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夢の続き  作者: 新田 藻亀
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武者修行-栃木領-編.5

 佐野を加えた一同は、小金井到着までの2日間、佐野を中心に訓練を行った。

 ことの他、都筑、青葉、梅田が乗り気であった。普段教わることはあっても、教えることが少ないからであろう。


「そうそう、その調子です!」


「おっ、いい感じじゃん!」


「そのままビューンや!」


 まだ一線級とはいかないが、基礎魔力変化を中心に、一つ一つ確実に身につけていった。


 時間が空くと、港北と緑は北との実践訓練を行っていた。恐らくこの2名は侵攻戦に参加するからだ。


「行くぞ緑」


 港北は円柱のようなペペの槍を豪快に振り下ろす。


 ひらり…


 しかし北には当たらない。まるで港北が自らそうしているように、ペペの槍は大きく外れた。


高尾暮雪(たかおぼせつ)…」


 猛烈な吹雪が北を襲う。半径10m圏内は、まるでホワイトアウトのように白一色だ。


 ビュー!


 突如突風が起こり、吹雪が緑達に跳ね返された。

 これに反応した港北が、スタジアムで2人を囲い防御した。


「タマちゃん、お願いします!」


 港北がアザラシを召喚し、北に向かわせた。


大林晩鐘(だいりんばんしょう)…」


 ゴーン。


 緑のスキルにより、大きな鐘が現れ、北をアザラシごと閉じ込めた。


「ギャー、降参や!」


 北との訓練により、港北と緑の成長も著しかった。


「2人のコンビネーションは完璧やな」


「北さんのおかげや!」


「そやねー」


 北はオールラウンダーのサポート型であるとはいえ、単独の戦闘でもその実力は折り紙付きだ。それを訓練とはいえ降参に追い込んだのだ。流石は新鋭18星に数えられる事はあった。緑のセンスも抜群だ。


 そして小金井到着当日を迎えた。




 正午過ぎ、小金井は到着した。誰も面識が無かったので、どんな人なのかワクワクだった。特に都筑、青葉、梅田の3人は。


 一見医者のようだ。賢そうな切れ長の目に眼鏡。そして白衣を身にまとっていて、出来る男といった印象を与える。


「皆さんはじめまして。捕獲のプロフェッショナル…、小金井と申します。貴重な体験をさせて頂けるとの事で、馳せ参じましたよ」


「自分で言うとるで…」


 自分でプロフェッショナルと言うその人柄に、一同は一瞬戸惑い、梅田に至ってはボソッと言葉が漏れてしまったが、すぐに自己紹介をした。


 申請が通らないか心配だった足利は合点がいった。足利同様に興味を持ってくれたのだ。


「それと皆さん。私も侵攻戦に参加させて貰えることになりましたよ。とても楽しみですね」


「ありがとうございます。ただ、都筑さんが参加されるかどうかは、まだわからないですが」


 足利は、チラッと港北を見る。


 港北は横浜と話はしたが、ザックリとしか話はしていなかった。港北と緑が参加する事になるかもしれない事。都筑、青葉は参加があるとしても、後詰めだろうという事。不確かな事を言うわけにもいかず、首を少しかしげ濁した。


「ボスの話では、皆さんも参加になる見込みのようですよ。もちろん意思は尊重されるようですが」


 ボスというのは東京だ。徒導不剣(とどうふけん)による協議があり、そう話がついていたようだ。原則、戦闘参加者は徒導不剣(とどうふけん)同士、バランス等を考えて決められる。その際には、下からの意見も取り入れられ吟味される。また、対象に隣接、或いは近い領からは人数も多く出される。


 今回の侵攻戦の場合、長野領に近い禁域となる。逆に東京領は離れているため、参加人数は少ないが、小金井はプラスアルファとして参加が決められた。


 都筑は参加出来るとは思っていなかった。もし自分が居る事で侵食者を寄せ付けてしまうのなら、それはリスクでしかないからだ。ただ、この小金井の言葉を聞き、参加したい、何かの役に立ちたい。と思った。


 一方港北は以外だった。都筑の参加は無いと踏んでいたからだ。武者修行中の防衛戦への参加は過去にも例はある。ただ、今回は侵攻戦だ。しかも侵食者を寄せ付けるかもしれないのだ。

 その決定の根拠を知りたかった。


「私は戦えば弱いかもしれません。しかし、戦う必要が無いのですよ。捕らえたらおしまいです。そもそも侵食者が寄ってきませんからね」


 自信に満ち溢れているその言葉と共に、ある道具を出現させた。


「これは私の魔力で作った、侵食者を寄せ付けない特別な外套(がいとう)です。実験を重ね、100%の決定率を誇ります。特危だろうと同様のはず」


 外套(がいとう)を渡され、それを羽織りながら足利が聞いた。


「それは、通常の侵食者も特危も、原則同じ仕組みで作られているから、という事でしょうか」


「エクセレント、その通りです。抵抗力の差はあるでしょうが、この特別製なら問題無いでしょう。ただ…、この特別製を維持させるためには、私が継続して魔力の調整を行う必要があります。よって、その間は他の事は出来ませんのでご承知おきを」


「なるほど。その仕組みを聞いてもいいですか?」


 足利は、頭にあるつっかえを取り除くために質問をした。


「侵食者は電磁波に弱いです。これは、その電磁波を半径1kmに亘り流し続けます。彼らからしたら、圏内に入ると違和感を感じ、そこから離れたいと思いますよ」


 足利は思った。もし外套(がいとう)を身に着けた上で侵食者が現れた場合、それは"効かなかった"という事だ。その場合は小金井に捕獲行動に入ってもらえば良い。

 外套(がいとう)の効果が"不可視"的な物だった場合は、"意図せず現れる"という可能性もあり、捕獲行動を取るか否か、判断に迷うところだった。


「小金井さん、ありがとうございます」


 頭のつっかえが取れた足利は、都筑達に問うた。


「皆さん、どう思いますか?」


 根拠を聞いた港北は口を開いた。

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