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プロローグ

ここは秋葉原──オタクの聖地。


ビルの壁一面に広がるアニメキャラ、路地裏に潜む同人ショップ、カフェから聞こえるアニソン。


ネオンの光が反射する歩道には、コスプレイヤーやグッズ目当ての人々が行き交う。


この街を歩くとき、俺はまるで自分がアニメの世界に迷い込んだような気分になる。


俺、寺内拓馬。二次元至上主義のオタクだ。


好きなものはアニメと漫画、三次元は興味なし。声優イベントやアニメライブなら全力で行くが、現実のアイドルやタレントはスルー。


──そんな人生だった。


……だったはず、なのに。


ある日、俺の大好きなアニメと、いつも通うメイドカフェ『ミスティリカ』がコラボすることになった。


ニュースを見た瞬間、胸の奥が小躍りする。限定メニュー、コラボ衣装、オリジナルグッズ──考えるだけで心が躍る。


「こ、これは……行くしかない!」


扉を開けると、いつもより華やかな店内が広がっていた。壁やテーブルにはアニメの装飾が施され、BGMはキャラクターソング。店内全体が、まるで画面の中に飛び込んだかのようだ。


「おかえりなさいませ、ご主人様♡」


その瞬間、俺の世界は少しだけ揺れた。


ふわっと甘い香り、光を反射するカラフルな装飾。


そして──銀色の髪を光に透かして微笑む、ひとりのメイド。


ルミ。


その子は、俺の“推し”という概念を、二次元から三次元にまで広げてしまった張本人だ。


自然に目が追ってしまう仕草、ほんの少し照れた笑顔、そして何より──優しい声。


気づけば、俺は毎週のように通っていた。


彼女の笑顔を見たくて、声を聞きたくて。


この日も、いつも通りのはずだった。


──まさか、このあと俺が異世界に飛ばされるなんて、このときの俺は知る由もなかった。

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