初めての✕✕
この数日、早く帰りたい理由が出来たので効率というものを学び、順調に労働時間が短縮されている。
珍しく21時前に家路につき、玄関を開けると、リョウの笑顔が待っていた。
「花奏。おいで。一緒にお風呂に入ろう。」
え…ちょっと無理…リョウくんのその完璧な美しいお顔に美しいスタイルと一緒に明るい中、裸でイチャイチャなんぞ出来ません。
「いえ…リョウくんが先に入ってください。」
「二人で入った方が時短でしょ。ほら、おいで。」
強引に腕を引っ張られ、服を脱がされる。
下着姿で恥ずかしがる私を見て、リョウは優しい顔から雄の顔に変わった。
浴槽になみなみと張ってある薄いピンク色の入浴剤が入れられたお湯からは、ほんのりといい香りがしていた。
私は恥ずかしいので、軽くシャワーで流した後、リョウよりも先に急いで湯船に入った。
リョウは、何も隠さずにゆっくりと私の向かいに入って腰を下ろす。
ちょ…直視出来ない…
「いいお湯だねー。いい匂い。っていうかさ、こんな向かい合って入るんじゃなくて、こうでしょ。」
リョウに引っ張られ反転させられて、私はいつの間にかリョウの胸に寄りかかるように密着していた。
後からハグをされて。
「花奏、可愛いよ。」
耳元で囁くように、そんな事を言われたら…
そのまま、リョウとの初めての行為が始まった。
感じたことのなかった快感にすっかり湯あたりしてしまった。
リョウは、
「ごめん。抑えがきかなくて…」
と言いながら、ぐったりと湯あたりしている私を抱きかかえてベッドへと連れて来た。
「髪乾かさなきゃね。」
ドライヤーをかけて髪を乾かしてくれている。
「ありがとう。」
髪を乾かしてもらいながら、何の気なしにテレビをつけると、ちょうどニュース番組が始まったところだった。
「今日、最初のニュースです。
超人気アイドルグループ『ヘブン・エンジェルズ』のリョウくんこと、深海亮さん27歳が行方不明になっています。
所属事務所によりますと、深海さんは3日前の午後8時頃から行方がわからなくなっており、事務所スタッフが連絡をしておりますが、現在もまだ消息がわかっておりません。警察は事件、事故の両面から捜査を開始しました…」
私は青ざめて、急いでテレビを消した。
私がリョウくんを轢き殺しちゃったから、世間が大騒ぎになってる。どうしよう。
私の髪を乾かしていたリョウがドライヤーを止めて、
「事務所が俺の事探してるのか…」
と呟いた。
次は明日の22時更新予定です。