武者修行-群馬領-編.17
※誤字を修正しました
無事に着いた。時間にも間に合いそうだ。都筑は、移動中役に立つことが出来なかったこと、ただ眠っていただけだった事が申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「ごめんなさい、私いつの間にか寝てました…」
「良いんだよ、私もよく寝てるしな!道中は、サッキーと緑さんがばっちり警戒してくれたおかげで、安全だったぜ!」
サッキー…。どうやら眠っている間に距離をかなり縮めたようだ。富岡のトミーに続いて、伊勢崎ともマブダチだ。
「サッキーちゃん、緑さん、どうもありがとう!」
「襲われた時は焦りましたけどね、あの後は余裕でしたよ!」
「いいのよー」
都筑は、見た夢の事について口に出そうとしたが、栃木領に到着したため、港北と合流した後に話すことにした。
式典は宇都宮領内で行われる。栃木領内は賑わいを見せていて、宇都宮領へと続く道は人がたくさんいた。
このような大規模な式典となると、ツアーが組まれたり、出店や露店が出る。様々な地域から、人がやってくるのだ。
後はなんと言っても、今回は徒導不剣の筆頭東京が来ている。それは東京23柱が来ていると同意なのだ。
東京23柱は、公報の役割も担っているため、全員が全国的に有名だ。その中でも皆の関心の多くは、抜群の人気を誇る、生ける伝説こと千代田が来ているのかどうか、ではないだろうか。もちろん千代田以外が目的の者もいるだろうが。
開始30分前、ようやく宇都宮領に入る事が出来た一行は、アイスとクリン、そして馬車を解除し、徒歩で会場へと急いだ。
「都筑、あれ見てみろよ!シウマイの仲間みたいな食べ物売ってるぞ!」
「ホントだ!いい匂いがする…後で食べに来よう!」
「あれは餃子って言ってねー、シウマイに負けず劣らず美味しいのよー」
「ジュル…」
伊勢崎もよだれを垂らしている。やはりシウマイ級の食べ物だったのだ。今すぐにでも食べたいという気持ちをグッと堪えていると、次第に拡声機によるアナウンスが聞こえてきた。
どうやら着いたらしい。が、想像以上の人の数だった。人だらけではないか。会場は今回のための特設で、東京23柱の文京のコア・コンピ"ドーム"だ。東京が参加する場合は、専らこのパターンとなっている。セキュリティ等様々な観点から考えての事だ。大きな特徴としては、屋根がある為、天候に左右される事が無い。今回の大きさは収容3万人規模の大きさだそうだが、伸縮自在だ。
都筑達はゲートに並び、係員に捌かれている。そして開始時間10分前、やっと会場に入る事ができた。
授与が行われる開かれた場所が中央にあり、その回りを囲うようにアリーナ席、そして一般観客席が全体を囲うようになっている。都筑達は、一般観客席の後ろの方になってしまった。
「うわー、遠いな!顔が全然見えないぜ!」
青葉がそう呟くと、伊勢崎がカバンをゴソゴソし始めた。
「へっへっへ、青葉ちゃん。こんな事もあろうかと、じゃじゃーん!」
伊勢崎は望遠鏡を取り出した!
「おぉ!何だそのかっけーのは!」
「これはですね、何と!ここを覗くと、遠くの物が近く見えるんです!」
伊勢崎はやる時はやる。計画性がある。まあ半分は自分の為ではあったのだが。
引率を引き受ける事になった翌日、苦手な吾妻に頼みこみ、人数分を借りてきたのだった。
ちなみに吾妻は独立団体の"群"にあたる人だ。立場的には伊勢崎と同じ"志"と同等なのだが、"群"は領の保安維持を担当する者で、侵食者と戦うことは基本的には少なく、その対象は"人"なのだ。そういった面があるため、伊勢崎は吾妻が苦手だったのである。悪い事をしなければ何も問題は無いのに、だ。
「サッキーちゃん、さすが!」
「わー、ありがとー」
全員から大好評だ。伊勢崎は辛い思いをした甲斐があった、と心から思うのであった。
会場内にアナウンスが流れる。いよいよ始まるようだ。準備万端の4人は、望遠鏡を覗き込んだ。
司会者による事前説明が始まった。都筑は望遠鏡であたりをチラチラ見る。
(誰か有名な人いないかなー、これからかなー、あ!あのアリーナの警備を任されている人は、"墨田"さんだ!「天をも貫く我が槍を受けてみよ!」だー!カッコイイ…)
(他にはいないかなー、いないかー)
「それではこれより、栃木領防衛戦の褒章授与式典を開始致します」
司会者がそう発すると、煙の中からボワッと主催側の人達が現れた。凝った演出だ。
(おー!すごーい!うわー、東京さんと、あれが栃木さんかな?うわ、髪が金色の人もいるよー。あ!豊島さん!あー!千代田さんいたー!)
都筑はまるでヒーローショーを見ている子どものように、心の中ではしゃいでいる。
「まず始めに、受章者の入場です」
受章者はボワッとはならず、歩いて入場のようだ。総指揮を取った日光を先頭とし、高崎、前橋等錚々たる面子の中に、居た。
「こうさんいた!6番目位!」
都筑は真っ先に発見し、皆に教えてあげた。
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