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夢の続き  作者: 新田 藻亀
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武者修行-群馬領-編.3

「次はお前か。いつでもいいぞ!」


 青葉も最初は正面からぶつかった。駆け引き無しの右ストレートだ。

 パンッ。やはり弾かれてしまった。


(痛っ、熱っ)


 都筑とは異なり、己の肉体で直に弾かれた感触を味わった。


(爆発か?でもそれにしては威力が無いよな…。でも何となくは分かったぜ。じゃあ)


 青葉は3体に分身し、2体を先行、1体を後方待機させた。先行した2体を正面と背後に回し、藤岡を中心に旋回しながら挟撃した。否、振りをした。正面からのフェイント。背後からのフェイント。不規則にフェイントを繰り返した。

 そして後方待機の1体が死角になったタイミングで、魔力で固めた数発の水球を、角度を変えながら同時に飛ばした。

 パンッパンッパンッ…。次々と弾かれる水球であったが、水球を飛ばしたと同時に背後に瞬間移動して放った踵落としが、「ゴーン!」と脳天を直撃した。


 3体の獅子舞は、青葉が入っている本体しか攻撃は出来ない。だが、青葉は3体の中を瞬間移動出来る。


(おお!当たった!)


 膝をつかせるような有効打とはならなかったが、体勢を崩すダメージは与えられた。

 ピンピンに立っていた髪の毛もグシャッとなって、逆モヒカンのような髪型にさせる事も出来た。


「くくく、小娘が…やるじゃないか。…だがな、何故一撃で終えた?」


(くっ、確かに!)


「遊びはここまでだ。これからはこちらも攻撃をする。とは言ってもデバフ攻撃だ。怪我をする事は無い。2人まとめて掛かってくるが良い」


(都筑にはじく絡繰のヒントを伝えたいが…、難しそうだな)


「青葉ちゃん、バフをお願い!」


 都筑は"みなきたウォーク"で藤岡にジリジリ近づいた。青葉は即座に1体の獅子舞に舞わせた。

 スピードが徐々に上がる。緩急を付けた都筑と青葉の2体の獅子舞が、3方向から藤岡に迫る。

 だがここで違和感を覚える。スピードを上げているはずなのに、逆に遅くなっている気がするのだ。


(何だこれは、スピードが上がんねー、絶対何かされてる!けど、わかんない!)


 一旦距離を取った都筑と青葉。


「くくく、以外だな。突っ込んでくると思ったが…」


「悪い都筑、スピードが上がらねー!何かやられてる」

「デバフかー、厄介だね…。よし、じゃあデバフにはデバフで!」

「頼んだ!遠隔で攻撃する」


 都筑は右手に松明を出現させた。するとそこから大量の虫が現れて、藤岡にの顔面めがけて向かっていった。

 青葉はワンテンポ遅らせて、足に向けて水球を数発飛ばした。


"虫送り"

 虫送りは都筑が持つコンピでデバフスキルだ。目眩まし、或いは注意力散漫を目的としている為、殺傷能力は無い。


 虫が顔面を捉えようとしたその時、ファサッ。と虫あみが現れ、全ての虫を捕まえてしまった。

 パンッパンッパンッ。水球が弾かれたのも当然の帰結だ。


「くくく、虫取りは得意分野だ」


「むむむ…」

「まじかよ、全部捕まえちゃったよ」


 途中休憩も挟んだが、午後1時から始まった訓練は、5時まで続けられた。青葉の踵落としが決まって以降、しばらくの間有効打を与える事が出来なかったが、最後の攻防で漸く青葉の右ストレートが決まった。


 ホールの中央、背筋を伸ばし胡座をかく藤岡と、左手で頬杖をついて胡座をかき、そっぽを向く青葉と、都筑が仰向けで横になっていた。

 港北と緑は少し離れた場所で、立って見ている。


「お疲れ様ですじゃ」


「お疲れ様でした」


 青葉が答えると、都筑も起き上がって挨拶する素振りを見せるも、藤岡に静止された。


「疲れたじゃろう。楽な格好で構わん」


「じいちゃん、全然疲れて無さそうだな」


 都筑と青葉は疲れ果てていた。肩で息をし、都筑に至っては起き上がる事さえ容易でない程に、だ。それに対して藤岡は、ほんの今まで身体を激しく動かしていたとは思えない様相だ。


「ふぉふぉふぉ、儂のスタイルはエコじゃからのう」


「なぁ、私達どうだった?」


「…忖度無しに申そう。己の強みを良く理解しているのじゃろう。判断に迷いが無く、行動の一つ一つが素早いのう。また互いをよく知り信頼しあっておって、非常に多彩な連携じゃった。良いところはこんな所じゃ」


「…続いて足らぬ部分じゃが、練度が一定じゃないのう。得手不得手はあるから仕方の無い部分もあるんじゃが、もっと練度を上げんと強者との戦闘では使えまい。後は、豊富な攻撃ではあったのじゃが、読みやすかったのう」


 藤岡が悠然と批評を口にしている間、都筑は起き上がり、いつの間にか正座をしていた。青葉も自然と傾聴の姿勢を見せていた。


「おじいちゃん!ありがとうございます!」

「あぁ、ありがとうじいちゃん!やらなきゃいけない事が見えてきたぜ!」


 この素直さ、ひたむきさに打たれ、藤岡は更に力になってあげたいと感じたのであった。

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