番外編 西部劇おじさん
「煙草……吸いな」
未成年の口に煙草を差し出す。
少年は煙草を咥えた。
「ゲホッゲホッ……」
男は笑ってガキから煙草を取り上げ、
「グッドラック。カウボーイ……」
1875年。アメリカ西部。
南北戦争が終結してから約10年……
アメリカは様々な物が入り込み、新しい国へと変わっていった。
とある田舎町、悪党一味が支配し、毎日人々は恐怖していた。少年ダガルの父親は酔った勢いでギャングとトラブルを起こした。父は殺され、訳も分からずダガルは母の元から引き離され、ギャング達の遊び道具にされた。
太陽が偉そうに光を放つ。肌が焼けるように暑い。多くの人が見ている。目の前には馬車。何人もの悪そうな男達が乗っている。少年ダガルは縛られて身動きできない。
「グッドラック。カウボーイ……」
ダガルに結ばれた縄は非常に長い。縄は馬車の後ろに結ばれている。ダガルは何をしようとしているのかすぐに分かった。
「ハイヤー!」
男が馬に鞭を打つ! 馬が走り出す。ダガルは勢いよく走り出す馬車に引きずられる。
速い! 熱砂を浴びながら引き回される。馬車に乗る男達は笑う。馬車は加速し、ダガルは振り回される。飛び上がる時もあった。とにかく速い! そしてこの地獄はおそらくダガルが死ぬまで続くことだろう……
ダグァーーーーーン!
ライフルが発射された! ダガルを引きずっていた縄に当たりダガルは馬車と離れ、ゴロゴロと転がった。馬車は止まる。男達がズラズラと降りて怒鳴る。
「おいじいさん。邪魔する気か?」
「へっじじい。どうやって死にたい?」
男達は笑う。5人はいる。帽子を被り、ライフルを持った老人はゆっくりと顔を上げ男達を見る。老人の殺気のこもった目を見た男達は黙る。
沈黙が続く。
殺る気だ。
双方の距離、6メートル。
老人はライフルを捨てた! 男達は戸惑う。すかさず老人は腰のガンホルダーからリボルバーを取り出し、迷うことなく撃った! 男達も銃を構えるが間に合わない!
老人の早撃ちは敵を全滅させた。老人はダガルに近付き、ナイフを取り出して縄を切ってやる。ダガルは縄を外して老人の顔を見つめる。
「孫よ……夕陽が沈むな」
夕陽が沈む。夕焼けだ。
「夜になる前に帰ろう」
「母さんは?」
老人は首を横に振る。
「間に合わなかった。すまない」
ピィーっと老人は口笛を吹く。馬がやって来た。2人は馬に乗り、夕陽の沈む荒野を後にした。
老人の家に到着した。古くて汚いが必要な物は揃っている。老人はすぐに壁によりかかって眠った。ダガルはパンを見つけかぶりついた。机には牛乳の入った容器がある。ものすごく喉が渇いていた。ダガルは大きな容器を持ち上げ、浴びるようにして牛乳を飲んだ。
そしてダガルは老人を見る。突然現れ助けてくれた。病で外に一歩も出なかった祖父。
どうしたのだろうか? 老人が寝言を言う。ダガルは聞いた。
「ミン……た……す……助ける。ぜっ……たい」
ミン? 誰だ? ダガルは不思議に思う。
老人の名はアプリコット……
1875年から1885年までの10年間
早撃ちで多くの犯罪者を倒し、
伝説の賞金稼ぎとして歴史に名を残す




