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黒竜の再会と真相





 いつの間にか私は深い霧を掻き分けて歩き進んでいた。

 迷い込んだのだろうか?

 刹那、足元を滑らせたと同時にそれが黒い大穴だと気付いた時にはもう遅い。

 私はその身、丸ごと暗い闇の中に勢いよく落下した。


 ──っ!!


 落下地点から激しく尻餅をつき、強打した痛みに声も出ない。

 歯を食いしばる事で視界を閉ざしていた瞼を開いた瞬間、目の前に現れたのは――!



「わわっ!!」


 薄い闇の中に広がる黒い竜の姿。それは大きな顔を私に近付け、地響きする低い声を発した。


「主。やっと帰ってきたのか。明日は新月。ちょうど、ひと暴れしようかと思っていた。構わんか?」

「や、あの、それよりここは……海の底、ですか?」


 慣れは早い。徐々に視界がハッキリしてきたおかげで辺りを冷静に見られるようになってきた。 冷たい海水の中にいるのが匂いで分かる。だが不思議と呼吸も出来る。静寂に包まれた群青色に染まる空間で存在するものは海水に揺れる砂と目の前の竜だけ。


「やはり主はまだ寝ぼけているな。ああそうだ。深海の中の異空間。俺だけの空間だ。寝ていたら突然、主が目の前に現れた」


 私が?

 じゃあ先程まで歩いてたのは、夢?


 首を傾げてばかりの私に、彼は黒い目で笑った。


「どうやら俺らを忘れちまったか。人間になぞ成り下がるからだ。お陰で魔道士ごときにやられ、今は応竜(おうりゅう)としての気概も失ったか」


 



 ──応竜?



 ……もう、疲れた。


 疑問ばかりが目の前に並べ立てられ、時折自分を見失い、どうやってここまで来たのかさえ分からない。


 確か、私はレンの部屋に居た。

 だがその後、自分の中で何かが動き出した。

 今の自分は本来の自分ではない事。そして、黄帝と呼ばれていた誰とも分からない女性を、探す事。


 そこまでは何とか現実味を帯びて実感できた。


 そしてこの竜は知っている──本来の私を。

 あの赤竜も。


 こうしてまた、疑問は膨らんでいくばかりだ。私は立ち上がり、威圧感を感じながらも黒い竜に視線を向けて訊いた。



「応竜とは何ですか? 私は一体、何なのですか」


 彼は驚きを隠さず、豪快に笑いながら言った。


「そこからか!? 千年ぶりに交わす言葉が、そこから始まるとは予想もしなかったぜ。まあいい。話してやるよ」


 黒い竜は過去を振り返る懐かしさなのか、穏やかな優しい視線を陽の光が届かない群青色の海空へ見上げた。


「応竜は我々竜族のまとめ役であり、瑞獣(ずいじゅう)、つまり四大聖獣四神の一員でもあった。あのまま行けば、黄竜になり、四神と竜族の王になるはずだった。……分かるか?」


 人ごとのように感じるが、私は大人しく頷く。 彼は優しい声音で、再び言葉を続けた。

 

 

 

「だがな、人間達の世界に直接干渉していた主、つまり応竜は、当時国を治めていた人間の女を愛してしまった。やがてその国が隣国に脅かされ、魔道士達が力で国を奪おうとした。そして我々は応竜の名の元で会議をした」


 あっ! その場面を私は知っている……というか赤竜の背で、突然過ぎった記憶の断片だ。


 黒い竜は緊張感なく大きな欠伸をし、その涙目のまま私に問い掛けてきた。


「もう思い出せたか? まだ続けるのかぁ?」

「会議の場面はね。でもまだ分からない事だらけなので、教えて下さい!」


 久しぶりの会話に疲れたのだろうか。黒い竜は大きな溜め息を零し、姿勢を崩し出した。短い両手を動かし、短い足で胡座をかく。

 仕方ないとばかりに続けるその仕草は、やさぐれた男風で酒か煙草でもあればと思わずにいられない。


 まあ、姿はもちろん竜のままなのだが。


「俺らはせっかくのまとめ役の主を失いたくなかったが、主はあの女性に既に忠誠を誓ったと言ったもんだから俺らも困惑したんだぜ?」


 何だか先程より話し方まで雑になったような……。それとも、彼はもともとこんな感じなのかもしれないが。


「だけどよぅ。主はその愛を貫き通した。俺らにとっては大損害だが、誇らしかったぜ。ただ……彼女、黄帝を守ろうとして無茶しちまって、魔道士にやられたのは情けなかったがな。まあ、今の主を見ると特にな」


 そう言うと彼は大きな溜め息をこれ見よがしに吐く。

 


「す、すみません」


 取り敢えず申し訳なくて何となく謝ったが、そこでふと疑問が浮かんだ。


「あのぅ私は、もともとは応竜なのに一人の女性、というか黄帝の為に何故人間になったんですかね? 竜のままの方が国を守れたのでは?」


「まっったく人ごとなんだな! 俺らもそう言ったさ。だが主は『人間として彼女と短い人生を精一杯生きたい』、なぁんて格好つけてよ! 頑固極まりなく言って去って行ったんだよ! ところが皮肉な事に魔道士にやられた途端、人間という呪縛から解かれて……この有様だ馬鹿野郎」


 一気にまくし立てた彼の怒りは、憂いに表情を歪める。


 あいにくまだ実感こそ無いが、私はこんなに仲間から大切に思われていたのか。

 改めて自らの不概無さに、腹の底で何かが疼いてくる。



 ――今の自分とは正反対の自分。皆はこの永い時間と共に、私を覚えてくれていたというのに。

 悔しいような情けないような。私は、ただただ屍のように生きて。

 生き続けてきて今まで何をしていたのかっ……っくっ!



 俯く私は拳を握り、歯軋りする。

 この感情は何だろうか。まるで腹の内からじりじりと煮えたぎるような……何かが焼けていくような、無性に、無性にっ! 腹が立つっ──!!



『っくっそっ! なんで思い出せなねんだよっ! 早く思い出してぇのにようっ!!』




 ──え?



「おおっ! 前の主と同じ口調だぁ! もしかして戻ったのか?」



 えっ、ええっ!?

 今のは……わ、私がっ!?


 

 



 我に返り、自分の口から出たとは思えない口調に私は戸惑うも、喜々とする表情で覗き込む黒い竜に視線を移した。


 ──あっ!


「すみません! と、取り敢えずまだ戻ってないです。ただ……確かに今の口調は、レンの口を借りて言った本来の私と同じですが」


「……んっとに、面倒臭ぇ男になったんだな」


 黒い竜がぽつりと呟いたのを訊き、私はまた頭を下げた。



 ……すみません。




「主よ。そんな事より、まだ黄帝の魂には再会してないみたいだな。なら、先に言っておくが」


 と、彼は群青色の海の上を仰ぎながら溜め息まじりに呟いた。


「俺は明日、暴れ狂ってしまうだろう。赤竜の時みたいにな」


「え!? そ、それは困りますよ! この街に来てから災害は私を苦しめるんですよぉ。また変になってしまうし、人間達も流石に立て続けの自然災害はキツイでしょう?」


 あの苦痛は、今までに味わった事が無い。それと同時に、安穏とただ生きてきた私自身が初めて人間達に同情した。


 人間は好きだ。

 好きだが同情や憐れみなどは無い。むしろ、私なんかよりずっと強い。

 だけど……予期しない自然災害には、やはり無力なのだと理解出来た。


 私が見てきたのは、いつも戦いばかりだったから……そう思うのだろうか。


 そう懇願する私を、彼は鼻で笑った。


「フン、そこだけは変わってないんだな。だがよぅ、皆の力を抑制させる主が妖魔になり果てた今、そしてこの街にいる以上、見えない呪縛が放たれてしまう。明日は新月だ。黒竜として……本能に抗う力も、無ぇんだよ」


 強気に振る舞うような口調とは裏腹に、語尾がどこか寂しそうだった。

 

 

「え、あ……力を、私があなた達の力を抑えていたって言うんですか? 黒竜っていうのは、暴れ狂う者という意味合いもあるんですか?」


 すると黒竜は、深く重い溜め息を吐いた。

 嗚呼、私はあとどれだけ多くの溜め息を見ればよいのか……。


「そこもか……もうまるで初心者みたいだな。仕方無ぇなあ、ああ教えてやるよ。つまり俺らは表裏一体だ。主は、俺らを纏める統治者。だが人間になった時、均衡を保つ為にその力を紅い石に変えたんだよ」

「紅い石──!? それはもしかして、私の腰ベルトに嵌め込まれた……」


 その装飾に手を触れる。つるりとした滑らかな五センチ程度の紅い石。

 レンに渡した物と同じ石だ。

 黒竜はその仕草を見て、鼻であしらうように嘲笑した。

 重く冷たい黒い瞳で。



「そんなもん、俺らにとっちゃ今は何の役にも立たねぇ。主が本来の自分に目覚めねぇとな……。俺は、黒竜は闇と海を支配する。災いに転じれば邪悪の化身。善なる姿は海を支配し、守護する者だ。赤竜は炎や火山。火を守護する。ほら、人間も使うだろう?」


 最後に少しおどけて言ったのは、明日の自分を消し去りたいから――のように私には見えた。


「そうですか……やはり皆、存在理由があるんですね。この石は、私自身との唯一の繋がりなのかもしれません」



 彼らの存在理由──それは『大切なものを守る事』。かもしれない。


 


 私は?

 今の私に存在理由など、あるのだろうか?


 ──愚問だな。


 『今』や『今まで』ではなく、『これから』を考えなければ。



「ん? 主、何ニヤついてんだ? 怪しい顔してるぜ? 捻くれてんのか?」

「や、っとと、とんでもない! 違いますよ! ま、まあ多少は捻くれてもおかしくない状況ですが。でも……結局、これから私がしなきゃならないのは、やっぱり黄帝という女性を見つける事なんですよね?」


 それには意外にも黒竜は気まずそうに口元を歪め、尖った爪でポリポリとこめかみを掻いた。


「やあしかしなぁその前に、魔道士達が主を探してるぜ。半端者の鳳凰のおかげで、困惑してるみたいだがな」

「あ、レンの事ですね? 何故、海の底にいてそこまで分かるんですか?」


「…………またか」

「? ……はい」

「俺らは互いを感知できるんだよ。人間が、背後に何か気配を感じるのと同じだ。いやそれ以上か……ああ、頭痛くなっちまう! 全く情けねぇっ! 後生だからとにかく街を出るか、さっさと黄帝見つけろっ!」

「あぁ……ホントにすみません」


 レンの言うように、私の能力に『質問ぜめ』を加えていいかも……ですね。



「おい、主。なんか……石、少し光ってるぞ」




「──え?」

 

 

 





 また、空間が歪む。



 何故、いつもこんなに歪むんだろう?


 そういえば、ミラーの誘導の時は臓腑が出る勢いで気持ち悪かったけど、今回はふわふわして気持ち良いぐらいだ。夢心地とはこんな感じなんだろうなぁ。


 やがて意識が遠のく中、再び濃い霧が視界いっぱいに広がる。

 突如襲う見えない不安から、私は精一杯腕を伸ばした。


 そして、何かを掴んだ。


「いたたたたたっ!! 離せっ! 私の美貌を妬む輩めっ!! 美しい髪が抜けるではないかっ!!」


 ――……あぁ、ミラーさんか。



「あれ? 私は、どうしてまたここに?」


 開けた視界に映ったベッドの傍らに、心配げな表情で私を見詰めるレンの姿。

 そして枕元では、離した指の先にやはりミラーが痛みに耐え兼ねてるのか、しゃがみ込みながら頭を抱えて唸っている。



「――あれは、夢?」



 立ち上がって部屋を出たと思っていた。

 たがその前と変わらず、レン達の部屋のベッドで私は横たわっている。


「いやいや、君っ! 私をスルーしなーいっ! 一言謝らなければ今度はカエルを出すぞっ」


 ……出すだけですか。


 ミラーが人差し指を私に突き付けて、目元を引き攣らせながら言った事に、私も目元を引き攣らせる。



 でも取り敢えず、謝りました。余程痛かったのでしょう。

 

 






 やがて、怪訝な表情を浮かべてレンが口を開いた。


「シン、今……黒竜と会ってたんだね。明日、やっぱ暴れるって言ってた?」

「知ってるんでしょう? もう隠し事は止めませんか? ──鳳凰、さん」


 一瞬にして青ざめた。

 気の強い女性だと思っていたけど、やはり泣きボクロの似合う女性であったのだ。


 深緑の瞳を潤ませ、私の顔を怯えるように見詰める。


 ──そう、私は半ばカマをかけた。


 黒竜が言っていた、『四大聖獣四神』の中に鳳凰は存在する。

 ならば、私の事をもっと知っているはずだ。黒竜でさえ、妖魔になる前からの私を知っていた。


 冷静に考えれば、想像はついたのに。あの、鳳凰に変化した時に。


 一番の被害者は、ミラーかもしれない。

 彼は、私の為に利用されている。



 彼女はミラーを見て、最大限の笑顔で言った。


「ごめぇんミラー。悪いけどちょっと席外してくれなぁい?」


 彼女のわざとらしい愛嬌に、彼は金の髪を掻きあげ澄まして応える。


「しょうがないなぁ。姫が困った時は私が疾風の如く駆け付けるから、用がある時はいつでも呼びなさい」


 あ、それと……と、彼はこっそりレンに何かを渡した。


「ではシンとやら。私はまた、役目を果たさんとして戻らねばならない。よいか、いかなる時も姫にとって私は一番の男だ。君も男なら、早く愛人を見つけたまえ。では失敬する」


 ……愛人、ですかぁ。私はあなたに同情します。あなたの愛は、いろんな意味で純粋なんですね。

 



 部屋に残された私達は、空気の重さを痛感した。


 私はハート型のベッドから立ち上がり、窓に背を向けて彼女を振り返る。彼女は両腕を組みながら自嘲の笑みを浮かべ、ベッドに腰掛ける。


「アタシが、何か隠してるって言ったよね?」

「……はい。さっき見た夢は、おそらく夢じゃない。私の意識が黒竜の所まで飛んだ。それをレンは感知していた。そして黒竜は……おそらく赤竜も、<千年の刑>を受ける前の私、いやさらにその前の私自身を知っていました。レンは鳳凰、つまり『四大聖獣四神』の中のひとつ。ならば……」



「だあーっ! 分かったわよ! そこまで分かってるんなら話すわよ! でも……アンタ、知識ばっかで実際には目覚めてないじゃないっ」


 自分でもそれは分かってる。糸と糸を繋ぎ合わせて否定的概念を捨てれば、自ずと真実は知識として理解できる。

 それを並べたとて、果たして何か起きるかと言えば、おそらく嘲笑に値する。が、


「でも、情報は動きを早めますよ? それとも、もっと回り道して欲しいですか?」


 んん、ちょっと気分がいい。



 レンには申し訳ないですが、盲目に歩くよりも足元が明るくなるものだと、正直思ったからだ。


「ア……アンタが……黄帝の女に、恋して、人間になった時……アタシは、その、何ていうか……」


 彼女の顔が火のように赤く、幾度も言葉を詰まらせる。

 彼女の意外な反応と不釣り合いな姿に、私は首を傾げて忍耐強く言葉を待った。

 相手の動揺は、いきなりカマをかけながら成立していく理論が正しいのだと確信した。偉そうな物言いをした私にしては、どうやら的中率がよかったようで。

 


 彼女は紅潮した頬を両手で覆い隠しながら、視線を逸らして言った。


「ア、アタシまだ未熟者だから、人間になる力は無かった! だけど信と一緒にいたくて……。き、気が付いたら、白い鳥になって……その、タイミング的に正体バレたらって思ったらその、は、恥ずかしかったから!」


 ──え?


「じ、じゃあ出会った時には既にレンは私の事を知っていたんですか!?」


 彼女はこくりと頷いた。私はショックより、呆れ返るしかなかった。導いた答えがいささか不純であった事。

 それがせっかく冴えた私自身の気持ちを萎えさせる。


「結局、いらないプライドが邪魔して、嘘を突き通したというわけですね?」


 必然的に沈んでしまう声でそう呟くと、彼女は慌てた様子で翻して言った。


「いらないプライドなんかじゃないわよ! ア、アタシ、信が好きだったからっ!!」



 で? ……だから?



「だから嘘までついて?」


 何を耳にしても私の心はどんどん彼女の赤い頬と反比例するように冷たくなっていく。

 呟いた私の冷めた言葉に、彼女は深緑の瞳を潤ませ俯いた。


「……悔しかったのよ。人間なんかにばかり、気持ちを奪われて揚句に恋するなんて」


 それは──嫉妬。

 人間にもある想いだ。

 我々も、人と同じ生き物であるのだと感じる。それは、共に繋がる何かを彷彿とさせる。そう考えると、自然に目尻が綻んだ。

 冷たく固まりかけた私の心が溶けていく。


「そうですか。でも、もう嘘はダメですよ? ミラーさんだって、可哀相です」


 すると彼女はスッと顔をあげ、先程までのうろたえ様が嘘のようにふわりと微笑んだ。


「彼の事は別よ。アタシ、ホントに好きになっちゃったから」

 




 ………へ?


「なんか憎めないって言うかぁー、可愛いって言うかぁー、ふふっ」

「そ、そうですか。それなら……よ、よかったです」


 あまりに予想外な返事に驚きつつ、その気持ちも分からないでは無い。

 しかしよくコロコロと表情が変わる人だな。


「実を言えばね、彼がいたからアタシは約束を守り続けられたんだと思う。でなきゃ、アタシは黄帝の墓なんかに案内しなかったわ。最初は利用してやろうと思ったのに、あの人ったらふふっ。ホントにいつもピュアで馬鹿なんだもーん!」


 バシッ、と腕を叩かれた私は、どう反応したらいいか分からない。

 これはつまり痛いノロケ、ですね。乾いた笑い声しか、出てきません……。

 とにかく、両想いでよかった! とミラーの弾けて喜ぶ姿が目に浮かぶ。



 彼女は居直り、今度は真っ直ぐ私を見た。


「ねぇ、それよりさっきの話だけど。やっぱり黒竜は明日……」

「はい。おそらく明日の夜でしょう。新月だから、と言ってたので」


 そう言って、窓の外を見た。空はもう朱く焼け、夕日の沈む影が海面に映る。遠くに見える街では、人間の賑わう明かりが灯り出していた。


「結局、どう探せばいいのか……」

「もう一度、お墓に行こう。それから、そのお墓の更に地下へ!」


 彼女の言葉に私は振り向き、一瞬意味合いが分からず首を傾げる。

 彼女は手に持っていたものを前に突き出して言った。


「そのかわり、その地下に行くにはこの鍵が無いと行けないのよ」

 


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