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派閥学園  作者: N旅人
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第8話「理科室の偽装敵」

第8話「理科室の偽装敵」

実習教室棟3階・奥側──理科室。

ドアを開けた瞬間、薬品の匂いと冷たい空気が襲ってきた。

「遅いわね。もう実験は終わったところよ」

白衣にゴーグル、紫がかった長い髪。在滝涼葉ありたきすずはが、試験管を片手に振り返った。

真横には助手の宮河佳奈みやがわかな(元気ドジっ子)と玉木咲久たまきさく(眠そうなクールボクっ子)が二人ともフラフラしながら立っている。明らかに疲労困憊だった。

朝飛が一歩踏み出す。

「君たちを解放しに来た! 家庭科室に無理やり――」

涼葉がクスッと笑って遮った。

「解放? 随分とご立派な台詞ね。

でも悪いけど、私たちはもう“敵”なの。

突然、理科室のシャッターが閉まり、鍵がカチリと鳴る。

佳奈が叫ぶような声で。「ごめんなさい! でも命令されてて……!」

咲久が眠そうに呟く。「……戦わないと、薬の解毒剤もらえないって……」

涼葉が試験管を掲げた。

中には青白く光る液体。

「これを飲めば、家庭科室の料理中毒は完全に治る。でも裏田老人に人質にされてるのよね。

だから――あなたたちを倒すふり、させてもらうわ」

戦闘開始。しかし、どこかおかしい。

涼葉の攻撃は全部“外してる”。佳奈の設計図爆弾は朝飛の足元0.5秒前に着地して煙だけ。

咲久が「記録した情報」を読み上げても、全部1ターン前の動き。

梨子が気づいた。「……わざと負けてる!」

涼葉がニヤリと笑う。「さすがね。でも声に出さないで。ここ、監視カメラがあるから」

朝飛が小声で。「どういうことだ?」涼葉が試験管を朝飛に投げた。

受け取った瞬間、中身は空だった。

「演技よ。私たちは最初から、あなたたちの味方。でも裏田に見つかったら、即監禁。

だから“戦って負けたふり”をして、こっそり合流する作戦」

佳奈が涙目で。「私、ドジだから、わざと失敗してごめんね……!」

咲久が欠伸しながら。「……本当は、もう限界なの。毎日薬作らされて、眠れなくて……」朝飛が拳を握った。「わかった。じゃあ、こっちも演技する。全力で“倒して”あげる!」演技戦闘、開始。梨子が水の渦を巻き起こし、立神が風で器具を全部吹き飛ばし、

実山真梨が「廃材爆弾・改」をドカーン!理科室は見事に半壊。

涼葉が大げさに叫ぶ。「きゃー! 負けたー! もう降参ですぅ~!」カメラに向かってウインクまでして。

シャッターが開き、家庭科室派閥を仕切る裏田が直々に現れる。

「どうだった、在滝!」

涼葉が涙を浮かべて(完璧な演技で)「すみません……完敗です……」

裏田は怒りを見せながらも何かを急ぐような駆け足で諦めて帰っていく。

シャッターが閉まった瞬間、涼葉がゴーグルを外して、本気の笑顔を見せた。「

さて……これで私たちも正式に“空き教室派閥”ね」

佳奈が飛びついてきた。「やっと自由だー!!」

咲久が眠そうに、でも嬉しそうに呟く。「……これで、ちゃんと寝られる……」

朝飛が手を差し出す。「ようこそ」

涼葉がその手を握り返した。「よろしくね、リーダー。――能力開発の鍵は、私が握ってるわよ」

そのとき、廊下の奥から新たな足音。朝飛たちは急いで散乱した物陰に隠れる。

家庭科室派閥のメイド服の少女――大蔵鳴衣おおくらめいが、相棒のウグイスを抱いて立っていた。

「遅くなってごめんなさい。お嬢様たちが、お待ちです」

全員が息を呑む。

次の戦場は、いよいよ家庭科室。

第8話 終

(次回、第9話「巫女姉妹と執事の反逆」 伊勢姉妹が操られている真相、そして裏田老人の正体が明らかに!)

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