二重螺旋のまさゆめ
レビュー執筆日:2018/10/16
●ラストアルバムとしては物足りない所もあるが、充分に楽しめる一枚。
【収録曲】
1.たかが100年の
2.over and over
3.えにし Feat. GOMESS
4.遊びつかれて
5.未来少女
6.日曜讃歌
7.ミックス茶
8.陽炎 -interlude-
9.+1
10.愛へ
11.タイムマシン
12.last dance
このアルバムの発売からしばらくして、Aqua Timezは解散を発表しました。発表した時点で自分はまだ今作を聴いていなかったため、「今までの集大成的なアルバムかもしれない」と勝手に思っていたのですが、実際に聴いたところあまりそういう印象は受けませんでした。
というのも、今作は全体的にアップテンポで短い曲が多く、収録時間も約40分と彼らのフルアルバムとしては短く、半分ミニアルバムのような印象を受けたからです。(Aqua Timezのオリジナルアルバムはスローな曲で締めるのが恒例となっていますが、今作では最後の曲でさえもアップテンポです。)もちろん、アップテンポと言えども、三拍子のパンクナンバーの『たかが100年の』、ラッパーのGOMESSをゲストに迎えた『えにし』、ディスコ調の『+1』にラテン的なリズムに乗せたサビのフレーズが耳に残る『愛へ』と前作に負けず劣らずバリエーションが豊かですし、それでいてこれまでの彼らのイメージから逸脱するような雰囲気でもないのですが、全体的に見ると、シングル曲が収録されていないこともあって今までとは趣向が異なっているように感じられ、ラストアルバムというよりもキャリアの途中で出す作品のように思えました。
もちろん、アルバムを締めくくる『last dance』に「今日が最後の日だってさ」というフレーズがあったり、過去の楽曲を彷彿とさせる歌詞があったりと解散を想起させる要素が全く無いわけではありませんが、ラストということを考えると、少し物足りない感じがします。もちろん、アルバム単体で考えると、特定のジャンルにとらわれない多彩な楽曲群、それらを一つの色に染め上げる太志の特徴的なボーカルといったAqua Timezの魅力はしっかりと詰め込まれており、個人的には『because you are you』や『アスナロウ』ほどの傑作とは言えないまでも、充分に楽しめる内容になっていると思います。解散は非常に残念ですが、これからは個々のメンバー(特に主に作詞・作曲を手掛けるボーカルの太志)の活動に注目していきたいと思います。
評価:★★★★★