【第3章】 SNSは“問い”を封じる装置だった説
【場所:SNS研究都市「バズヴィル」】
未来人は、フォロワー数8億のインフルエンサーから、公開質問を受けていた。
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「ところで未来人さん、あなた全然“伝わって”ないですよね?」
「SNSって“伝わるかどうか”がすべてじゃないですか?」
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未来人はまじめに答える。
「伝える必要、あります?」
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会場、騒然。
「えっ」
「え、伝えるのが……目的では?」
「目的じゃないなら投稿しないでくれない?」
「#SNS向いてない人」
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未来人は、スライドを1枚出す。
【SNS構造図】
発信 → アルゴリズム → 可視性評価 → 共感フィルター → 感情一致 → 拡散
→ 【“問い”は途中で全部はじかれる】
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「これ、つまり“届きやすい言葉”しか届かない構造なんです」
「SNSって“発信の自由”があるように見えて、
実際は“発信されたものがどう加工されるか”の自由が一切ない」
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「問いって、“今すぐわからないもの”なんです。
でもこの世界、すぐ伝わるものしか回せないんですね」
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【制度案③:問い投下機能付き投稿欄】
・通常の投稿欄に「これは問いです」とタグを明記して発信
・このタグが付いた投稿は、アルゴリズムが評価対象から除外する(=“わかりにくさ”が保護される)
・受信側は「わからないけど、残しておきたい」と思ったときだけ“問いホルダー”に保存可能
・コメント・いいね・引用リプは禁止
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「つまり、“誰にも届かない”ことを許容する設計にするんです。
届かないものは、“届かないまま”が一番いいんですよ」
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SNS研究都市の所長がぼそっと呟いた。
「たしかに……“誰にも届かない問い”が、自分の中で残ってたことあるわ……」
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未来人、笑う。
「“誰にも届かないのに、自分の中に残る”──
それが、“問い”なんです」
【次章予告】
第4章:非共感型接続アーカイブ制度
「わかりません」と言える自由。
共感できないまま、問いを預かる制度の設計回へ。
“理解できない”が罪じゃなくなる世界を、未来人が設計する──