十三話 オッサンの田植え回
国司一行が来た日の夜
信雄の家に村人が来ており、夜桜を見ながらの宴会が開かれていた。
これを説明するなら時間を少し戻す事になる。
夕方に信雄が来て、事の詳細を聞いた村人達は狂喜した、運が悪ければ増税、良くて据え置きと思っていた税が、労役も含め大幅に減税されると聞いた時は、最初は、信雄の冗談だと思っていたら信雄がストレージから国司直筆の証文を出した、その場の村人どころか、浄泉すらも信じられない物を見るような目をしながら、目の前の男の力の底知れなさに畏敬の念を持ち、頼もしさも感じていた。
その後、信雄が宴会をやるぞと言ったが、暗いこの夜の村では無理だという話しになり、信雄の家でやる事になり向かったら桜が散って綺麗な雰囲気だったので急遽、夜桜を見ながらの宴会が開催されたのだった。
信雄は用意した材料を女衆に渡し、各種料理の調理方法を説明し調理後、調理したご馳走と今回使いきれなかった、特上の樽酒を提供した。
その後、宴会は空が白むまで続き終わった。
その後、前回みたいに、皆に朝飯を振る舞い皆はそれを食べると帰って行った。
その際、帰って行く村人達は口々に、「信雄、困ったら何でも言ってくれ、全力で力になる!」そんな事を言いながら国司達とは比較にならない程痩せている体で家に帰って行った。
信雄はその様子を見ながら、村の農業生産力の増強を決意するのだった。
その日の昼に、信雄は現代へ転移し、父に相談した。
「どうしたんだ?何か困り事か?」
「実は・・・」
信雄は村の食糧生産力が低い事と、それによる、干ばつや冷害の際へ対策が出来ていない事と、村人達が慢性的な栄養失調になっている事を説明した。
父はその話を聞くと、農協の知人に渡りをつけてくれ、合鴨の雄と雌の雛鳥を各200羽と水稲の苗と稲作のマニュアル、田起こし機と田植え機、脱穀機を手配し渡して来た。
信雄は、合鴨以外をストレージに入れ、合鴨の入った段ボールに手を置くと、父に礼を言い、平安時代に転移した。
平安時代の信雄の家の庭に転移すると、信雄の家の道を挟んだ対面側を信雄は整地した。
その後、整地した四面の端を高さ15センチ幅50センチほど残し、地面を掘り下げ段を作り、50センチほど残した段の真ん中に幅15センチ深さを水の入り口側を15センチ出口側を20センチ下げ、入り口側から段の真ん中をコの字に流れる様に出口側に繋ぎ、水の逃げ道を作り、その先を川に流れる様に溝を作り、水の入り口側の水路を坂の横合いまで引いて、坂の横側に野球ボール位の大きさの穴を奥まで開け、外周を石に変質させ、山の地下水の水脈に繋いだ。
ドドドド!!
かなりの水量が出来て来たので、穴内を絞り水量を抑え水を水路に導いた。
その後、村人達を呼んできた。
口々に村人達は「信雄なんだ、この水田は?水は何処から?!」と言ってくる。
信雄はこの水を村まで引いて、今の陸稲から水稲へ変えないかと言った。
その際、複数の村人から心配の声が上がるが、信雄は、もし上手くいかなかったら、自分が術で来年一年面倒を見ると約束をし、陸稲から水稲への切り替えが決まった。
その日のうちに、村へ水路が通り、信雄はマナポーションを飲みながら、各家々の田の形を最初より大ききくし、信雄の家の前の田と同じ構造にした、その後、村総出で、肥溜めの内容物を信雄の地の魔法で早送りした堆肥を各田に撒いて、田起こしを行い、水を田に入れたところで、日が暮れ、皆は家に帰って行った。
次の日、村人達と、信雄は代掻きを行い、田植え前の状態に整え、その日は終わり、明日の田植えに備える様に言い、各家に紙袋に入った白米5キロを持たせ、これをこれから作るんだと言い、帰らせた。
その次の日はまさか、今まで信雄の提供していた米の作られ方を今自分達がなぞり作ろうとしている事に気づき、村人達はさらに積極的に参加して来て、信雄は田植え機を使用し驚異的な速さで田植えし、村人達は手作業で信雄のやりにくい角や田の側壁付近を植えその日のうちに、田植えが終了した。
その後、男達に稲作のマニュアルを見ながら水の管理方法を教え、他の管理方法は触りだけ説明しその日は終わり、村全体でお疲れ様会の宴会をやり、その日は早々と飯と酒を飲んだら切り上げ、村人達は帰って行った。
どうやら、毎回信雄の家で飲んで、朝飯までいただくのは気が引けたとの事だった。
信雄は一人寂しく朝飯食べるのかと、気落ちしていたら、後ろから、誰かに抱きしめられた。
その感触は広子のものであり、信雄は振り返ると広子の手を握り家に二人で入っていった。
次の日の昼に、広子は弥助の家に戻ってきた。
前日の事を広子に、晴子達が聞いても、顔を赤くして、固まるだけで、何も聞けなかったが、晴子は何かを察していた。




