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5:話を聞いてみよう




 ドナータ様の言葉に、軽く目眩がしました。


「私が入場していないから?」

「はい」


 ドナータ様いわく、私の入場アナウンスがされると、慌てたようにどこからか近付いてくるのだとか。そして、当たり前のようにドナータ様と私の会話に加わっているだけなのだとか。

 友だちじゃなかったのかと聞くと、苦笑いして男爵家の娘に話しかける者などいないのだと言われてしまいました。


「そんなことって……いえ、今見てきたのよね…………」


 私は伯爵家を名乗ってはいるものの、皇帝の孫娘であり、王女の娘。皇位継承権は返上しているものの、それ相応の地位のある者として、周囲から認識されています。

 だから、人々は表面上はにこやかに相手をするし、何かするたびに注目され陰口も言われる。


「もしかして、私のせいで一人に……」

「あっ、いえ、それだけは違いますから。もとよりわが家は……その爪弾きにあっていますので」


 ドナータ様の家は商いをしています。商いで築き上げた財産で称号を買い取り男爵と名乗っているので、昔ながらの血脈にこだわる貴族たちから爪弾きにあっているのだと言われました。なので私が参加していない夜会ではこれが通常なのだとも。


「爵位の買い上げは、皇帝の許可のもと行われているのよ?」

「それでも、人は異物を排除したいのです」


 皇帝の意に反するつもりはなく、ただそういう態度を取ることで、自分たちは高潔な家のものなのだと主張しているだけなのだそう。


「気持ちが、一ミリも分からないわ……」

「うふふっ。はい、私もです」


 ドナータ様が淋しそうにしていたのでちょっと不安になっていたのですが、ただ単に参加するはずの私が入場しないので、心配していたのだとか。

 あまりにも嬉しくなって、ドナータ様に抱きついてしまいました。


「ローザ様っ、注目されますからっ!」


 小声で怒られてしまい、ごめんなさいと謝るとクスクスと笑われてしまいました。


「それよりもなぜそのような格好を? どうやって黒い髪に?」

「それがね――――」

 

 コンラッド王国からの献上品で、一度染めると長期間そのままだという染め粉の説明をしました。ドナータ様が詳しく聞きたいと仰られたので、それではコンラッド王国の方が参加されているはずなので、挨拶してお話を聞いてみましょうよ、ということになりました。


 ドナータ様と腕を組み歩いていると、帝国のものとは違う騎士服を来た透明度の高い男性がいました。


 ――――彼に聞けば早いわね。


「ごきげんよう」


 シルクかと見紛うほどに美しい金髪の騎士様に挨拶をすると、海のように澄んだ瞳を細めてボウ・アンド・スクレープで挨拶を返してくださいました。


「ごきげんよう、お嬢様方」


 こちらの身分など分からないだろうし、明らかに年下である私たちに、当たり前のように丁寧な挨拶を返してくださる騎士様に少し驚いていましたら、何か問題がありましたか? お困りごとでしょうか? と首を傾げ優しく問いかけてくださいました。


 ――――なんっという、メンタルイケメン!


 完全に一目惚れでした。

 見た目もなのですが、そんなことはどうでもいいと思えるほどの、人の良さなのです。しかも、この人の良さはこれだけでは終わりませんでした。




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