旅立ち編
初の投稿です。
更新はまばらになるかもしれませんが、読んでくださった方に早く続きが読みたいと思って頂けるよう頑張って参ります。
※冒頭文追加致しました。
"治球"
この星は、天辺の見えない大きな大樹の無限に湧く魔力によって育まれていた。
その悠久とも言える遥か長い時間の中で、突如汚物が発生した。
汚物は徐々に星を蝕んでいった。
意識を持つ大樹は、ただただそれを受け入れていた。
やがて大樹は根源を絶ち切るべく、魔力を人間に分け与えた。
人間は大樹の恩恵により、皆が皆魔力を持ち栄えていった。
そのうち、特別な啓示を受ける者が現れ、それを"星の担い手"と呼んだ。
"星の担い手"は名を継ぎ、代を重ね、与えられた特別な魔力で、星を蝕む根源を絶つべく戦いに挑んだが、ことごとく敗れた。
そんな中、新たな名の啓示を受けた者が現れた。
その者は星を救うべく、今まさに旅立つ…
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「いちっ、にっ、いちっ、にっ」
ビュンッ、ビュンッ…。
拳が空を裂く音が途切れた。
「ぷはーっ、今日のところはここまでにするか」
小高い山の上で夕日を背に汗を拭いていると、遠くで名前を呼ぶ声が聞こえた。
「青葉ちゃーん!」
タッタッタッ。
とても慌てた様子で駆け寄ってきた。両膝に手を付き、その小さな体は大きく肩で息をしている。
「遂に、遂に完成したんだよ!」
目はキラキラ輝いている。
「緑さんと、こうさんとのコンビネーション、グリーンラインアタックが!」
喋る隙を与えず報告をしてきたのは、青葉と同学年の都筑だ。
都筑、17歳、身長153cm。栗毛のショートカットが似合う女の子。お転婆でおっちょこちょいなところがある。この物語の主人公の1人だ。
青葉、17歳、身長164cm。黒髪のツインテールが似合う女の子。明朗快活でとてもサバサバしている。この物語の主人公の1人だ。
一刻も早く伝えたかったのか、よく見れば体には鍛錬で出来た真新しい傷がある。
「おおっ、そうか!遂に全ての課題をクリアしたんだな。やったじゃないか!」
「うん!これで浜さんから武者修行の旅のお許しもらえるよね?」
都筑は好奇心旺盛で、危険も伴う武者修行ではあったが、早く行きたくて仕方がなかったのだ。
喜びのあまり、2人は疲れを忘れじゃれあった。
武者修行とは、学園で希望する者が、引率者を含めた2名以上で世界を旅する事が出来る、といった内容の物である。
危険も伴うため、事前に課題が幾つか与えられ、それを達成しなければ許可されないという厳しい条件もある。
今回都筑は、幼い頃から仲の良かった青葉と共に学園に申請した。
引率を依頼したのは港北と緑だ。
2ヶ月の時を経て、今日全て課題をクリアしたのである。
---2ヶ月ほど前---
国立魔力学園 横浜館
「ふむふむ、武者修行の旅に出たいんだね」
洒落た眼鏡を掛けた痩身の男性が、申請書を見ながら話しかける。
"知勇兼備のお洒落眼鏡"の異名を持つ横浜。
数多の戦場で活躍する名将だ。
普段は国立魔法学園の代表等、後進の育成にも努めている。
「とても良い事だと思うよ。君達は高い素質を持ち、親友、ライバルとしてお互いを高め合っている。このような存在は得ようとしてもなかなか見つからないからね。この旅で成長するであろう姿を見るのがとても楽しみだよ」
顔を合わせはにかむ2人。
「ありがとうございます!」
「では早速、課題についてなんだけど」
①回復スキルの獲得
②新たな連携技2個以上の獲得
「僕からはこの2つを挙げさせてもらうよ。まず、君達のパーティにはヒーラーがいないよね。都筑ちゃんも青葉ちゃんもアタッカーで、港北くんは生粋のタンク。緑さんが使えない事はないけど専門ではないからね。自己回復及び他社も回復出来るスキルを獲得する事」
「うわー、さすが浜さんですね!申請書を見ただけでパーティに足りない物を見つけちゃうなんて!」
都筑は羨望の眼差しを向けている。
「ふふふ、そうかな?ありがとう。2つ目は、連携強化のためだね。個々の力量ももちろん大切なんだけど、今回はパーティを組んでの旅となる。連携が取れていないと、練った戦術も活きないだろうからさ。3人以上の連携なら内訳は任せるから、いざ戦闘になった時でもスムーズに行えるレベルまで練度を上げる事」
「よーし、やる気がみなぎってきた。都筑、早速鍛錬だ!」
青葉は就学時間であることを忘れるほどやる気に満ちている。
「まあ待ちなさい。僕からの課題は以上だけど、武蔵のじぃじと相模のばぁばにも聞いてみよう。どうでしょうか?お二方」
横浜の魔力により投影され、2人の姿が現れた。
「久し振りじゃのう、青葉に都筑や。元気にしとったんかいのう」
嗄れた声ではあるが、まだまだ元気そうだ。
歯は無い。
「武蔵のじっちゃん!久し振りだね!元気そうで良かったよ!」
「あれから腕あげたからさ、またいっちょ取り組み頼むよ!」
「ひゃひゃひゃ、善き哉善き哉。儂からの課題は特にはありゃせんよ。無事に戻って来てくれればええのぅ」
「武蔵のじぃじ、どうもありがとうございます。相模のばぁばはいかがですかな?」
「○✕△□…」
武蔵の嗄れた声の数段上いくその声は、誰も聞き取ることが出来なかった。
相模はお構い無しに何かを話しているが、何一つわからない。
最終的には諦め、
「おばぁちゃん、ありがとう!私達頑張るね!」
と都筑が笑顔で伝え手を振った。
相模は満足そうに手を振り返し、会話は終了した。
「おほん。お二方、貴重なご意見ありがとうございました」
「では最後に統治の委任についてですが。既に相談などはされているかな?」
「えっ?」
………。
「へ?都筑、お前の留守中領土はどうするつもりだったんだ?」
「…何にも考えてなかったよ…どうしよう!うわーん、青葉ちゃんはどうするの?」
「私は、うちの青葉台とあざみ野にお願いしてあるよ!後は何かあった時のために、川崎さんとこの宮前ちゃんと麻生くんにも一応気にかけてもらえるようにお願いした!」
「青葉ちゃん、やっぱりスゴイね!ちゃんと考えてるもんねいつも!」
「へへーん、だろぉ?」
〜永年樹〜
この星には永年樹と呼ばれる天辺が見えない程大きな樹がある。
永年樹は魔力の源であり、星の導き手でもある。
永年樹から啓示を受けた者は、その力の一端を分け与えられ、導きの担い手となった。
〜歴史の教科書はじまり編p3より抜粋〜
青葉と都筑は約2年前、同日に啓示を受けたのだ。
現法律では、担い手となった者は領土を与えられ統治する義務が発生する。
青葉も都筑も若干15歳にしてその義務を担ったのだ。
初めの1年で他の担い手から手解きを受け、2年目からは基本自分でやらなくてはならない。
学園に通いながらなので尚更大変な事だった。
「都筑ちゃん、今からでも全然間に合うから大丈夫だよ。青葉ちゃんのように基本的には領内の人に、不測の事態のために相談役として近くの担い手に依頼すると良いでしょう。まあ最終的には2人とも僕の管轄だから、いざという時は任せてよ」
「わかりました。ぐすん」
昔からちょっと考えが足りないところがある都筑は改めて身にしみたのであった。
感想などありましたらコメントしてくださると幸いです!




