1-2(4)白神の脳筋特訓計画②
あくる日、装備を整えてパトロールに出向こうとすると、支部の門にはセーラー服姿の白神が刀と耳に通信機を付けて突っ立っていた。俺を見つけると手を振って走り寄ってきた。
「緊急整備?」
「はい……私が使っている三つの強化外装すべてに異常があったようで………この前の戦いでの損傷も完璧には直っていなかったらしくて、今日だけ普通の恰好でパトロールになります」
ん? これは割とチャンスなのでは? 相手はただの女子高生。身体強化用の装備もほぼなし。………やれということなのか?
「それはわかるけど………職員用の制服に着替えないのか?」
ひとまず刀のことは置いておいて少女の服装に突っ込む。すると白神は気まずそうに頬を掻く。
「そのぉ………武装してなければどんな服を着ていても大して変わらないので」
何故か白神は気恥ずかしそうにしていた。なおさらセーラー服はまずいのではないのか。とも思ったが何も言い返さなかった。
「まぁいいや………刀貸してくれ」
「は、はい!」
おもむろに最終目標を少女に要求する。今の俺は疑われることはない。なぜなら………
「ふぅ………注入注入」
命の危険にのみ反応していたが、ここ最近白神の鍛錬でその生命の危機に追い詰められていたのである程度土地神の力を利用できるようになった。妖魔に戻らないように擬態で致命傷を受けないように立ち回るのは擬態人生で一番苦労したかもしれない。
と、なつかしき稽古の日々を思い出しながら鞘から刀を引き抜き両手で刀を握る。両目を閉じて、足の裏から碧海市から生命を吸い上げイメージを思い浮かべ、両腕へ伝達させる。そして、それが刀へ到達する。銀色の刀身が半分だけ桜色に染まった。
「ほら、とりあえず今日はこんなもんだ」
抜身と鞘をそれぞれ白神に返す。とりあえず分かったのは土地に少しでも貢献することを行えば土地神の力が溜まる。手っ取り早いのがゴミ拾いだったようだ。あとは刀にその力を入れるだけなのだが、俺の身体を仲介して充填するコツを掴むまでに手間取った。
「さすが土地神様、ありがとうございます!」
半分だけ桜色に染まった刀を見つめて白神ははしゃいでいた。手に握るものが物騒な得物でなければ年相応の少女に見えるのだが。
「行きましょう、漆葉さん!」
「あーはいはい! とりあえず刀をしまえ!」
抜刀したまま張り切る白神に引っ張られる。
段々この女に引っ張りまわされることにも慣れ始めていた。




