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13話 些細な会話

 僕は家に帰った後コスモスに正式に入ったことを伝えた。

 コスモスという組織の存在については事前に伝えていた。

 普通に考えたら僕たちの普段の生活に地球外生命体が存在してそれを退治している人たちがいることを聞くと驚くか信じずに頭がおかしくなったなどという反応をすると思っていたのだが、僕という超能力者が普段身の回りにいるせいで感覚が麻痺しているのかあまり驚いてくれなかった。

 まぁ、実感がわいてないだけで、実際に戦ってるところとかを見たら驚くのだろう。


「亜樹、俺はお前がやりたいと思ったことを止めるつもりはないし、お前がやりたいことに対するサポートはいくらでもやっていきたいと思っている。お前の両親にお前を託された身として亜樹、お前は絶対に死んだらダメだぞ」

「……父さん」


 まるでコスモスとして戦うことがどのようなことか言っているような話し方だった。

 僕の実の父と今の父さんは親友だったらしい。

 実の父が亡くなった際、親戚に預けられる手前で父さんの遺書により今の父さんのところに転がり込むこととなり、とてもよくしてもらっている。


 その次に母さん、妹の莉緒とも話した。

 受験や身の安全などの話などをしたうえで納得してくれたと思う。

 僕はこれまで自分を犠牲にしてでも人を助けて行かないといけないと思ってたけど、やっぱり家族と一緒にいるとそんな覚悟が鈍ってしまう。

 いい話なんだけど、覚悟が鈍ってしまうのはやっぱりよくない気がしてならない。


「そういえば、それで僕をコスモスに誘ってくれた優衣さんが家に来て一緒に勉強することになったよ。朝に来客が来たらたぶんそうだから僕が出るね」


 僕はそう言い残して夜食の準備を始めた。




「――ふぁぁぁああ!」


 クジラの遠吠えのような欠伸とともに僕は目を覚ます。

 今日はゆいぴょんが僕の部屋で勉強を教えてくれるらしい。

 活発というわけではないし、根暗である僕にもある程度友達はいるし、クラスメイトとの大体とは良好な関係を築いている僕ではあるが、どういうわけか全く放課後一緒に遊んだりしたことがない。

 高校生の放課後といえば友達と一緒にカラオケに行ったり、おしゃれなカフェに行ったりするものだと思っていたけど、そのようなことをするには事前に約束をする必要がある。

 根暗な僕には楽しく会話をすることがあってもそこまで会話が発展することはなかった。


 まぁ、友達にわからない問題を質問することならこれまでにもたくさんあったけど、人を僕の部屋に上がらせるのは初めてなんだ。

 舞い上がってもいいだろう。


「あ、もう七時半だ!」


 八時にゆいぴょんが来るらしいので残り三十分しかない。

 慌てて部屋から飛び出して顔を洗って、歯を磨いて髪をセットする。

 普段の生活では全くセットなんかしない僕の髪ではあるが、こんなこともあろうかと調べて練習だけはしていた。

 やはりもしもの時のことを考えて準備をしておくことは大切だなぁ。

 僕位適当な人間だとここまでの準備に十分かからない。


「おはよう!」


 ドアを開けてリビングに入ると僕よりも早く起きていたらしい家族全員が心ここにあらずといった様子でこれから外出するのかというくらいにはびしっと決めた格好をしていた。

 今日は日曜日だし、どこかに遊びにでも行くのか?

 まぁ、僕は受験生だし誘われてなくても傷ついたりはしないけど……


「おはよう、亜樹」


 莉緒が挨拶を返してくれる。

 すごいな。

 莉緒は数年分のお年玉をはたいて買ったといっていたブランド物の服を着て、母さんから借りでもしたのか、センスの悪くないネックレスをつけている。

 かわいいやつだ。

 必死に背伸びしている子供ほどかわいらしく見えてしまうものはない。


「莉緒、どうしたの?今日、完璧な恰好じゃん。キマッてるよ」

「そりゃ、どうも……まぁ、今日はゆいぴょんって人が来るらしいじゃん。見定めないと……」


 なにやら燃えている様子。


「え?ゆいぴょんと話すつもり……?」

「いや、話させないつもり?」


 確かに僕と一緒に僕と一緒に命を懸けて戦う関係なんだ。

 気になっても仕方がないか。

 適当に食事を済ませているが、内心心臓バクバクだ。

 ゆいぴょんとは勉強するとしか言ってなかったし、急に家族と話さくちゃいけない状況なんて迷惑だろ。

 ここはみんなにあきらめてもらいたいところであるが、この気合の入れ方といい、難しそうだなぁ。


「いや、でも今日は一緒に勉強するだけのつもりで急に友達の家族と会話なんて重くない?」

「大丈夫よ。私たちだって気合こそ入ってるように見えるかもしれないけど、そんなに長く会話するつもりはないから」


 安心できねぇな。


「ホントォ?一応命の恩人でもあるんだから困るようなことは言わないでね」


 みんな思い思いの様子で優衣ぴょんが来るまでの時間を潰している。

 莉緒とかはさっきからつめの手入れにすごく集中している。

 


 ピンポォ~ン!

 家の緩い感じのチャイムが響いてきた。

 思わず体がビクッ!と震えるが、それはみんな同じだった。

 僕が対応するからと昨日言いはしたがこの様子だとどれだけ気持ちを制止してくれたものか分かったものじゃない。

僕は走って玄関へと向かう。


「――ようこそ。僕の家まで迷いませんでした?」


 ドアを開けると少しかしこまった様子のゆいぴょんが立っていた。

 普段は戦いをする可能性を考慮しているので動きやすい服装しか見たことがなかったが、今日は花柄のワンピース姿だ。

 一応、僕としては家から出ずに感ず目で勉強するつもりだったけど、もしかしたら、一区切りついたら遊ぶつもりなのかな?

 それともただ僕だけのためのおしゃれ?


「うん、前もって人工衛星で撮られた家の画像とかいろいろもらってたしね。迷わなかったよ」

「よかった。さぁ、上がって。何もない部屋で悪いけど、今日は頑張ろうね!」

「うん、それじゃあ、お邪魔しますぅ……」


 靴を脱いで玄関に上がろうとしたゆいぴょんの動きが少しぎこちなくなった。

 僕も気になって視線が誘導される。

 僕の家族が扉から顔だけ出して除いていた。

 三人が団子さん兄弟みたいに重なってた。


「……うん、僕の部屋に行こうか」

「……ええ、そうだね……あ、これ家族と一緒に食べてよ」

「ありがとう!」


 そういい、優衣ぴょんは僕に紙袋ごと大きめのお菓子を渡してくれる。

 家族に預かってて欲しくはあるが、僕が普段暴食の限りを尽くすので僕の家族もみんなできるだけ自分がしっかり食べられるようにと食べ物を見ると口に運ぶように調教されてしまった。

 これは僕が預かっておこう。

 優衣ぴょんを先導して僕の部屋へと向かっていく。

 確かに僕は優衣ぴょんに迷惑が掛からないようにって思って家族のだれよりも早く出てきたけど、てっきり僕は今この間にでも優衣ぴょんに話しかけに来るものだと思ってた。


「なんかうちの家族変な感じだったね……普段はもっと普通なんだけど、僕がコスモスに入ったりしたせいで少し情緒が不安定みたい」

「変なんかじゃないよ。ちゃんと亜樹に興味をもって心配してくれてるんだから」

「まぁ、確かにそれはそうなんだけどね」


 僕の両親は共働きで、そこそこ給料のいい場所で働いているため、血のつながりはない僕ではあるがかなりレベルの高い生活を送らせてもらっている。

 僕は必要ないとは言ったが塾に通わせてくれようとしたり勉強に必要になるかもしれないからと良さげなノートパソコンやタブレットも買い与えてくれたし、これまでにも習い事をたくさんさせてもらえた。

 そんな僕の部屋は広いというわけではないが、友達が遊びに来ても快適に過ごせるくらいにはある。

 友達は来たことないけど……


「結構綺麗にしてるんだね」

「僕の部屋はのドアは基本的に閉めてないから僕の妹とか母さんが頻繁に着てくつろいだりして、その対価として部屋の掃除をやってくれるんだよ」

「仲良いなぁ」

「そう?」


「うん、私にもお兄ちゃんがいるんだけどね、まだ会ったことないから、もしも一緒に生活してたらこんなに仲良くなれたのかなぁって思うよ」

「優衣ぴょんのお兄さんでしょ?きっとすごいイケメンだろうし、探せば見つかるんじゃない?」

「まぁ、確かに本気で探したことはないけどね。会っても話すことが思い浮かばなくてしんどいだろうし」

「確かに、少し気まずくなったりするのかな?」


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