監視
朝起きると私は監視為れていた。
完璧な2人は、不安定な私の監視役として軍から一緒に生活するように、命令為れている。
夜の間は、眠る必要の無いワタシが、朝になりワタシがエネルギーをチャージする為部屋に戻り、わたしと監視を交代する。
更に3人の指導官として、エージェント42も同じ家に住んでいる。
そんな窮屈な毎日が2週間続き、私達は徐々に打ち解けていった。
最初に打ち解けたのは、わたしとワタシだった。
2人は元々同じような環境で暮らしていた。私の両親はそれぞれ2人を隠すように育て、常に完璧な理想の私を2人に求めていた。
母以外と関わる事の無かった元々感情の乏しいわたし。
無口で愛想があまりなかった父にプログラム為れて2人きりで暮らしていたワタシ。
幸せな父と母、ずっと完璧な私を演じるワタシとわたし。
私がコールドスリープから目を覚ましたと連絡があった時、それぞれが『私』そっくりの子供と暮らしている事に気付かれる。
それは2人のアル言葉だった。
「本当の『私』が目を覚ましたのなら、にせものの『わたし』はいらない。」
「本物の『私』が戻って来るのであれば、ニセモノの『ワタシ』はいらない。」
捨てられた2人の、わたしとワタシは、初めて部屋から外に出て、初めて親以外の人と話をした。
保護為れた『2人』は、偉大な功績のある2人の親の致命的なスキャンダルになる為、『私』と一緒に3人で隠されて『私』の監視と言う名目を与えられた。
そんな、わたしとワタシはとてもよく似ていた。外見だけでは無く、性格も仕草も。
私の両親はお互いに似たもの夫婦だったのだろう。理想も同じ完璧だった。
感情を表に出さない、ワタシ。
感情を隠して過ごす、わたし。
感情が不安定で我が儘な、私。
わたしとワタシが監視と言うより、我が儘な私の世話をする。
私に振り回されて2人の笑顔が増えて、3人は姉妹のように過ごし始めるのであった。
『ワタシ』と『わたし』が『私』の力を使って、この施設から逃げようとしているのは、まだ秘密の話。