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弟から見た兄 前編 異世界転生したんですが兄上がチートです

 気がついたら異世界転生していた。


 物心がついたかころ、三歳か四歳くらいだろう。僕は前世が日本人だった事を思い出した。

 

 アラフォー日本人異世界に転生する。そんな文言が頭に浮かんだ。それなりにゲームもラノベもアニメも嗜んでいたので、現代知識で無双! とか、内政チート! とか異世界ハーレム! とかが頭に浮かばなかったと言ったら嘘になる。


 実家は貴族様で、それなりにいい暮らしをさせてもらっていたのと、現在戦争などがない平和な期間という事を知って、人生なんとかなりそうだという余裕もあった。


 五歳の頃、母上が再婚した。伯爵家の第二夫人らしい。連れ子の僕も伯爵家に入ることになり義理の兄と妹ができた。


 男爵家から入った第二夫人の連れ子という立場に、いじめイベント発生フラグかと思ったら義理の兄妹は二人ともとてもいい子だった。


 レスティという二歳上の義理の兄は、銀髪サラサラの爽やかイケメンで、丁寧に伯爵家を案内してくれた。


 おそらくホスト役を勤めてくれたのだろう、自分と妹のエピソード、伯爵家の歴史、父上の仕事、自分の勉強してる内容、息抜きの時に行くお気に入りの場所などこちらが緊張する暇もないくらい話しかけてくれた。


 正直『お前とは身分が違うんだよ』とか『財産目当てか』とか嫌味の一つも言われるかと思っていたので拍子抜けだった。


 二歳下のアルミアという妹は、兄のあとをテトテトとついて歩いておりとても可愛かった。ビバ銀髪ロリ義妹!


 二人とも低年齢でもはっきりわかるほど小さい頭に整った顔立ちで、性格もいい。更に兄の勉強の内容を聞いてみると七歳とは思えないほど勉強をしていた。


 いや、だって七歳で領地のどこで何が取れるとかどこどこは開拓の余地があるとかどこどこは人手が余るので職を斡旋したほうがいいとか把握してるんだよ。男爵家で出会った親族の大人よりよほどしっかりしている。


 これは天才だ。僕の内政チートプランは早くも破綻した。この兄に勝つのは無理だろう。


 兄上は凄かった。初日の会話でもわかってはいたが、そこらの文官顔負けで領地の状態を把握している。


 伯爵家の後取り教育が厳しいのかと思ったのだがそういうわけでもなく、本人が楽しいからやっているらしい。


 他国の歴史や風土、自国の歴史や特産品にも通じていた。やる気があって、努力を努力と思わず楽しく学べて、才能もある。領が豊になる事を考えていて私腹を肥やすとか、虚栄心を満たしたいようなそぶりもない。

これは理想の後継者だ。

 

 その上兄上には魔法の才能もあった。七歳で二節の魔法を使いこなし、三節にも手が届きそうらしい。イケメンで才能あって性格も良くて努力家で、欠点が見当たらない。

 

 あんまりにも完璧人間なので笑ってしまった。僕の精神年齢が高いこともあるかもしれないが、凄すぎて嫉妬する気にもならなかった。

 

 どちらかと言うと親戚の子供を自慢する叔父さんのような目線で、「どうだ? 僕の兄上は凄いだろう!」と胸を張る気分だ。 


 あんまりチートすぎるので、こいつこそ転生者で僕が巻き込まれた可能性を考えて、「令和の時代に異世界転生て!」とか「ハ⚪︎ター⚪︎ンターの最終回、知りたくないか?」

とかカマをかけてみたが全く反応がなかった。


 しまいに「知っているんだろう? 僕たち兄弟が転生者だって」と直接聞いてみたがキョトンとした顔をされただけだった。そして僕は、家中で変わり者の弟扱いされるようになった。


 僕の方はといえば魔法の才能はないらしい。

 魔力を放出する回路のようなものがないらしく、魔法は使えないと言うことだった。異世界転生で思い浮かべた無双! チート! ハーレム! には縁がなさそうなのは残念だったが、平和なこの国の状態と、この兄上が治める国なら悪いことにはならなさそうだ。


 適度に真面目に働けば兄上が適材適所に振り分けてくれそうな安心感がある。


 あとは、ファンタジー美女と恋愛できればいいなあ、そういえば、学園恋愛ものの可能性もあるなと思って聞いてみたが学園のようなものは特になく、各家庭で教師を招いての学習が基本らしい。


 重ね重ね残念。


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