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第六十一話 『窮地を救う者』

 「――――はっ……!! そうだ、ミネカは!!? …………ミネカ………?」


 すぐ側に倒れているミネカに気づく翔英。

 翔英はすぐに顔を近づけ、彼女の名前を叫んだ。


 「ミネカ…………!! ……まさか…………もう…………」


 「彼女はまだ生きているよ」


 悲しみの中で涙を浮かべる翔英を見かねたのか、ロジェが口を開く。

 

 「わずかだけど、彼女の心臓の音が聞こえるからね。だけど、安心はしない方がいい。危険な状態だから」


 「くっ……!! お前ら……!!」 


 ミネカが傷ついていることに対する怒りを、眼前の魔物にぶつける翔英。

 ロジェは全く動じず、極めて冷静に話し出す。


 「彼女が今倒れているのは、死んでいた君を復活させたからだと思うよ。どうやったのかはわからないけどね」


 「……え……!? …………そうか、やっぱりミネカが俺を助けてくれたのか……しかも、死んでいた俺を…………? ……何だよ……それ……」


 自分が『死んでいた』こと。

 それなのに今、ここにいること。

 その要因がミネカにあることに驚きを見せる。


 だが、死ぬのは二度目だ。

 今あれこれ考えている場合でもない。


 とにかく今は、ミネカを『助けなければ』。

 話はそれからだ。


 「……本当にごめん、ミネカ。………いや、ありがとう、本当に。今度は俺が、君を助ける番だ。まだ生きているんだ…………必ず、助けるから……!!」


 翔英は、いつの間にかネックレスに戻っていた宝石から剣を作り出し、対峙する二人の魔物に向けた。

 それを見たロジェは、首を振りながら言う。

 

 「――――やれやれ、僕は君が生き返ったことに喜びを感じているんだ。できれば、君と戦いたくはないんだけど。せっかく、鍵ももらったんだし…………………あれ? …………あの鍵の破片がない……落として……………ない………まさか…………!!」


 さっきまで握っていた鍵のかけらが無くなっていたことに気づくロジェ。

 そして、ロジェにある予想が生まれた。


 「ショウエイ!! 君は今、鍵を持っていないか!?」


 「え? 何言ってんだ、鍵はお前に渡したじゃないか…………お? ……あった。……しかも、壊れてない……!!」


 翔英はポケットから鍵を取り出した。

 その鍵は、元の状態に戻っている。

 さっきは、粉々の塵になっていたのに。


 「…………!! やはり……!! ……ということは…!!」


 ミネカの能力について考察するロジェ。


 そして、後ろで突っ立っているデゼスポに目的を共有する。


 「デゼスポ!!! 僕らの役目を言い渡す!!! ショウエイの持つ鍵の奪還!! それとあの子の生け捕りだ!!!」


 「……あっはい! 分かりやしたぜ!! たやすいたやすい!!!」


 鍵が直ったことは彼らにとっても好都合。

 翔英を倒して、鍵とミネカを奪うという作戦に出る。

 

 翔英の任務は一つ、鍵とミネカを守り、敵を撃退すること。

 ミネカ、そしてガロトに祈りながら、迫りくる敵を迎え撃つ。


 二対一の戦い。

 

 一見、翔英の圧倒的不利に見えるが、実際はそうでもなかった。


 斬っては離れ、斬っては離れ、敵の攻撃をもらわないように、慎重に戦いを展開する翔英。

 その戦法は功を成し、戦況を優位に進めている。


 修業で培った経験が影響を与えていることは言うまでもない。

 攻撃と防御の境目を極めて小さくする努力をしてきた翔英は、冷静に動きを見ることができるようになっていた。

 

 そして何より、二人の魔物が本来の力を出せないことが大きい。

 

 ロジェは、先刻の翔英との戦いでかなりの重症を負っている。

 さらに、不慣れな拳での戦いを強いられている。

 すっかり全快となった翔英には、ロジェの動きを見切ることは容易だった。


 デゼスポもそうだ。

 デゼスポはミネカとの戦いで、『魔能の使用限界』を迎えている。

 

 つまり、今日の彼はもうあの爆発を起こせないのだ。


 そしてすぐにロジェは攻撃を仕掛けるのを止めて、後方に下がった。

 これ以上戦う事は命に係わると判断した結果だ。

 ロジェは翔英をデゼスポに任せて、ミネカを狙おうと画策する。


 しかし、ボロボロのロジェと太っちょのデゼスポ。

 スピードでは圧倒的に翔英の方に分があるため、デゼスポを振り切った翔英がすぐにやってきて、ミネカの近くに行ってもどうにもできなかった。


 結局ロジェは、自分で行動することを諦め、翔英対デゼスポの後ろで休んでいることにした。


 「………くそ、この身体じゃあ…………まさか、自分の無力を思い知る日が来るとは………」


 一対一となった翔英。


 得意技が使えないすっとろいデゼスポに、翔英の斬撃が次々と決まっていく。


 「(勝てる……勝てるぞ……!! こいつ一人なら……いける……!!)」


 「ち、ちくしょうおっ……!! 魔能さえ使えれば、てめえなんかっ……!!!」


 「終わりだ!!!」


 一閃、決まる。


 翔英の振り絞った一撃は、深く、鋭く、デゼスポの真っ赤な胸を切り裂いた。

 重苦しい断末魔と共に、デゼスポは地に沈んだ。


 「よ、よしっ!! 勝ったぞ……俺が……!!」

 

 まず一人倒すことに成功し、喜びを爆発させる翔英。

 後ろで座っているロジェは、悲し気な声色で呟く。


 「…………デゼスポ………負けたのか……だが……」


 残す敵は一人。

 翔英は、ロジェに剣を向けながら宣告する。


 「終わりだロジェ……今度こそ。……やっぱり……撤退する気はないんだろ……?」


 「……ないね……」


 ロジェのアンサーを聞いた翔英は心を鬼にし、胴体目掛けて剣を振り下ろした。

 

 しかし――――その攻撃は命中しなかった。


 翔英とロジェの間に割って入ったものがいたからだ。

 そいつは、翔英の一撃を鎌で弾き飛ばす。


 「……まあ随分と……人の家の近くで好き勝手やってくれたな……」


 援軍出現。

 翔英の前に、その男は立ちはだかった。

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