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夢の続き  作者: 新田 藻亀
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武者修行-群馬領-編.20

 その女の子はキリッとした目つきで青葉を見た。随分と派手な格好をした、勝ち気な女の子だ。


「いいぜ!ただし…飯食ったらな!」


 青葉の空腹は限界に達していた。焼きまんじゅう数本しか食べていない。ましてや目の前には餃子が沢山ある。


「ほなこれを食えばええ」


 彼女が大量の餃子を差し出した。


「え、いいのか?」


 ジュル…

 青葉は涎が溢れるのを抑えた。


「このあんちゃんが食いきれんかったやつや」


 彼女は看板を指さして言った。

 "餃子60皿60分チャレンジ!成功したら無料!挑戦者求む!※時間内に食べきれなかった場合、お食事代を頂戴します"


 大男が倒れていたのは、チャレンジ失敗。食べ過ぎが原因と見て間違いない。彼女は大男と勝負をしていたのだ。


「流石に残飯は嫌だぜ?」


 空腹とのせめぎ合いは多少あったが、プライドに軍配が上がる。


「ほなこれを食え。お土産で買った餃子や」


 どうやら彼女は、店で60皿食べて、更に大量の餃子をテイクアウトしていたようだ。


 青葉と皆は、快くご厚意に甘えることにした。ベンチは何処も埋まっているので、仕方なく空いている道端に腰をおろした。

 皆相当お腹が減っていたようだ。50皿分のテイクアウト餃子は、みるみるうちに減っていった。


「美味しい!シウマイと似てるけど全然違うね!」


「美味くてぶっとぶぜ…手軽に食べたいぜ。焼いてあるのと茹でただけのやつもあるのか…」


「ジュルジュル…チッチチッチ…」


 ジュンとチュンも気に入ったようだ。都筑と青葉は、好物のシウマイと比較してしまう。蒸したシウマイのシンプルさ。バリエーション豊富な餃子。どちらも甲乙付け難い。


「酢だけ付けて食ってみい、うまいで!」


「おお、これは新感覚!」


「うんー、美味しー」


 隣領という事で、多少は馴染みのあった伊勢崎も、これは知らなかったようだ。


「お前良いやつだったんだな!絡んだような格好になって、悪かったな!」


「ええんやで!ほな全部で4万円や」


 彼女はそう言って、手のひらを差し出した。一同の箸が止まってしまった。 


「高過ぎだろ!シウマイでもそんなにしないぞ!」


 一触即発。場を緊張が支配した。が、すぐに彼女は微笑み、


「冗談やないか。2万やったで」


「2万もふっかけてたのかお前…」


 彼女は1万5千円でテイクアウトしたため、5千円の利益を獲得した。


「銭はなんぼあってもええもんや、さっきのあんちゃんからも、稼がせてもろたわ!」


 すると、1人の男性がこちらにスタスタ歩み寄り、彼女に声を掛けた。


「こんなところに居たのか。探したで。駄目やないか勝手に離れちゃ」


「ちょい待ち!これからこの姉ちゃん達と、銭掛けて勝負するんや!」


「あかん」


 男性は都筑達に一礼し、彼女を強引に連れ去ってしまった。


「銭掛けて勝負?…でも良かったね!並ばなくてお腹いっぱいになったよ!」


「そうだな、あいつに感謝だな!」


 5千円ふっかけられた事は気付いていない。知らない方が良い事もあるものだ。


 お腹を満たした一同は、まだ時間に余裕があったので、出店のゲーム等をして時間を潰していた。港北からの連絡がいつになるか不明確だったので、遠出が出来なかったのだ。


 夕方5時を回った頃、ようやく港北から連絡が入った。どうやら他の群馬勢と夕飯を食べる事になったようだ。都筑達一行は、指定された"来らっせい"というお店へ向かった。


 到着した一行は、目を輝かせた。なんと、ここでは様々な種類の餃子が食べられるらしい。その数30種以上というから驚きだ。お昼に食べたばかりとは言え、早くも餃子が恋しくなっていた4人にとって、最高の場所だった。


 店内では、港北と、前橋、高崎、桐生が、そして栃木領の足利が大きなテーブル席に座り、既に食事は開始されていて、大量の様々な餃子が置かれていた。


「遅くなりましたー」


「おう、皆よく来てくれたな」


 港北は、一応皆を紹介してくれた。


「君が伊勢崎ちゃんだね、今回は引率してくれてありがとな!」


「いえいえ!」


 港北に伝えるべき事はあったのだが、先ずは目の前の餃子を堪能することにした。


「青葉ちゃん、見てこれ!餃子に羽が生えてるみたい!」


「おい都筑、これやべーぞ!緑色だ!こっちはでけぇ!」 


 その他見た目に余り違いが無い物も、それぞれが特徴有り、どれも美味しかった。

 前橋と高崎は、どちらが多く食べられるか競っている。

 桐生と伊勢崎はファッションの話などをしているようだ。ジャカード織機やらお召織りやら板締絣やら、専門的な話で難しい。緑も興味があるようで、2人に加わっていた。

 港北は足利の話を聞いている。足利は年齢的には都筑達と同年代の男の子なのだが、まるで先生のように話をしていた。そのうち都筑と青葉も、餃子を頬張りながら耳を立てていた。

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