第14話「生きていた上埜、そして……」
第14話「生きていた上埜、そして……」
屋上 夜明けの薄闇爆発音とともに扉が吹き飛び、
火傷だらけの上埜が、煙の中から現れた。
「まだ……終わってねぇよ……河越朝飛!!」
右腕は不自然に曲がり、顔の半分が包帯で覆われている。
和室で倒したはずの男が、生きて蘇っていた。
梨子が水を構える。「どうやって生きてたのよ!?」
上埜が、狂ったように笑う。「職員室が……俺を“強化”してくれたんだよ……爆発と煙の能力……もう、風も水も効かねぇ!!」
彼が手を掲げる。瞬間、屋上が猛毒の煙と連続爆発に包まれる。
立神の風が煙を払おうとするが、逆に煙が濃くなり、視界ゼロ。
実山真梨の爆弾が炸裂するが、上埜の爆発で相殺。
「はははは!! お前ら全員、俺の煙で窒息死だ!!」
朝飛が叫ぶ。「みんな、散開!!」
混戦の中、上埜の吹き矢が朝飛の肩を掠める。毒針。
朝飛の体が一瞬硬直。
「朝飛くん!!」梨子が駆け寄る。
上埜が嘲笑う。「もう終わりだ……職員室の最終命令は……お前たちを一人残らず始末することだ!!」
だが、そのとき。貴山が、静かに歩み出た。「……同じ部活の元部員を止めるのは僕の仕事さ。上埜くん、君はもう諦めた方がいいよ」
上埜が振り返る。「……部内で一番弱いてめぇなんかが相手になるか?」
貴山は、首を振る。「違うよ。僕は最初から、弱いふりを “演じて”いただけ。でも、もう必要ない」
彼が指を鳴らす。上埜の体が、突然硬直。
「な……!? 体が……動かねぇ……!」貴山の相手の体を固める能力が、上埜の暴走を完全に封じた。
「君は部活内でのトラブルメーカーだった。僕が空き教室派閥に入った今、君はただの邪魔者だ」
上埜が絶叫する。「待て……待てよ!! 俺はまだ……!!」
朝飛が、不死身の体で立ち上がり、上埜の胸倉を掴む。
「……お前が味方を切り捨てたこと、忘れてない」
一撃。朝飛の拳が、上埜の顔面を直撃。
上埜は、吹き飛び、屋上のフェンスを突き破って落下。今度こそ、完全にリタイア。
静寂が広がった。
梨子が、息を吐く。「……終わった……?」
だが、竪神が、静かに首を振った。「いや……まだだ」
彼は、屋上のスピーカーを指さして言った。
「放送の奴ら、隠れてないで出てこいよ!」
屋上の隅から、ゆっくりと二つの影が現れる。
榊原豊埜(魔王モードの瞳が赤く光る)と穴倉御行(ノートを片手に、いつもの好奇心たっぷりの笑み)だった。
穴倉が、ぽつりと呟く。「……面白いね。ここまで来るとは思わなかった」
榊原が、完全に壊れた笑顔で。「さあ……本当のゲームを始めましょうか」
朝飛が、全員を背後にかばいながら叫ぶ。
「お前たち……最初から、全部知ってたのか!?
穴倉がノートを開き、ページをめくる。「もちろん。僕たちは、最初から“観客”だった。君たちの裏切り、絶望、絆……全部、記録してたよ」
榊原の能力が、屋上全体を赤く染め始める。心の冷静さを奪い、凶暴化させる波動。
だが、愛賀奏音が正感情を増幅。「みんなの絆は、負けないよ!!」
波動が、相殺される。
榊原が、初めて動揺する。
「……まさか、私の能力を……」
穴倉が、静かにノートの一ページを破る。
「穴倉御行:弱点記録、発動」突
然、朝飛たちの体に痛みが走る。過去の傷、弱点が一斉に再発。
梨子の古傷、立神の風の反動、全員が膝をつく。
穴倉が笑う。「君たちの弱点、全部知ってるよ。 だって、僕が隠れて近くで観察してたんだから」
朝飛が、血を吐きながら立ち上がる。「……それでも、俺たちは……」そのとき、屋上の扉が、再び開いた。現れたのは、美術室のシャーク=セイモンと、和室の神堂仲矢。
神堂が、神刀を構えて立つ。「遅れてすまないね。――我々も、まだ“役目”がある」
同時に裏切りの宣言。
シャークの薬草が猛毒を撒き、神堂の「神の拒絶」が、全員の能力を封じ始める。
梨子が叫ぶ。「なんで……まだ……!?」
神堂が、冷たく告げる。
「僕たちは、最初から職員室の“最終兵器”だ」
屋上が、完全に絶望に包まれる。
朝飛が、血まみれで笑った。
「……まだ……終わらない」
第14話 終
(次回、第15話「穴倉御行のノート奪還戦」最大の危機、そして逆転の鍵とは――)




