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6:ボールルームにて

 



 メンタルイケメンの騎士様に、コンラッド王国の髪染め剤について詳しい話を伺いたいのだと話した。


「どなたにお伺いしたらいいのか迷っていましたの」

「それはそれは。わが国に興味を持っていただきありがとうございます」


 騎士様は恭しく礼をすると、どういった方向性の詳しい話がいいのかと聞いてくださいました。

 ドナータ様の家は商人であり、ドナータ様自身も商いに関わられています。なので、こういった新たな商品を見つけては輸入出来るかなどの下調べもされているのです。なので、そういった商いの方向でのお話が出来る方なら助かると付け加えました。


「なるほど。では、私についてきてくださいますか?」

「あら、どこに行かれるのですか?」


 なぜか給仕からワイングラスを二つ受け取ると、別室に移動すると言われて、少し警戒しました。なぜなら、こういった場で何も知らない初心な少女を別室へ連れ込み酔わせて――――ということもありますからね。

 騎士様がクスリと笑い、ボールルームに移動するだけなので安心してほしいと言われました。疑ったことを謝ると、しっかりと警戒心があるのはいいことですとフォローしてくださいました。

 なんというナチュラルなメンタルイケメンなのかしら。




 騎士様とお話しながらボールルームに行くと、王族用のスペースでお母様と三十代くらいの男性……服装からしてコンラッド国王陛下かしらね? 二人がなにやら楽しそうにお話しているのが見えました。騎士様はそこにどんどんと近付いていくので、内心少しだけ焦っていました。


「アシュレイ、遅かったな」

「申し訳ございません。こちらお持ちしました」

「うむ。で、うしろの麗しいご令嬢たちは?」

「はっ――――」

 

 騎士様はアシュレイ様ということがわかりました。そして、まさかの騎士団長。見た感じは二十代半ばなのですが、もしかしたらもう少し上なのかもしれませんね。


 アシュレイ様が、コンラッド国王陛下にワインを渡しつつ私たちのことを説明してくれました。コンラッド国王はそれを聞くと満面の笑みになり、ちょうど王女殿下と話していたところだ、座るといい、と仰いました。

 いつもの癖で、あら本当にちょうどよかったわ、と座ろうとして、ドナータ様にクイッと腕を引かれました。


「身分隠してたんじゃないんですか!?」


 小声で突っ込まれてハッと思い出したものの、時すでに遅し状態で、私たちが座る場所を素早く用意されてしまいました。

 やばいわねーと思っていましたが、ドナータ様もこんなチャンスは二度と訪れないかも、ここで一発契約決めるのもありかもという商人根性をキメ込んで、座ることにしたようでした。


「ごきげんよう」


 お母様の凄みのある笑顔がエグいです。


「王女殿下、ご歓談の場に割り入ってしまい、申し訳ございません」

「いいのよー。ドナータ嬢が動いたということは、やはりいい商品のようね?」


 お母様からの暴投を受け、ドナータ様がちょっと慌てつつ頷きました。ぜひ商会で取り扱いたいと話すと、お母様がコンラッド国王陛下にドナータ様と商会について話されました。


「帝国では女性の活躍も多いと聞いていましたが、ドナータ嬢のように若いご令嬢も活躍できているのですね。本当に素晴らしい。お隣のご令嬢も何かお仕事をなされているのですかな?」


 コンラッド国王陛下、そのキラーパスは止めていただけると助かりますが、もう口からこぼれ落ちましたので、どうしょうもありませんね。周囲で聞き耳を立てている貴族たちに、変装がバレてしまうオチですかー、と軽く諦めていました。


「さあ? 見たことない子よ。ドナータ嬢のお友だちじゃない?」

「……おや? 彼女の髪――――」

「ハワード様、知らない子、ですわ」

「っ……! これは失礼した」


 お母様が妖艶に笑いながら首を傾げ、コンラッド国王陛下のお名前を呼びました。

 コンラッド国王の顔が真っ赤ですが、大丈夫ですか。お母様、まさかのオトしにかかっていましたか? 愛でるだけとか言ってませんでしたっけ?

 いろんな疑惑が脳内でぐるぐるです。




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