再会から半年
あいに再会して半年、今でも私は『軍の犬』と言われた仕事をしていた。
あの後の尋問は、私があいの目的が『母親の救出』だと話した事で、直ぐに終わり、施設での謹慎2カ月だと言う事になった。
私は、あいの事を密告したような感じになっていたでのその罪悪感と、コールドスリープで眠る前の母親を思い出し憂鬱になっていた。
沈んだ心のまま、謹慎処分が解け家に戻り仕事にも復帰して、『アノ』いつもの毎日が繰り返される。
不満と疑問に後悔と罪悪感が加わり、仕事に身が入らなくなっていた。
「謹慎処分が解けてから、仕事の効率が悪いぞ。」
この日もエージェントA0を中心にコロニーを回っている。
最近のエージェントA0の口癖は『効率が悪い』だった。
この頃、テロリストの捕まる人数が減り、それに比べて都市へのテロは増えていた。
都市への攻撃は、最近になり北地区への攻撃が集中していて、
その原因は私があいの目的を話した事で、軍の上層部が母の拘留されている施設が北地区にあると、護送される映像を流し広報したせいだった。
毎回テロには、あいの姿が必ずカメラに取られていて、それでも捕まる事はなかった。
あいは、母が私のDNAを元にデザインベイビーの研究の最高傑作として造った天才だ、捕まる訳が無い。
そこで、あいに少しでも対抗出来る可能性がある私のいる部隊が、配置転換で北地区の外で見回りとテロの警戒をする事になった。
配置転換で仕事が毎日になったが、それでもあいは私のいない時間帯を狙って襲撃を掛けて来る。
軍の上層部も、テロリストに情報が漏れている事に気付いてはいるが、それがどこからかなのか分からないまま、テロは続いた。
そんな軍が、あいを捕まえる為に、極秘の作戦を立てていた。
それは、母の処刑だった。
処刑は1カ月後、その情報が流された数日後の夜、寝ている私のベッドの横にあいが立っていた。
「愛! 起きなさい!」
「うーんー? あい? あい? どうしてここに?」
私は寝ぼけて、夢でも見ているかと思い、目をこする。
「愛 母さん 殺されるの 知ってるわよね?
それで あんた なにもしないつもり?
あんた 『私達のお母さん』 てゆってなかった?」
あいは私を睨む。
「私には 何も出来無い
この 首輪で 常に 位置が バレてる 監視されてる
音は 人権問題になるから 聞いて無い て ゆわれてるけど 本当かは 分からない」
「それなら大丈夫 アイに頼んで 調べたから」
「アイ アイも来てるの!」
「ここにはいないけどね
それで これ アイから 首と手足の装置に着けなさい それで軍からの 監視と電撃 防げるから」
あいは5枚の布のような物を出す。
「着けてる装置と 肌の間に 巻けばいいの?」
「隙間無く巻けば あんたが 力使っても 意識失う事 無いはずよ」
私は5カ所全部に隙間無く布のような物を巻き着けて、超能力を使って足の装置を壊した。
電撃は流されて布に吸収されて、私の意識が失われる事はなかった。
続けて手と首の装置も壊し、何年ぶりかの本当の自由を感じた。
「外れたなら 早く ここから 移動するわよ!
装置が壊れたのが 軍に知られて ここに 来ないうちに」
私は着替えだけすると、何も持たずに家を出て、あいの後を走る。
「お母さんがどこにいるか 分かってるの?」
「わたし達の情報提供者からの 情報が 正しければ 北地区の軍施設に いるはず
ここからは これで 移動するわよ」
あいが止めてあったバイクに乗り、私はその後ろに乗った。
「しっかり 捕まって なさいよ!」
私があいの腰に手を回すと、バイクは北地区に向けて、フルスピードで、走り出した。
今日は1話だけの更新です。
続きは月曜日に更新出来たらいいな。
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