くらいは貰わないと無理だな!」
「建物だけだったら?いくら?」
「建物だけ買ってどうする?!土地がないと無意味だぞ、だが建物だけだったら、600万だ、これ以上は変わらないからな!!」
そんな事を言う父はニヤニヤしながら、信雄を見ており、試していることが丸分かりだった。
「分かったよ、父さん!じゃあそれでお願い!」
「で?金はどうすんだ?あるのか?」
「今は無いよ」
「まさか俺の事をバカにしてる訳じゃないよな?」
「まさか、今から作りに行くんだよ!」
「ならいい」
そんなやり取りを父とした信雄は、平安時代に飛ばされる前に持っていた自分の財布と実家に置いていた貯金箱の中身を合わせ約10万の現金を作った。
それで信雄が向かったのは
競馬場だった。
そう、この男は鑑定能力で競馬に勝つつもりなのだった。
信雄は馬を鑑定せず、場内で売られている競馬新聞をの各レースを鑑定した。
ビンゴだった、ヤラセのレースが信雄がいる競馬場の第8レースでやられる事と結果が鑑定に表示されていたのでそのレースに10万を三連複一点で購入した。
そして、ファンファーレの後に、馬が走り出す、信雄が買った馬は最終コーナー付近まで前方集団で固まっており最後の直線になった瞬間その三頭が後続を3馬身くらい離してゴールした。
それから約10分後に電光掲示板に勝った馬と配当が表示された。
「三連複5万2000円だと!百円がそれで自分は10万買ったから・・・5200万円!」
信雄は高額払い戻し窓口で換金しタクシーに乗り実家に帰るのだった。
楠木家の前にタクシーが止まり信雄が降り、タクシーが去っていく
信雄は実家に入る。
「ただいま!」
信雄は居間まで行くと父にそう言った。
「おっ!帰って来たか!その顔は上手くいったみたいだな!」
「うん!はい少し多いけど受け取って!」
信雄が父とそんなやり取りをした後、ドサッと1000万円の札の塊を父の前にストレージから出した。
「なかなかやるようになったな、信雄!俺の負けだあの物件は好きにしろ!」
そんな事を言いながら、父は書斎から家の鍵を出して来て渡してきた。
その後、夕方に母と妹が帰って来て、出前の高級寿司を取り久しぶりの家族団欒を楽しんだのだった。
次の日、信雄は父に連れられ、新幹線とローカル線を乗り継ぎ、とある山の麓にある限界集落に来ていた。
信雄は父に「その家はどのへんにあるの?」と聴き、父は「だいたい30分くらいかな」と
返し二人は目的地へ歩いた。
二人は寂れた商店を通り過ぎ、長い坂を息を切らしながら登り目的地に着いた。
現地に到着し、信雄の目に入ったのはゴツイ門構えのヤクザの親分の家って言われたら信じそうになるくらい立派な日本家屋だった。
父は信雄が驚きで言葉を失っているのをイタズラが成功したのを喜ぶ様にニヤニヤしながら見ていた。
「で、これからどうするんだ?本当に建物だけで良いのか?」
父はそんな事を言ってくる。
信雄は「ああ、問題ないよ」と言いながら、門の前にしゃがみ両手を地面についた。
信雄は地の魔法を起動して家の敷地全体にマナを行き渡らせ、地面と家の接続を切り家をストレージに収納した。
そうして、目の前には深い穴ができた空き地が姿を現した。
浄化槽も持って行く為、必然的にそうなったのだった。
流石にそのまま、はまずいと信雄は更にマナを注ぎ土砂を生成し埋め直し、後にはだだっ広い空き地が姿を現したのだった。
「凄いな、信雄!!魔法かそれは?」
信雄は大粒の汗をかきながらかなり消耗したのか頷くだけで返し、ストレージからマナポーションを数本出し呷る。
父は面倒臭い物件を処理出来たのが嬉しいのか終始ご機嫌だった。
そして帰りは、信雄の転移で実家に帰りその際、父が転移酔いでゲロを吐いたのはご愛嬌である。
その次の日、回復した父に家の詳細を聞いた。
どうやら、家は蛇口はあるがバブルの終わり頃に作られたためか資金が足りず未完成なので水道が家の裏の配管から先が繋がっていないとのことだった、そしてそれを父が知ったのは父が家を買ってからとのことらしいソーラーパネルは父が何とか売ろうと設置したと言っていた、一応、電気も通っているらしくエアコンも付いてるとの話なので、足りない物を買いに行くことになった。
いざ向かおうとしたら父から「俺も行く」と言われ母と妹はパスしてきたので父と一緒に行く事になった。
家電売り場
冷蔵庫、洗濯乾燥機、炊飯器、テレビ、DVDプレーヤー等の家電を購入し、配送手続きを行い、実家の近所の工務店に行った。
それは、父がついてきた理由でもある、実はこの工務店は父の親友が経営しており、昔から付き合いがある場所だった。
父と信雄が車から降り工務店の扉を開けなかに入る、すると中から大柄な男が出てきて話しかけてきた。
「おっ!雄二とお前は・・信雄かお前?!お前も老けたな!!わははは!!」
「で?何の用だ?遊びに来たってんなら歓迎だぞ!」
そんな事を目の前の男、この工務店の主、樋口大輝は言ってきた。
「実はお前も面白い事に巻き込んでやろうと思って来たんだ!」
ニヤニヤ笑いながら父は大輝を見て、信雄の力の事とやる事を説明した。
大輝もその話を面白そうに聴き、笑い握手した、こうして共犯者が増えたのだった。
それから一週間後、大輝は作業に必要な装備や重機と家に付ける設備を用意し、工務店の隣にある倉庫で雄二と信雄をいまかいまかと、待っていた。
少しして二人が顔を出した。
「オッス!!大輝!」
「こんにちは、大輝さん!」
「おう、二人とも待ちくたびれたぜ!」
「お前達が言っていた、改修工事、うちの若いのは、レトロリノベーションとか言ってる作業の準備ができたぞ!」
その後、道具関係や重機を信雄はストレージに入れ転移の準備をしていると父達が、「いつ向こうに行けるんだ?」とか、向こうに着いた時の施工方法等を二人は話している。
信雄はまさか、と思いながら聞いた。
「え?来んの!?」
「当たり前だろ!定年退職してから暇、じゃない、お前がちゃんとやれるか心配でな!」
「そうだ!そうだ!自分だけ楽しもうと、ではなく、一人だと大変な工事だからな!」
二人はそんな事を言いながら、頑として譲る気は無いみたいだった。
暫く揉めたが、信雄は渋々同行を認め、自分達が工務店にくる時に使った父の車もストレージにいれた。
それから暫くして、信雄達は平安時代に転移したのだった。




