旅立ち編.6
-港北領 シウマイ屋-
「カンパーイ!」「チアーズ!」
各々喜びに満ちた表情でグラスを掲げる。
都筑と青葉は17歳なのでオレンジジュースだ。
港北と緑は昼の1時でもお構いなしに、ビールが注がれている。
「良かったな、お前たち!お疲れさん!反省は後に回して取り敢えず祝おう!」
「おめでとー」
「ありがとうございます!ありがとうございます!お2人のお陰です!」
「ほんと港北さんと緑さんにはお世話になったぜ!ありがとうございます!」
「がっはっは。良いんだ良いんだ。こういった事は継がれていくからな。お前たちもそのうちこっち側になるんだぜ?」
「そっかー、こうさんと緑さんも武者修行いったんだもんね!」
「確かに!ねぇ、引率者は誰だったの?」
「俺は中さんと2人で行ってきたぜ!課題を2回も落としたのはここだけの話だ!がっはっは」
「わたしは先代の西さんなんだー」
「まあよ、俺達のことは良い、今日はお前達の日だ。お前達の話をするぞ!どうだったよ旦那は?」
「強すぎ!」
「ほんと、桁違いって感じだったな!」
「がっはっは。でもよ、お前達の動きも悪くなかったけどな!」
「褒められた〜!」
「連携とかばっちり決まったのにな!」
「俺もあの船は初めて見たぜ、あれがなければいけたな…、きっと。きっとな…」
楽しい時間はあっという間に過ぎる。祝の宴も始めてから5時間が経った頃、港北はふと疑問に思った事を投げかけた。
「ところで、どこに行きたいとかは決まっているのか?」
都筑と青葉は顔を合わせ確認し合う。
「そういえば決めてなかったね」
「ああ、そういやそうだなー。どうしよっか」
「がっはっは。お前達らしいな。」
「こうさん達はどこに行ったんですか?」
「俺も緑も北だ。てか選択肢が北しかないんだな!東と南は海。西には大陸が拡がっているが、直ぐ側に禁域がある。武者修行では余計な危険は回避したいから、自ずと北になる」
「なるほどー、北かー」
「じゃあさ、北の先っちょ目指す?」
「そうだね、行くならトコトン!だね!」
「がっはっは。決まりだな。よし、では1週間後に旅立つとしよう。各々引き継ぎ、準備等怠ることの無いように」
「「はいっ!」」
いよいよだ。遠い昔から話してきた武者修行の旅。泥だらけになりながら練習や疑似戦闘を繰り返した日々。
2人の瞳は希望に満ち溢れていた。
「青葉ちゃん!」
「都筑!」
2人は胸の前でガシッと手を組んだ。
「そういや、俺が頼んだおつまみシウマイ120個入りって来た?」
「私全部食べちゃったよー」
「またお前かー!」
翌日、都筑は学園に向かった。特別休学申請と委任申請のためだ。
総務課へ向かい書類をもらう。
特別休学申請書に目を通す。
(へー、特別休学は最長3年間なのかー。みじかいのかな?長いのかな?あれこれやってたらあっと言う間に過ぎちゃいそう)
そんな事を考えながら、必要事項を記入する。
(名前、「都筑」、基礎的独立団体位?なんだこれ)
「おばちゃん、あの、この基礎的独立団体位?って何を書けば良いんですか?」
「そこは都筑ちゃんの場合は「煦」って書けば大丈夫よ」
「あー、なるほど!ありがとうございます!」
基本的にこの国は、徒導不剣という47人の領地にわかれ、包括的に管理されている。
徒導不剣の下には志煦長存及び群が居る。志は煦長存を、煦は長存をそれぞれ内包している。
志煦長存及び群は自治の義務と権利を持つ。
尚、煦においては精霊指定志と言って、例外を除き精霊によって指定された志のみに存在する。
都筑をはじめ、今回武者修行の旅に出る4人は全員横浜の煦である。
「出来た!宜しくお願いします!」
(よし、これで休学はオッケーだから、後は委任状だ)
学園を後にした都筑は、その足で山田三兄弟のところへ向かい、サインをもらった。
(よしよし、順調順調!最後は緊急連絡先の宮前さんと高津くんにサインを貰えば完了!)
かくして委任申請書を完成させた都筑は、その日のうちに書類関係を終了させたのであった。
(準備万端!出発までまだ結構あるなー。修行はこれからたくさんするから青葉ちゃんとこ遊びに行こ!)
旅立ち編 -完-
旅立ち編完結しました!
次回からいよいよ旅が始まります!
感想など頂けると幸いです!
宜しくお願い致します。




