十一話 オッサン農業やるのは定年してからと思ってた
オッサン三人は現代に戻って来た。
転移してきたのは、信雄の部屋だった。
いつもの如く、転移酔いになり、オッサン達は暫くダウンしていたが、回復したら、父が大輝を送ってくると言って、部屋から二人が出ていった。
信雄は二人を見送ると、母と妹の前に顔を出した後、自分が死んだと判断され解約されたアパートの駐車場から回収された自分の車にのり、近所をドライブする。
暫く走っていると、道の駅が有ったので、信雄はその駐車場に車を停車し販売されている野菜の種やスイカの苗、果樹の苗木を見つけ
た、信雄は一瞬考えたが、直ぐにそれらを買って、車に載せる振りをしながらストレージに入れ、併設された店舗のバニラソフトクリームを食べてからホームセンターに向かった。
ホームセンターに着くと、自動式の散水機複数と長いホースを買い、運搬トラックを借りそれに全て載せ運搬した振りをしながらストレージに収納し、しばらくしてからトラックを返し自分の実家に車を置き、平安時代へ転移した。
転移後、短いスパンでの転移で流石に気持ちが悪くなったのか、信雄は一人家の縁側に足を庭に投げ出しながら寝転び、ステータス画面を開いた。
名前:楠木 信雄
レベル:19
称号:鬼殺し
ジョブ:陰陽師
体力:103/103
マナ:521/521 +300
攻撃力:92
防御力:78+50
魔法攻撃力:134
魔法防御力:96+50
速さ:51
次のレベルまで:3250
エクストラスキル
時空間転移、ストレージ、魔導ショップ、ステータス、鑑定
スキル
交通誘導Lv1 計算Lv4 社交Lv2 料理Lv4
地の魔法上級 水の魔法初級 火の魔法初級 風の魔法上級
魔導ショップ残金:32500100コルン
信雄は最近の散財で魔導ショップの残金が目減りしているのを再度確認して戦慄した。
「あれだけ有ったのに・・・」
信雄はステータスを閉じ、魔導ショップの画面を開き買い取り窓口を確認するが、胡椒の買取りはまだ停止中だった。
信雄は何か他に売れる物がないか、業務スーパーを開き物色していると、板チョコレートがパックで売られているのを確認し、10パック購入する。
品名:板チョコレート10パック
値段:10000コルン
信雄はそれを、魔導ショップで買い取りを選択した。
品名:板チョコレート10パック
買い取り額:12000000コルン
残金:44500100コルン
信雄はそれを見て悪い笑みを浮かべている。
「信雄さん、聞いてますか!」
信雄の隣から声がした。
声の方を見ると広子だった。
「いつからいたの?!」
信雄は広子に聞くと、虚空を見つめ、ぶつぶつ言い始めた辺りからいたとの事、終いにはニヤニヤ笑い始めたから心配になり声をかけたそうだった。
信雄は自分の考えが上手くいきそうだったからついつい、笑ってしまったと晴子に説明する晴子はそれをジト目で暫く見た後、信雄の横に寝転がり、信雄の胸元に顔を埋めてきた、その様子に信雄は広子を抱きしめ二人して幸せそうに、暖かな日射しが照らし、春風が吹くなか睡魔に襲われ眠った。
そうして、二人が目覚めたのは夕方だった。
「ヤバイヤバイ!寝すぎた!送って行くよ!」
信雄はそう言うと、広子は、信雄がいたら父と母には泊まってくると言っていたとの事だった。
そうして、信雄と広子は業務スーパーで購入した食材で麻婆豆腐、サラダ、唐揚げ、白ご飯を調理して食べた。
広子は若いからか良く食べるのを信雄は笑顔で見ていた。
その後、信雄が風呂の入り方を教え、信雄と広子は風呂に入り、現代で妹に買って貰った広子の寝間着を渡す、広子は感激し妹に会ったらお礼を言うと言いつつ袖を通しす、その後、歯磨きをして寝室に二つ布団を敷き横になる。
広子は生まれて初めてこんなに柔らかい布団を使ったと言って暫く騒いだ後、広子の布団から寝息が聞こえ始めた、信雄はそんな広子を可愛く思いながら眠りについた。
次の日
信雄が目を覚ますと、隣には広子が気持ち良く涎を垂らしながら寝ていた。
信雄はそんな広子を見て少し笑うと、起こさないように台所へ向かい、朝飯を作る。
今日の朝飯は白ご飯と卵焼き、漬物、味噌汁だ朝飯のいい匂いで寝ていた広子が起きてきた。
「おはようございます・・」
「おはよう!」
どうやら、まだ寝ぼけているようだった。
顔を洗い完全に目が覚めた広子が取り乱したのは言うまでもなかった。
その後、信雄と広子は家の隣に有る、藪へ向かった。
その藪を信雄は前の時と同じ様に、整地した。
その後、整地した外周を地の魔法を使い高さ1.5メートル程の石壁を出し囲い、入り口に門を取り付けた。
そうして、壁内を綺麗に区切り買ってきた季節に合う野菜の種子や、スイカの苗、果樹のの木を植え、買ってきた自動散水機を設置してホースを通し井戸の汲み上げ装置へ繋ぎ水を通した。
「これは何ですか?信雄さん?」
と言う広子が散水機の吹き出し口を見ていると勢い良く水が吹き出し広子はびちょびちょになった。
「もう、何するんですか?!」
そんな怒っている広子に謝罪し、仕組みを説明する、広子は目を輝かせ驚いていたが、信雄は濡れて体のラインにピッタリと張り付いた広子の着物を見てドキドキが止まらなかった。
その後、びしょ濡れになった広子を風呂に入れ、これも妹が買っていたジャージを着せた。
「何これ?肌触りが最高です!ありがとうございます!」
広子はそんな事を言い、濡れた着物を持って
弥助の家に帰って行った。
「俺、こんな農業するのは定年してからと思ってたのに・・・」
信雄は広子の家に帰って行く背中を見送り、そんな事をひとりごちている。
これから、短い春が終わり、暑い夏がくるのをこの時の信雄は知らなかった。




