同居人は不可視さん
「はぁ、たっだいまーーー!!!」
大きな声で帰宅の挨拶。
が、
「おかえりー」
の声が帰ってくることはない。
理由は単純。あいむあろーん。独り暮らしだからだ。
だから今日も虚空へ向かってただいま。
声は真っ暗な家の奥に沈んでい
「おかえり! 待ってた待ってた!」
かなかったっっ!?!?
「え、ちょっ、ひゃっ、ひゃあああああ!!」
ヤバい。なんかいる。知らない声がする。
「あひっ……」
あっ、逃げれない。腰抜けた。
「でんでんでんききき!」
「ごめんね、今行くよー!」
手元に落ちてたリモコンで部屋の電気をつけた。
と同時に
ドタドタという音が近づいてくる。
近づいてくる
近づ
近
?
パッと電気がつく。
足音は私の真ん前までやってきていて……
私の目には、何も映らなかった。
「ははっ、待ってたよユウカちゃん!」
「うっそ? え? なん、で……?」
聞こえる。声が聞こえる。目の前から聞こえる。ユウカって誰よ。ユウカって誰よ。
「見えないのに…… 聞こえる!?」
意味がわからん。ヤバい、精神的にヤバい。
あー、目の前が真っ暗になr……
―――――――――
「うん? こいつユウカちゃんじゃないじゃん。え、なんでなんで泥棒?」
俺は外に出て表札を確認する。そこには202の文字。
「ユウカちゃんちは…… 202ね。ここは…… 202ね。うん、大丈夫。こいつ泥棒だっ!」
「なっわけあるかーーい!!」
「あっ、ユウカちゃんどうしたの?」
「そこ隣だよ隣!」
「いや、表札……」
「ドアの右がそこの家の表札! ここ201!」
「えっ、あー!」
引っ越したばかりでミスってしまったらしい。泥棒(偽)さんには申し訳ねぇことをしてしまった。
「後でご挨拶ついでに蕎麦持って謝りにいっておいで。」
「はーいはいっと。」
談笑しながら俺らは隣の部屋に入る。
ここは俺とユウカのアワルーム、誰にも邪魔されねぇ俺らだけの聖域だ。
ユウカちゃんは透明な俺とも普通に接してくれる。いい娘だ。
そんな俺ら二人の日常はちょっとだけずれてて……
ちょっとだけ面白い。
これは普通の女性と不可視の俺との同居譚。
不思議な見えない世界の一端をお前らに見せてやろう。
「はぁ、ただいま私の不可視さん」
「あぁ、おかえりユウカちゃん。」
日常は回る。
逆転生×VRものの連載してます。




