僕と君との出会い
「春希!夏休みなんだからって、いつまでもダラダラ寝てないで!早く起きて勉強でもしてなさい!受験生でしょう!!」
母の声と共に僕は起きた。「せめて、今日は母が仕事で出ていればよかったのに」とふと思ったが、今日から母はお盆休みなので会社は休みだ。これ以上拒んで寝続けても、母に怒鳴られてばかりになるので僕は立ち上がって起きる。その後はダラダラと歯を磨き、顔を洗って、ダラダラと朝食を食べる。その後は一日中勉強。これがもう七日間。本当につまらいない夏休みだ。本当に退屈だ。今頃皆んなは何しているのだろうか。友達と遊ぶ?家族旅行?そんなことを考えると、とても羨ましくなっていた。
このままやっていても、意味はあるのか?このまま幸せなことなど、何もないまま学生時代を終わらせていいのか?そう思った瞬間、僕は頭に血が上っていた。気がつく頃には母は泣いていた。どうしたのだろうか。僕は悪い事を言ったのだろうか。そう思った時、
「何言ってんの春希!!私は…私は!!ただ、春希のことを思っていつも言ってあげてるのよ。なんでそんなことを言えるの?なんで?今は春希の顔を見たくない。…今すぐ出ていって!!春希!!」
追い出された瞬間僕は何が起こったか、やっと理解をした。簡単に言うと、僕は母に向かって今までの不満を全部ぶつけたみたいだ。今すぐにでも謝りに行こうと思ったが、取り返しがつかない事になってしまった。そんなことを思いながら家の周辺をグルグルと周っていると、突然の雨が降ってきた。僕は瞬発的に目を閉じた。雨が弱まった頃、ゆっくりと目を開けると、目の前に一人の女の子が居た。
「大丈夫?風邪引くよ?」
そう言いながら、傘を差し出した。一瞬にして彼女もびしょ濡れになった。「こんなの、おあいこじゃないか」でも彼女の些細な優しさに、涙が溢れ出てきた。
「ええ!ちょっとー!」
彼女はとても慌てていた。その姿を見た僕は笑った。二週間ぶりだろうか。こんなに笑ったのは久しぶりだ。そしたら、彼女も鈴が鳴るように笑った。なんて綺麗な笑みなのだろうか。
笑いの嵐が収まって、その後屋根付きのベンチに座った。
「君家出したみたいだけど、どうかしたの?こんな私だけど話聞こうか?」
そう言われたので、僕は次々と話していった。学校が嫌で嫌で仕方がなかったこと、夏休みなのに休みもなく、勉強を毎日朝から晩までさせられていること、だからこの生活にずっと不満があったこと。今まで心の奥底にしまっておいたことを、全部全部。すると彼女は、
「辛かったんだね。大丈夫、大丈夫」
と言った。少し間をあけてから彼女は言った。
「いいこと思いついた!君に幸せを教えてあげるよ」