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音のない歌詞

擦過傷

作者: 渋音符




 ぴりぴりする。

 痛いのかな? いや、違う。

 ちょっと、ぴりぴりするだけ。

 じくじくするだけ。


 ちょっと、コンクリートで()っちゃって。

 ほら、肘の辺りに、こんな小さな傷。

 ちっちゃい絆創膏(ばんそうこう)と、(つば)で十分だよ。

 心配してくれて、ありがとね。


 なんか、こういう傷って、気になるよね。

 いや、そんなに、痛くはないんだよ?

 骨折とかした時の方が、もっと痛かったかなぁ。

 でもねでもね。

 こういう擦過傷(さっかしょう)って、さ。

 ぴりぴりするよね。

 じくじくするよね。

 血が、さ。ちょっとずつ、さ。

 出てる感じが、するのよね。

 

 傷がさ、あったかいんだよ。

 傷があると、あったかいのね。

 そりゃあ、おっきい傷は、嫌だけどさ。

 こんなこと言っちゃ、君に怒られるけどね。

 こんな傷なら、いくらでも歓迎だよ。

 生きていることを、直に、肌で感じられるから。


 全身を擦り傷で覆ったら。

 どれくらい、あったかいんだろうね。

 君の腕くらい、あったかいかなぁ。

 ………うそだよ?

 君の腕の中の方が、あったかいに決まってる。


 ぴりぴりする。

 痛いのかな? いや、違う。

 ちょっと、ぴりぴりするだけ。

 じくじくするだけ。


 擦り傷だらけの、わたしのこと。

 あなたはきっと、ぎゅっとする。

 だよね?



 

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