第二話 第二のリボルバー加藤春樹
あのディナーの後、警察やら救急車やらがレストランに駆けつけ、大騒ぎになっていた。
純はこの事件で5人もの尊い命に鉛玉をぶち込んでしまったので警察に見つからないようこっそりレストランを後にした。迅速な行動が功を奏し、警察が来る前に出られたので車を捨てることなく移動できた。
純が非常事態に向かう先、それは親友加藤春樹の元だ。彼は「雉爪組」という歴史の長いヤクザの幹部だ。
多くの頼れる仲間と信頼できる情報を持ち、そして何より日本刀の扱いは達人級で純以上に長けている。
途中で車中泊をし、高速に乗り換え、加藤の元へ向かう。加藤の事務所は山梨県にあり、東京都から山梨県への道は到着まで時間がかかる。
そんな暇なドライブを楽しませようとしてくれるのか、刺客がやって来た!
純の車の前のトラックが急に速度を落とした。それに合わせて後ろのトラックが詰め寄せてきた。ドライブ中に隙を見せたが最後、純の車は身動き1つ取れなくなった。
そこへ両側から片手に小型サブマシンガンを携帯したバイカーが迫ってきた。とっさに純は左のバイカーを撃ち落とした。右は間に合わない。
上半身を下げ、かがむことしかできなかった。マシンガンの弾が車の窓を破って純の頭上を飛ぶ!
絶体絶命の中、マシンガンとは違う銃声が聞こえ、それと同時にバイカーの断末魔が聞こえた。
純が顔を上げると後ろのトラックの運転手も射殺されており、前のトラックは急いで加速して逃げていった。助けてくれたのはバイク乗り。
パーキングエリアで彼が加藤春樹本人であることを純は知った。純は親友と再会できて嬉しい思いと驚きの思いで、
「どうやってここに来てくれたんだ? 俺がこんな微妙なとこにいたのをよく分かったな! ハッハッハ」
銃を眺めながら加藤は余裕の表情で答えてやる。
「ミッチーの連絡を見た後にな、ここら辺でツーリングしてたら会えると思ってな。隙あらばこのリボルバーで今までの恨みを晴らしてやろうかと思ったんだが、そのアホ面が拝めて満足だ。それにしても、更生計画は失敗か?」
「計画は邪魔者を殺し、ミンを助けて初めて実行される。それにしても加藤、お前は脳みそがいっぱい詰まった賢い不良だ。助けてもらったばかりで悪いが、助けてくれ……」
加藤は非常に準備が良く、さまざまな情報を快く純に教えた。
「ミッチー、お前を最初に襲ったのはあいつらだ。
鬼犬組の連中の可能性が高い。次にお前を襲った連中は謎だがどちらもミンちゃんを狙ってたことは共通する」
純はとりあえず黙って聞いた。
「ミンちゃんの両親が昔、鬼犬組の連中に殺されたのは覚えてるだろ? 俺らがまだ暴れてた頃だ。あの時、俺たちがミンちゃんを助け、鬼犬組の連中を相手に大戦争しただろ。あの時はとんでもないロリコン集団に狙われた物だと思ってたし、今あんなのが残ってるはずがねえ。だが、あの鬼犬組のリーダーはまだ生きてて東京を仕切ってたんだ。ずっとお前とミンちゃんが来るのを待ってたのさ。昨夜は復讐の夜だったって訳さ」
純はようやく口を開いた。
「皆殺しにしたはずなのにな。それで、鬼犬組は今何て名前に変わって、今どれくらいの影響力があるんだ? 何でミンを?」
加藤はすぐ答えてくれる。
「青烏団! 東京を支配する組織、東京で犯罪するなら、絶対逆らってはいけないと言われている組織だ。最近は東京以外にも力が及び、俺達と同盟を組むって話もあったんだ。まあ、俺達は全員一致でそんなもん断ったけどな」
「戦争をやる気か?」
「薬物捌いたりして稼いでる連中だ。他に何怪しいことやってるか知れたものじゃない。組むよりは闘った方がマシだ。それに、いつの時代も反乱分子って者がいてな。団結すればそれはそれは大きな力になる訳だ」
「それにしてもミンを狙う理由がまだ分からん…謎な事が多すぎる」
加藤は満面の笑みで言った。
「心配するな兄弟! 確かに分からないことだらけだが、誰を殺せばいいか?これが分かっただけでも十分だ! 家に帰るのが心配なら俺の所に来い! 邪魔者を殺し、ミンちゃんを助けるまでいくらでも俺が協力してやる!」
その後、加藤の言った通り家に定住し続けるのも危険なので、純は身支度をしに一度家に戻り、それから加藤の所で匿ってもらうことにした。
丁度加藤も東京で用事があるというので途中まで一緒に行くことにした。
途中刺客に出会うこともあったが、想定範囲内かつ頼もしい仲間がいるため死ぬことはない。家で身支度をしてる間、外で加藤の部下達が見張ってくれていた。みんな強そうでとても頼もしい。
親友と共にならどんな逆境も超えられる。そう信じてどうにかなるだろうと考えていた矢先。
純は加藤春樹死亡の知らせを聞いた……




