十話 公衆衛生をオッサンはオカルトを便利に使い説く
家を魔改造した日の昼頃
天から大粒の雨が降り注いだ、信雄、雄二、大輝の三人は軒下に置いてある長椅子に座り、スパスパと煙草を吸っている。
三人は昨日の出来事を面白可笑しく茶化しながら、深夜まで呑んでいた酒も残っていたのかのんびりしていた。
しばらくそうしていると、雨が小降りになり、雨が止んだ、通り雨だったとおもわれる。
雲の切れ目から太陽の光が降り注ぐ、信雄はそんな光景をエモい気持ちで見ていたら父と大輝が言ってきた。
「家の設備の諸々の取り付け終わったから帰ろうと思うが、最後にお前が世話になっている村に挨拶に行こう!」
「そうだな、それがいい!」
二人はそう言いながら、信雄に父の車、であるスズキのジムニーを出せと言ってきたので出して、三人乗り込み村へ走り出した。
途中びちゃびちゃの道を快調に進み、5分程で村の中心部付近に着いた。
三人は車を降り、信雄がストレージに入れた。
村の中心部付近は先ほどの雨のせいか、泥濘の状態になっており、皆基本、野糞上等なのか、雨のせいもありかなりの悪臭が充満している。
信雄が顔を曇らせ、口呼吸を意識していると、大輝が言ってくる。
「この状態はまずいな、目に見えて汚物は家の周りに無いとはいえ、そこらで無秩序に排便しているとヤバイ疫病の温床になりかねないな!」
「え?自分はてっきり糞尿も堆肥にしていると思っていたけど、まさか!」
「そのまさかだよ、野外でトイレしたら最悪そのままな可能性があるな!」
信雄と大輝がそんな事を話していると、雄二が言ってくる。
「で?どうするんだ?まさか見捨て無いよな?」
そんな、嫌らしい事を信雄の顔を見ながら言ってくる。
「当たり前だろ!このままで良いわけがない!喜一郎に許可を取ってくる!」
信雄はそう言い二人を残し田堵の喜一郎の家に走って行った。
「あいつ昔から、その気質はあったが、良いやつだな!俺に娘がいたら結婚させたいくらいだぜ!」
「当たり前だろ、俺の息子だぞ!まあ、あれでいままで浮いた話が無かったのは、周りの女に見る目が無かったんだろうよ!」
「お前も言うね~!」
「茶化すなよ、照れるじゃないか!」
それを見ている、雄二と大輝はそんな事を話しているのだった。
コンコン!
信雄は喜一郎の家に行き、ノックした。
少ししたら、中から、喜一郎が出てきた。
「喜一郎さん、今少し、村についての話よろしいでしょうか?」
「信雄さん、どうしたんです、急に?また鬼でも来ましたか?!」
「もっと怖いものがくる可能性があります。」
「え?!本当ですか?!」
そんな信雄の話に喜一郎の顔から血の気が引いていくのが、見て取れた。
「実は野外で排便した物に邪気が集まり初めている気配を感じています。」
「排便ですか?」
「そうです、疫病の悪鬼達が好みそうな環境になりつつあります。」
「私はどうすれば、宜しいでしょうか?」
「厠と肥溜めを作る許可をいただきたい!」
「何ですかそれは?」
「疫病の発生を抑制し、田畑の実りを高める術です。」
「お願いです、村を助けてください!」
「任せてください、自分はその為に今ここにいるのですから!」
信雄と喜一郎が話終った後、すぐに喜一郎は村中に話を伝えてくれた。
信雄はまず、大勢の男達を集め、スコップを渡し、各家の横に、深さ1.5メートルの、男がすっぽり入れる穴を掘らせた。
穴の少し離れた位置にもう一つ穴を掘らせ、最初の穴と繋げる。
その後、その穴の形状と穴内を信雄の地の魔法で石に変質させ、穴の周りに、便所の仕切りと屋根用の土台を作り離れた位置の穴に、木で作った蓋をした。
その後、大輝の指導で、穴の周りに木の囲いと屋根を作り、ドアを付け、ぼっとん便所が完成した。
その後、田畑の畦数ヶ所に直径1.5メートル、深さ2メートルの穴を掘らせ、信雄の地の魔法で穴壁を整え、石に変質させ、木の大蓋をし、肥溜めを作った。
そうしていると、夕方になったので、参加した男達に日本酒の入った通い徳利を渡して帰らせた。
次の日、信雄は村の全員を集め、ぼっとん便所の使い方と管理方法、肥溜めの使用方法を説明し、村内の男達で管理をローテーションを組ながらやることが決まる。
最初は面倒だと不満が出ていたが、信雄が「糞尿をそのまま放置すると邪気が溜まり、疫病の悪鬼達がよってくるんだ、自分が家を出た後に数匹いるのを見た!」そう言うと皆の先ほどの反対が嘘みたいに消えた。
その後、糞尿の回収に参加した者達には、通い徳利一本分の日本酒が信雄から分配される事が決まった。
ちなみに、この酒は現代の酒屋から購入した酒を、この時代にもありそうな徳利を現代で大量に購入し詰め替え、贈答用でストレージに保管していた物である。
その後、この村から疫病の報告はなく、作物の収量が増えたとの話が上がるが、それはまた別の話である。
その日の夕方、流石に父と大輝は元の時代に帰らないとまずいと、信雄が言うと、少し前までは帰ると言っていた二人が何故かごねていたが、帰る事が決まった。
次の日、持ってきた工事道具や重機をストレージに収納すると、村に挨拶に行き、挨拶を済ませ、車をストレージに収納し、現代に転移した。




