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夢の続き  作者: 新田 藻亀
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武者修行-群馬領-編.13

「わー、これ美味しい!」

「うめえ!しかも体が元気になってる気がするぜ」


 太田は得意気な表情を見せた。


「お前らわかってるじゃねーか」


 食事をしながら談笑した。伊勢崎は都筑と青葉と同じ17歳だという事がわかった。同年代だと思った富岡は、なんとまだ14歳のようだ。しかも太田曰く、自分より強いらしいと言うから驚きだ。

 そして、特危の話になった。都筑と青葉は特危についての知識が乏しいため、太田が丁寧に説明してくれたのだ。


「先ず、今回栃木領を襲って来たのが《暗魂(あんこん)》って奴だ。人攫いのために現れると言われている。特徴は、倒れても起き上がってくる侵食者集団を率いている事だ。本体は人の形をしていて、様々な武器を使ってくる。で厄介なのが、本体の回りには何体も強力な侵食者が守ってる。もちろんそいつらも復活してくる。だから本体まで達する事が出来なくて、撃退といって、退却に追い込むんだ」


「不死身の軍団…」

「退却してくれるのか?」


「経験からの判断で確実ではないようなんだが、魔力が少なくなってくると侵食者が弱くなっていくんだ。あれ?弱くなってる?って思った頃には本体は消えてるって訳だ。まあ魔力がなくなるまでは大分時間が掛かるがな」


「今回は1週間くらいだったんですよね…」

「戦ってたみんな、本当すごいよなー」


「次は、今回佐野さん達を攫った《探求の竜》だ。こいつは強い者、魔力の多い者だけを攫っていく。攫われて助かった者は居なかったが、今回初めて中くんと鶴見さんが戻った。だから2人が見たものはすげぇ貴重なんだぜ、これから研究も一段と進むだろう。特徴は、その名の通り竜だ。大きさは人の2倍くらいある。牙と爪が鋭くて、口から衝撃波を撃ってくる。翼もあって、空も飛ぶ。メチャクチャ強い武闘派だ」


「ごくり…」

「だよな、4人も一気に攫ったんだもんな…」

「ごくり…」


 いつの間にか、伊勢崎も一緒になって真剣に聞いている。


「そうなんだが、過去には3人で戦って撃退したりもしていてな、今回の強さが腑に落ちない部分もある。《探求の竜》の住処と思われる禁域には、魔力を吸い取る大木があるみたいだから、それが関係してるんじゃないかって専らの噂だ」


「とまあこんなとこだ。この2体は俺が実際に対峙した事があるんだが、後は藤岡さんが《最後の幻想》と戦った事があるからタッチしよう」


 太田はやりきった顔をし、食べかけの焼きそばをガツガツ食べ始めた。食べたくてうずうずしていたのだろう。


「ふぉふぉふぉ、そうじゃな。《最後の幻想》、こやつはこの辺り一帯に出没記録があるのじゃ。こやつ自身はそこまでは強くないんじゃが、厄介さで言えば《仮面》に次ぐのう。なんせこやつは領土にひっそり近付き、一般庶民も狙いよる。見た目は人の形をしておって、目が合う、または一定距離に近付くと幻を見せるのじゃ。それを見てしまった者は、自ら《最後の幻想》に近付いて行ってしまうのじゃ」


「一般庶民を…」

「卑怯なやつだな!」

「そうだそうだ!」


「あと2体いるんだが、《狩猟の怪物》は出現場所が遠くてな、藤岡さんでさえ遭遇した事がないんだ。《仮面》に至っては、ほぼ何もわかっていない」


 特危《狩猟の怪物》

 名を持つ特別危険指定侵食者の1体。その特徴は、人を攫う事はなく、倒した人間の身に付けているものや、肉体の一部を奪っていく事だ。そしてそれを武器として使用したり、身に付けたりする。厄介なのは、隠密からの投擲や罠を仕掛けたりと、知性が非常に高いところだ。本体自身は弱い部類に入る。

 九州地方、四国地方等、西の方に出現が確認されている。


 特危《仮面》

 名を持つ特別危険指定侵食者の1体。その特徴は、人に化けるという事だ。喋る事は無いとされている。過去には領内に出没した記録もあるが、化けるだけで人を襲ったり攫ったりはせず、そのまま逃走したと言う。謎に包まれている一体だ。

 北海領近辺でのみ、出現が確認されている。だが、《仮面》については、気付けていない事もあるのではないかという意見も多い。


 特危の出没頻度は、バラつきはあるものの、平均すると年1回程度だが、《狩猟の怪物》だけは頻繁に出没している。




 太田から一通りの説明を受け、改めて特危という存在を知った都筑と青葉であったが、そもそもこの世界の事自体あまり知らないという事が分かったのだ。 


「へー、私全く知りませんでした…この世界で生きていくって大変ですね!」

「しんみりすんな!北を制覇したら西へ行こうぜ!見聞を広げよう!伊勢崎も行くか?」

「ひー、私は大丈夫です!」


「あ、そういえば…」


 太田が思い出したように口を開いた。


「来週栃木領で褒章授与の式典があってな、港北が代理で受け取るみたいだぞ」

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