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夢の続き  作者: 新田 藻亀
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武者修行-群馬領-編.19

 部屋の扉を開けると、中と鶴見がリハビリをしている様子が見えた。2人はすぐに都筑達に気付いたようで、リハビリマットに腰を掛けた。


「お久しぶりですー、お見舞に参りましたー」


 緑を先頭に、他の患者の邪魔にならないように2人の下に一列で近付いた。どうやら医師は付いていないようだ。


「緑、皆、わざわざ悪いな」


「これ後でお部屋で食べましょー」


「みんな〜、僕のためにありがとう〜」


 一先ず元気そうな2人を見て、都筑達は安心した。少しの雑談と初対面である伊勢崎を紹介した後、怪我の状態を確認した。包帯は取れているようなのだが、怪我をした部分が濃く黒ずんでいる。


「傷を受けた部分、まだ痛みますか?」


 都筑は黒ずみが気になったが、どう聞いてよいか迷い、当たり障りのない質問をした。


「痛み自体は大分良くなってきた。医師の見立てでは、宇都宮さんの餃子の回復効果ももちろんあるみたいなんだが、《探求の竜》の住処で入れられた、魔力を吸い取る液体に修復効果があった可能性もあるそうだ。この黒いのはその影響だろう」


 鶴見は上着を少し捲り、牙で出来た7つの傷を見せた。やはりそこも黒ずんでいる。すると中も右腕の欠損箇所を見せた。


「半日ほど浸かってたからね、体内に取り込んじゃったのかも。その影響か、僕も鶴見ちゃんも、魔力が全然戻らないんだよ〜」


 何という事だ。こんな事を港北も言っていなかったし、予想すらしていなかった。


「えっ、じ、じゃあ…。…でも、少しずつは良くなってるんですよね?」


 青葉でさえ動揺を隠しきれないでいる。何故そんな明るく振る舞えるのか、と不思議で一杯だ。


「ああ、今も全く使えないという訳ではない。ただ、時間が掛かるかもな」


「ここには来週までお世話になる予定で、例え魔力が戻らなくても、自領にはもどるよ〜」


 伊勢崎が、何かを思い付いたように手を叩いた。


「効果があるかはわからないんですけどね、群馬領には最上級の薬湯師がいますよ!」


 薬湯師。大体どの領にも薬湯師がいる。ここ栃木領も日光がまさにその一人だ。歴代の日光には、鬼怒川薬湯というコア・コンピを持つ者が多い。実のところ既に試していた。だが、今代の日光はコア・コンピが猿であるため、最大限の薬湯は作れなかったのだ。仮に作れていたとして、黒ずみが治っていたかどうかは分からないのだが。


「吾妻さん、ですね」


「なるほどね、伊勢崎ちゃんありがと〜!そしたらさ、長い事自領空けちゃってるから一旦は戻るけど、神奈川領でも治らなかったら連絡してもいいかな〜?」


 半月以上出張が続いている。もとからその予定であれば、領を任されている委任者も問題は無いだろうが、今回の場合はイレギュラーだ。しかも旭一人で中と鶴見の委任者を受けている。これは流石に戻らないといけないだろう。

 あとは、神奈川領にも足柄下(あしがらしも)という最上級の薬湯師がいる。これは当初から決めていた事であった。


「もちろんですとも!」


「良かった…希望が見えてきましたね!」


「ああ、焦ったけど、きっと大丈夫だよな!」


 都筑と青葉は、薬湯は知っていても、最上級云々は知らなかった。


 その後は30分ほど雑談をした。《探求の竜》に囚われた時の情報は、専門家によって研究が進められている。少しずつだが未来には光が指していた。

 その他の話題としては、なんと昨日、東京が千代田と港を連れて見舞いに来たそうだ。この話を聞いた4人の興奮は、絶頂だった。普段ふわふわしている緑も、この時は目を見開き興奮していた。


「長い事お邪魔しちゃいましたー、リハビリ頑張ってくださいー」


 かくして4人は病院を後にした。


「お腹と背中がくっついちゃうー!」

「腹減ったよぅ!」


 緑はどこかで聞いたな会話だなーと思いつつ、まだ賑わいを見せる出店や露店のある一画に辿り着いた。


「まだたくさん人いるね…お腹と背中が…」


「ああ…でも大分少なくなったな…」


 都筑と青葉が空腹に悶ていると、大きな歓声が聞こえた。


 おおお!

 やりやがった!

 すげぇな姉ちゃん!


 よく見るとそこだけ人だかりが出来ていた。なんだ?と思い4人は覗き込むと…、誇らしげに腕を組む小柄な女性と、地べたに倒れている大柄な男性が見えた。


「おいおい、なんだ喧嘩か?」


 青葉が絡んでしまった。


「あ、青葉ちゃん。ほら、あっちにシウマイの仲間売ってるよ、行こ!」


 都筑は青葉を引っ張るが、青葉は動こうとしない。青葉は絡んでいるつもりはない。ただの好奇心なのだ。なぜこのような構図になっているのか、知りたいだけなのだ。


「ひー」


 伊勢崎も驚いている。


「なんやワレ、うちと遊んでくれるんか?」


 青葉の問いは、バッチリ相手に聞こえていたようだ。

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