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派閥学園  作者: N旅人
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第12話「運動場と体育館の同時崩壊」

第12話「運動場と体育館の同時崩壊」

夜8時45分。月が血のように赤い。

運動場と体育館の間に、空き教室派閥が一直線に並ぶ。

総勢40名を超える、最終決戦部隊。対するは、

•運動場派閥 残存戦力約70名(崇角・高塙・汐浜・五十津ら)

•体育館派閥 残存戦力約60名(閑前・宮津間・篠川ら)

両軍は、榊原の能力が解除された後も、「もう後には引けない」というプライドだけで突っ立っていた。

崇角が野球バットを肩に担ぐ。「てめぇら……文化系の犬どもが調子に乗るのもここまでだ」閑前がニヤリと笑う。「勝てば俺たちのルールだ。負けた奴は島流し。 それがこの学校の伝統だろ?」

朝飛が一歩前に出た。「もう伝統なんて終わりにする。今夜、ここで全部壊す」

梨子が水を最大出力で発生させ、立神が風を巻き上げ、実山真梨が「最終爆弾・陽炎」を掲げる。

開戦。最初に動いたのは、運動場側の高塙たかはな

「梨子ぉぉぉ!! あんただけは絶対許さない!!」

負の感情増幅能力を全開にし、梨子に向かって突進。梨子は冷静に水の壁を張る。

「悪いけど、もう昔の私じゃない」

高塙の能力は、今や空き教室派閥の愛賀奏音(正の感情増幅)の前では相殺される。

奏音がフリフリポーズで叫ぶ。「みんなの絆、パワーアップ~♪」高塙の負の感情が中和され、逆に味方全員の士気が爆上がり。高塙は、動揺する。

「な……なんで効かないのよ!?」梨

子が水の刃で高塙を包み、優しく地面に下ろす。「もう終わりよ」高塙、戦意喪失。

続いて崇角と閑前が同時に突っ込んでくる。崇角「全部まとめて潰す!!」閑前「逃がさん!!」だが、そこに現れたのは、阿乗灯大と、完全に復活した立神敦起。立神がサングラスを外し、3年ぶりに本気の笑顔を見せた。「ほな、俺の出番やな」風が竜巻に変わる。立神の能力は、在滝涼葉の薬によって覚醒していた。「暴風域・絶」運動場全体が巨大な竜巻に飲み込まれ、運動系生徒が一斉に吹き飛ばされる。同時に、体育館側では、

梨子と夙浦凛花の連携水攻撃、実山真梨の連続爆弾、伊勢姉妹の「混合+等分」で作った超高密度水球が、体育館の壁を粉々に破壊。

宮津間が叫ぶ。「待て! まだ終わって――」

終わった。10分後。運動場は巨大なクレーター。

体育館は屋根が完全に吹き飛び、骨組みだけが残る。

崇角と閑前は、互いに肩を貸し合いながら、膝をついていた。

崇角「……負けた……」閑前「……クソが……」

朝飛が二人に歩み寄る。「もう終わりだ。 お前たちの派閥は、今夜で消滅する」

そのとき、校舎の屋上から、拍手が響いた。榊原豊埜と穴倉御行。榊原が魔王モードで哄笑する。

「素晴らしいわ! 完璧な共倒れね! これで残るは――」

朝飛が屋上を見上げて叫んだ。「違う!! 俺たちは誰一人欠けてない!!」

屋上の榊原が、初めて表情を歪めた。「……え?」朝飛が全員を背後に見せる。

美術室、技術室、情報室、理科室、家庭科室、和室穏健派、プール派閥……そして、今し方降伏した運動系・体育館系の生徒たちまでもが、空き教室派閥の前に整列していた。誰も死なず、誰も重傷を負わず、ただ「派閥」という名の鎖が外れただけ。朝飛が宣言した。

「これが俺たちの勝ち方だ。誰も傷つけずに、全部終わらせる」

榊原が震える。穴倉御行がノートを握り潰す。「まさか……本当に……」朝飛が最後に告げた。「次はお前たちの番だ。職員室」

校庭に初めて、誰も戦わない静寂が訪れた。

月が雲間に顔を出し、まるで祝福するように白く輝いた。

第12話 終

(次回から、裏切り者編突入第13話「味方だったはずの――」ついに、最大の裏切りが明らかになる)

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