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元就の野望~全国版~。わたしはガチャを駆使して補佐します  作者: 那田野狐
最終章 戦国時代の終焉

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第7話 川中島の戦い その3

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- 1542年(天文11年)10月 -

 - 信濃(長野及び岐阜中津川の一部)川中島 -


 清野氏の館から出立した穴山信友と小山田虎満が率いる兵3000は、妻女山から八幡原へと蹴り落とされる毛利軍を迎え撃つため八幡原へと布陣した。

 ただ、今朝は数メートル先すら目視出来ない濃い霧が発生しているためそれなりに密集している。


「突撃!」


 不意に鬨の声が上がり、馬蹄が地面を蹴る音が辺りに響き渡る。


「敵襲!」


 誰かが叫ぶ声が響き渡り、本来なら待ち構えていたハズの武田軍はパニックに陥る。

 霧の中から先端に朱墨を浸した布を巻き付けた棒を構えた騎馬が突進してくる。

 なおこの時代の騎兵は、基本的には馬上で戦うのではない。馬は敵陣に素早く移動するための手段であり、戦うときには馬から下りるのだ。

 しかし毛利軍の騎兵は、馬上から戦う術を訓練しているので武器を突いたり振り回したりして武田軍の歩兵を次々と叩き伏せていく。ただ、討ち取った証である鉢金を一々回収するなんて時間のかかることはしない。

 毛利軍では、事前に誰の鉢金であっても誰が取っても成果は全員に均等に分けることになっている。


「騎馬隊は離脱せよ!」


 呼子笛が鳴り響き、騎馬隊が声を上げながら戦場から離脱しはじめる。


「助かった?」


 武田軍から安堵のような声が漏れる。


「槍隊突撃!」


 続いて霧の中から槍衾(と言っても単なる棒だ)が、飛び出してきて更に武田軍を蹂躙する。

 普通なら必死の抵抗を見せるところだが、これは模擬戦。死亡判定はされても死ぬことはない。むしろ必死の抵抗をすればするほど余計な怪我をしかねない。それが解っている武田軍の兵士は次々に鉢金を取り抵抗を止めていった。穴山信友と小山田虎満隊が全滅したという報告が武田軍本陣に成されないという事態。これが武田軍の大敗北の一因となる。


 - 同時刻妻女山 -


「突入せよ!」


 毛利軍を妻女山から追い落とす命を受けた教来石景政は眼下の毛利軍本陣の陣幕に向かって突撃を命じる。


「教来石殿!毛利軍の陣は(もぬけ)の殻です!!」


 先陣を務めていた春日虎綱が叫ぶ。


「我々の奇襲が読まれた!?」


 教来石景政は瞬時に毛利軍がどちらに向って進撃したのかに思いを巡らす。短期なら本陣。力を見せつけるなら清野氏の館から出撃した遊軍から狙うだろう。

 取るべき策は二つ。遊軍と合流し本陣が来るまで持ちこたえて挟撃するか、遊軍は見捨てて本陣と合流して迎撃するか。


「遊軍と合流する」


 教来石景政は清野氏の館のある方に向かって隊を進めることにした。


 - 午前八時 八幡原 -


 明け方に立ち込めていた霧が漸くして晴れてきた。


「なっ」


 武田晴信は眼前の光景に言葉を失う。

 遊軍によって妻女山から追い落とされているはずの毛利軍が、自分逹の前に大きな魚鱗の陣のような陣をもって待ち構えていたのだ。


「我が軍の遊軍が合流するまで守備を固めよ!」


 武田晴信は大声で指示を飛ばす。


「見た所、毛利軍は一点突破を目的とした魚鱗の陣ですな」


 毛利軍を観察していた山本勘助が武田晴信に進言する。


「対応策は?」


「魚鱗の陣は、前面に火力を集中するため後方や側面からの攻撃に弱い。我が軍が数に勝るのなら鶴翼で包囲するのが良手なのですが・・・」


「あわよくば三方からの包囲を狙って隊を三つに分けたのが裏目に出たか・・・」


「まあ、それについては我々の行動を読み、先手を打った毛利を誉めましょう。負けても失うものはないのですから」


 山本勘助は肩を竦めて苦笑いをする。


「その辺がこの油断に繋がったのかもな」


 武田晴信は肩を竦めて笑う。普通なら、斥候を放って毛利軍の動きを終日監視させていたはずだ。模擬戦だからと監視に手を抜いてはダメだったのだ。


「ここから少しでも挽回して行きましょう」


 山本勘助は両手で自分の頬を張って気合いを入れるのであった。

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― 新着の感想 ―
[一言] ペイント弾装填の銃「出番はあるのかな〜?」  折角の活躍の場なのに、出番が有るのかわからずソワソワしている様です。
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