プロローグ 弟
まさかのpart2
あらすじ
加藤の前に立ちはだかったのは超人パワー超能力を誇る最強無敵のアメリカンヒーローだった!
ヤクザVSヒーロー! その結末は!
高道純はアメリカ西部開拓時代、日本の戦国時代を股にかける! 純の「早撃ち」「剣術」は映画を真似ただけの紛い物……本場の技との格の違いに圧倒されるのだった!
目を覚ますとそこは真っ暗な世界だった。ここは光が通ってないというのに手足がくっきり見えるのは不思議である。歩いてみる。すぐに見えない壁にぶつかった。見えない壁を触りながら彼は歩き続ける。そこで奴を見つけた。
奴は恐らく若い男性。長い髪で顔を隠し、体育座りで震えている。何かをぶつぶつと呟く。彼は奴に話しかけてみることにした。
「お前、ここがどこか分かるか?」
奴は顔を見上げる。青い瞳が輝く。
「死者の世界だよ。俺が壊した。もう出られない。もう一生このままさ」
「死者? 俺は死んだのか?」
「まあそういうことだろ。だが普通の死者と違う。まだ意識がある。これから俺とずっと一緒さ。そうだ友よ。名は?」
「高道純だ。聞きたいことが山程ある」
渋谷のスクランブル交差点。ここは大勢の人が行き交う日本だけでなく世界的に有名な交差点。後藤は買い物袋片手に信号を待つ。
青になると人々が一斉に動き出す。後藤は後に続いて交差点を闊歩する。まるで日本という大きな体の動脈を流れる赤血球になった気分だ。
向かい側からあの男が来た。彼は後藤の目の前で止まった。後藤は彼を見て思わず買い物袋を落とし、涙を流す。
「兄貴。どうして? 死んだんじゃ?」
加藤春樹は大きなあくびをして、
「ちょっと異世界に散歩して来た。後藤、元気にしてたか?」
「あ、異世界? そ、それより兄貴……」
後藤は土下座した。人々が歩く交差点の真ん中で。
「本当に申し訳ありませんでした。僕が、僕が引き金を……だから……兄貴は……」
加藤は微笑んで、
「顔上げろ後藤。それより腹減ってないか? ラーメン……好きだろ?」
加藤が手を差し出すと後藤はそれを握って立ち上がる。
「後藤。家族のいない俺にとってお前はかけがえのない家族みたいな存在だ」
「兄貴……こんな俺にまだこんなこと……言ってくれるんすか?」
「ああ。俺にとってお前が兄弟同然なのは事実だ。裏切られようが関係ねえ。だから……」
信号が点滅し、人々が早歩きで急いで信号を渡る。加藤はリボルバーを抜き後藤をめった撃ちにした! 後藤は血を吐きながら倒れた。渋谷の人々は銃声と血塗れで倒れる後藤を見て発狂して逃げて行く。中にはスマホで映像を撮る者もいる。加藤は悲しい目で弾を装填し、後藤の死に顔を見つめる。
「お前は俺が殺す」
加藤は引き金を引き、死体に鉛玉を浴びせる。躊躇はない。弾が尽きれば装填し、また発砲する。加藤は異世界へ行った後も何も変わらなかった。
ただのサドだ。




